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44 通り名

ずいぶん時間があいてしまいましたが、楽しんでいただけると嬉しいです。

幕間のようなものですね。


すみません,しっくりこなかった通り名を変更しました。

「どこかで見たことがあると思ったら、『笑う太陽』か!!『笑う太陽』の破壊神、アッシュだな!!」


近くに座っていたヒューイが声をあげて、アッシュを指差した。


「ああ、噂で聞いたことがあるなぁ。『笑う太陽』の破壊神アッシュの話。いろんな武器屋に出禁くらったっていう。・・・ってことは、ラシュはその相棒の『修復で金を生む巧』か!」


ヒューイの言葉に、ランディが頷きながらアッシュとラシュを見る。ラシュはランディに言われた通り名に首をかしげた。


「『修復で金を生む巧』?」


「なんでも、破壊神が壊したものを,完全とは言い切れないが,いい感じに直したり,別のものを提供したり、物を作り出すことで,相手の金になるようにする工匠がいるって話だ。魔術師の癖にそれだけ物が作れるなら,アッシュが壊したものを『修復で金を生む巧』なんだろ?」


「・・・いつのまにそんな通り名がついていたんだ?」


ラシュは妙な通り名にがっくりと肩を落とした。


「ぷっ!!まんまやん!!」


けらけらと笑うシグに、ラシュはふてくされる。そんな様子に、メリクルウッドはラシュをなだめながら話しかける。


「まあまあ。それで、ラシュトリカ。君は、」


「ラシュでいい。」


「じゃあ、俺のことはウッドって呼んでくれ。で、ラシュ、君はどこまで索敵できるんだい?」


「こんな大勢が聞いているところで話すことじゃないだろ。」


むすっとした表情で応えるラシュに,うなずくメリクリウッド、


「・・・ふむ、それもそうか。」


「わざわざ馬車の中で話すことなんてないだろ?現場の本部で話す約束だったはずだ。」


「まあまあ、そんなに怒るなよ。」


「お前が言うことじゃないぜ。なんたってこんなに狭い馬車の中にわざわざ騎士が来られちゃあますます狭いだろうがよ。だが、あんたのおかげでおもしろい話ができそうだ。」


なだめようとしたメリクリウッドの肩を持ってがははと笑うのはランディだ。


「なあアッシュ。魔物の討伐で勝負しようぜ。獲物はなんでもいい。一日でどれだけ倒せたかだ。」


ランディに話しかけられ,アッシュは嬉しそうにするが,困ったような顔をしてみせる。


「それはいいな!でも、俺、そういうの数えられらんないぞ!」


「そう言われれば、俺もそうだな!そうだ、ヒューイ!数えてくれよ!」


ランディも考え直し、隣のヒューイにふる。


「無茶いうなよ。お前の傍でいつも数えてなんかいられないだろうが。勝手に数えてろ。」


「10万出せば,うちが数えてあげてもええよ?」


「シグ!!高いよ、それ!!」


頭上から聞こえた声に,アッシュは抗議する。にやりと笑うシグに,ぐぐっとアッシュがうなる。どうがんばっても自分では倒した敵の数を覚えてなんていられないからだ。


「おい、金取るのかよ!!」


ヒューイもシグに突っ込むが,シグは変わらず男達を見下ろす。


「当たり前やん。うちも魔物を倒してるんやで。その上であんたらの討伐数を数えるんなら金ぐらい取るに決まってるやん。」


「アッシュ、お前ランディと討伐勝負するなら,味方に怪我させるんじゃねぇぞ。」


数え方の話をしているところに、ラシュがじろりとアッシュを見やる。


「おう、大丈夫さ。」


「お前の大丈夫が大丈夫だったことがないんだが、まあいい。倒した奴を全部これの中に入れればいい。」


ラシュがぽんと黒い革のかばんをアッシュとランディに投げてよこす。


「ラシュ、サンキュー!!」


アッシュが目を輝かせてかばんを受け取り、身につける。


「おっと。なんだ?くれるのか?」


ランディは受け取ったかばんをのぞき込むが、少し高級な黒い革のかばんにしか見えない。


「あんたに貸すだけだ。それを使えばカウントできるから。」


「ふ~ん?わかった。ありがたく借りるぜ!!」


よくわからないものの、借りれるものならば借りようと、ランディはにかっとさわやかにラシュに礼を言う。


「アッシュと遊んでくれるなら俺も助かるんでね。」


ラシュがにやりと笑い返していると,アッシュの持っているかばんを,メリクリウッドがのぞき込む。


「おお!魔術陣付与のかばんか、ということはこのかばんは・・・。」


メリクリウッドの言葉を途中で遮られた。アッシュがかばんを閉じると同時に、ラシュが杖の先をメリクリウッドの首筋に向けたからだ。


「ウッド、口が軽いのはよくないぜ。」


ラシュの脅しに,メリクリウッドは苦笑いを浮かべる。


「これだけの力があるのにどうして在野にいるんだ?」


「別にいいだろ。俺は冒険者が性に合っているんだよ。」


「それから、君の頬の入れ墨、どっかで見た気がするんだけどなぁ。」


首をひねるメリクリウッドを見るが,ラシュは無視することにして馬車の外を眺めた。


「俺もその競争、入りてぇぞ!!」


と、遅れて【炎の拳】格闘家ビクタムが言うので,アッシュとランディはラシュを見やる。


「ラシュ~。」


アッシュの頼み込む声に、ラシュは肩をすくめながら自分のかばんをあさる。


「あんたもか。ほらよ。なくすなよ。」


ラシュは特に隠すこともなくビクタムにも黒い革のかばんを放り投げる。


「ありがてぇ!!」


ビクタムは嬉しそうにかばんを身につけた。どうやら、討伐競争は三人で行うようだ。馬車はそのまま魔物が潜む森へと向かった。


【設定44】ラシュの黒い革のかばん

ラシュがつくったかばん。何がすごいって黒い革の部分はノワールウルフの革を革職人に持って行ってかばんを100単位で作ってもらったことである。100のうち,ラシュがノーマルな空間魔法陣を付与したものがいくつかと,空間魔法と他の機能も一緒に魔術陣に組み込んだオリジナルのものがいくつもあり,今回はその一部である。今回のかばんには,何をいくつ入れたかがかばんに勝手に書かれている機能がつけられているので,入れていくだけで討伐数がわかるのである。ただし、空間先が満タンにならないことだけが心配である。

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