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35 手合わせで森が無くなる

楽しんでいただけると幸いです。

「なんだ?その、バーサーカモードって。」


クオがアッシュに目を向けると、アッシュが泣きそうな顔で話し始める。


「俺、あんまりテンションが上がると、うっかり敵に認識すると、死ぬまで相手を追いまわすらしくて、最大パワーで最大級の技を繰り出すらしいんだ。それが、バーサーカモード。」


「それを、ラシュに向けたのか?」


目が点になる二人に、アッシュは頷いた。


「お前の最大級の技って、あの、地割れする技じゃないのか?」


「地割れもするし、森がなくなって平地になる。」


クオが以前に噂で聞いたアッシュの破壊神ぶりを思い出した。

さらに、ラシュに付け加えられ、クオとロックスは顔を青くした。


「それは、・・・ラシュ、よく生きてたな。」


「むしろ、よく生き残ったな。」


「ああ。最初魔法剣だけで応じる為にかなり魔法で身体強化してたんだが、アッシュが散々殺す気でくるから、こっちも殺す気でいかないと相手できなくてさ。こっちも魔法を使わざるを得なくなって。・・・なんだってアッシュと殺し合いしなきゃならないんだよっ!!!」


だんっとジョッキをカウンターに叩きつけてクオに空になったジョッキを見せる。


「もう一杯。」


「で、どうやって止めたんだ?」


ロックスが壊れた剣をラシュに返しながら尋ねた。


「アッシュの剣をかいくぐって直接魔力を体に叩き込んだ。俺の魔力を取り込んで、アッシュは魔力過多で昏倒して終わりだ。アッシュの技の間を避けて近づくのがひどく面倒だった。うっかり魔法で防御したら跳ね返るか、魔法すら斬ってしまうし、・・・腹が立ってしかたない!!」


クオに入れてもらった酒を飲みながら、ラシュは答えた。


「お前、酒乱か?」


「そこまで酔ってない。けどな、たまには俺だって愚痴りたい。アッシュの癖も技の具合も全部分かってるから避けようと思えばできるし、たとえ本気で殺しに来ても殺されない自信はあるけどな、アッシュも俺の手数全部知ってるはずだから攻撃しても防がれるし、もう、すげー面倒だったんだ。なんで手合わせしていて殺し合いに発展するのかわからねぇよ!!」


ラシュはまたいっきに酒を飲みほしてジョッキを置く。


「おかわり。」


「はいよ。ラシュ、本当に大変だったんだな。」


クオがしみじみと相槌をうつ。


「ラッセルの頼まれごとでも、こんなことになるなら受けなけりゃあよかった。」


「冒険者ギルドの依頼だったのか。いったい何をするのに手合わせをしたんだ?」


「領主の武術指南役選出大会の前哨戦にやる演武大会に出ることだったんだよ。演武だからある程度見応えのある組手じゃないとダメだろ?とはいえ、俺とアッシュだと俺がアッシュに合わせた方がいいだろうからアッシュに合わせたんだが、大惨事だったわけだ。」


「そりゃ、アッシュに合わせざるを得ないなぁ。ラシュは全然悪くねえよ。うん、アッシュが全面的に悪い。」


「そんなことはわかってるってば~、ロックス~。」


ラシュの背後で未だにうじうじと反省して突っ立っているアッシュはロックスに言われてさらにへこむ。


「ラシュが飲むのは仕方ない!飲め飲め!」


クオがラシュのジョッキについで、ロックスが隣で一緒に飲む。

そして、飲み続けた。




「こんばんは~。ラシュを回収しに来たんだけど~、いる~?」


「ん?ああ、シグか。こっちだよ。」


カウンターの奥から店主のクオが出入り口で声をあげたシグをみつけて手を振る。

カウンターには、静かに飲み続けるラシュと、その背後に魂が抜けたような顔をしたアッシュがいた。

シグはさっとカウンターへ行き、ラシュの肩を叩く。


「そろそろ帰り~。後ろのアッシュ、魂抜けてんで。」


「・・・シグか。アッシュだけ連れて帰ってくれないか?俺、もう少し飲みたい。」


結構冷静に話しているのを見て、シグはクオに目で尋ねる。


「20杯ぐらいかな。」


クオの答えに、シグは静かに飲み続けるラシュを横目で見る。


「ラシュはそれくらいなら酔わんなあ。アッシュに飲ませたん?」


「飲ませてない。食わせてもない。ただひたすら無視してた。」


むすっとした顔でラシュが応えると、シグが苦笑する。


「あー、それはアッシュには一番きつい反省やね。」


アッシュのラシュの依存の高さは(笑)では常識である。起床、飯、買い物、全てラシュに世話をしてもらっている様子からして、ほぼラシュはアッシュのお母さんである。

今のアッシュはまさしく、お母さんに叱られた子どもである。謝っても許してもらえていないのだ。


「ラシュ、そろそろええんとちゃう?なんで怒ってんのかうちは事情、さっぱり知らんけど。」


「シグは気にしなくていいんだよ。今日ぐらいアッシュは反省してろ。ってか、田中さんにお願いすれば飯は作ってもらえるだろ。俺はまだ飲むんだ。シグ、お前付き合えよ。」


「えー、ラシュのおごりやんや?」


文句を言いつつも、シグはラシュにたかろうとする。それもラシュは想定内らしく、シグに釘をさす。


「しかたないな、ただし、高いの、頼むなよ。」


「えー、ケチやな、ラシュ。」


結果、カウンター席のラシュとシグがガンガン酒を飲み続け、その背後にずっとアッシュは立ち続けていたのだった。


設定35 バーサーカ

戦士系が使う技の一つ。身体能力が強化され、普段より強力な攻撃ができる。

感情のままに行動するため、敵味方構わず攻撃してしまうことがある。

理性はどこかにいってしまう技のため、最終兵器である。

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