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34 壊されるのは諦めた

楽しんでもらえるとうれしいです。

「アッシュさんって、ラシュさんのこと、大好きなんですね。」


リーザとシグが連れだって街へ繰り出していた。ついさっきまでのアッシュとラシュの様子を思い出しながら、リーザは笑ってシグに尋ねた。


「そうやな。たぶん、ラシュがいなくなったら生きていけないんやないかな。いっつもラシュはアッシュのお母さんやで。」


「うふふ、シグさん、実はアッシュさんがうらやましいんじゃありませんか?ラシュさんを一人占めしていて。」


リーザがにこやかにほほ笑んで見せる。シグはその顔を見て、困惑する。


「なんでうちがアッシュを羨むんや?別にええやん。あの二人のことやし。」


「あ、そんな感じなんですね。」


シグの様子に、リーザは毒気が抜かれたようになる。


「アッシュを羨むっちゅうか、むしろ、ラシュが哀れに見えるだけやけど。」


シグはリーザの変わりように驚きつつも、素直に応える。


「確かに、ラシュさんの負担は大きそうですね。」


「そやで?アッシュの破壊神の尻拭い、全部ラシュがしてるんよ。お疲れさんよね。」


シグがあっけらかんとしているのを見て、リーザはふふふと笑った。


「シグさん、おすすめのお店、どこですか?」


「ん?そうやな、何買いたいん?買うものによっておすすめは変わるわ。」


リーザの話題転換に、シグはさしたる疑問も抱かず、さっさとお勧めの店の名前を頭の中で出し始めた。





「ふざけんなよ、アッシュ。手合わせするって言ってんだろ!大技繰り出す馬鹿があるか!!俺、一歩間違えたら死ぬところじゃないかっ!!」


「ラシュ、ごめんって!うっかり楽しくなりすぎて、やっちゃっただけなんだよー!!」


「馬鹿やろう!うっかり首落とされちゃたまったもんじゃねーだろうがっ!!」


「ごめんってばー!」


ラシュが怒りをあらわにしながら、アッシュがすがりつくようにして謝っている。ラシュは気にも留めずにさっさと歩き続ける。草原の道を歩き続ける二人の様子はまるで浮気をした旦那が妻にすがるようだ。

それまではアッシュの剣とラシュの魔法剣がぶつかり合い、よい打ち合いをしていたというのに、一転している。

ラシュはアッシュの言葉に返答せず、二人は無言で街まで戻った。




「で、ラシュ。後ろの背後霊はどうした?」


酒場のカウンターに座って酒を飲んでいるラシュに、店主が話しかけた。いつもならラシュの隣に座っているアッシュが、今日は沈んだ顔でラシュの背後に立っているのだ。そのことにラシュは一言も言わない。まるでアッシュがいないかのようにふるまっているのだから、店主のクオ=ホフマンはおもしろそうに尋ねた。


「気にしないでくれ。もう一杯くれ。」


「めずらしいな、ラシュが強めの酒を飲むなんてな。」


そう、さらにおかしいのは、ラシュが飲んでいるのがいつもよりアルコールのきつい酒であることだ。やけ酒を飲んでいるラシュなんて滅多にない。


「形あるものは全て没するものだからな、いいんだよ。」


「お前、アッシュに何か壊されたのか?」


「ん~、壊されたけど、それはまあいい。いつものことだからなぁ。確かに大事にしてた剣だったから残念だけどな。」


折れた剣をクオに見せる。


「な?!おい、これ魔法剣だろ?結構値打ち物じゃねぇか!!」


少し離れていたところに座っていた武器屋店主のロックス=マディエがそれを見て立ち上がる。一目で魔法剣とわかるだけの目を持った腕前の店主である。


「おう?ロックス、魔法剣ってことは、かなり強いのか?」


クオは店主であり、武器には精通していないので、武器屋の店主であるロックスに尋ねた。

クオに魔法剣を見せられ、ロックスはじっと見て叫んだ。


「こりゃあ、王都のルーベイがつくった武器じゃねぇか!!武器屋の頂点の親父だぞ!この剣を直すなんてぁとてもじゃねぇがおれはできねぇよ。」


「げ、やっぱそうなのか?ロックスさんに直してもらおうと思ってたのになぁ。」


ロックスの言葉を聞いて、ラシュが頭を垂れる。唯一の頼みの修理の綱がなくなったのだ。がっくりと肩まで落ちる。


「ってえか、ルーベイの親父に直してもらえるかどうかも怪しいぞ。一流じゃねぇと作らねえってのがあの親父のポリシーだ。なんだってこんなことになったんだよ。」


「アッシュが手合わせ中に全力で技出して、受け止め損ねて折れた。」


ラシュがぶすっとした顔をして応えると、ロックスとクオはラシュを見て叫んだ。


「「またかよ!!」」


「だからごめんってばー。」


情けない顔でたたずむアッシュが謝るが、ラシュは振り向きもせず酒を飲む。


「そりゃあ、ラシュもやけ酒したくなるよなぁ。」


「いっつも世話してるやつに本気で武器を壊されたらなぁ。」


二人が言うと、ラシュは手を横に振った。


「いや、別に武器を壊されるのは買えばなんとかなるだろ。それはどうでもいい。」


「どうでもよくねーよ。ルーベイの親父の武器だぞ!普通のやつじゃあ手に入らねえし、見ることもできねぇよ!!業物だぞ!!」


ロックスが叫ぶが、ラシュは顔をふせる。


「それよりも、アッシュがバーサーカモードで最終的に俺の命を狙ってきたことの方がショックだ。」


「バーサーカモード?」


ロックスとクオは首をかしげた。


設定34

クオ=ホフマン 

ラシュ達が拠点にしている街の酒場の店主。

冒険者の荒事にも勝てるかなりの猛者。

ラシュたちを見守る親父の1人。


ロックス=マディエ

同じく街の武器屋店主。

すでにアッシュに暴れられてアッシュを出入り禁止にしている店の一つ。

抑えに回るラシュにはしっかりしてほしいと思っている。

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