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29 魔奏:第6番『休日の憂鬱』

ずいぶん遅くなりましたが、楽しんでいただけると幸いです。

「魔奏:第6番『休日の憂鬱』」 


リーザは、のんびり、ゆっくりとしているが、ほの暗いイメージの曲を奏でた。

すると、だんだんビアベアとホーンラビットの動きが鈍くなる。

初めは力強くアッシュの剣に当たっていたビアベアの拳は、アッシュに軽やかに避けられはじめる。


「すっげー!!ビアベアの拳が遅くなってる!!」


アッシュが魔奏の効果に嬉々として叫ぶ。

実際にはほんの少し速度が遅くなっているだけなのだが、アッシュにとってはそれだけでも全然違うらしい。


「そんなに動きが違うようには思えへんのやけど。」


「あー、確かにちょっと遅いかな。・・・アッシュが遊び始めちまったが。リーザの魔奏って結構すごいな。」


アッシュの叫びを聞きながら、ナイフを投げ付けているシグと、魔法で水の矢を飛ばしているラシュが隣同士で話している。

その横でリーザは曲を奏でていた。


「ただ、この曲は戦闘には向かないんやない?」


「そうだな、聞いているこっちもテンションが下がる。」


美しいが、のんびりゆっくりとしたほの暗い曲は闘っている二人にとっては戦いにくい曲だったようだ。

むしろ闘いたくなくなる曲である。


「『休日の憂鬱』っていう曲名も嫌やな。」


「まさに動きが鈍くなりそうな曲名だよ。」


こちらも憂鬱になってきそうな曲に、シグとラシュはもやもやしながら攻撃を続ける。


「リーザ、歌わんの?」


そういえば、とシグはリーザに声をかけた。


「歌ってもいいけど、歌うとたぶん、みんなも曲にかかっちゃうよ?」


「それは遠慮する。」


「あかん、そんなら歌わんといて。」


リーザの言葉を聞いて、速攻で拒否する二人。



動きが若干遅くなった魔物たちは、アッシュの最後の一振りで全滅した。


「リーザ、すげーな!!ビアベアの動きが遅くできるなんて!!」


魔物を倒し終えて、目をキラキラと輝かせてアッシュはリーザに詰め寄った。

詰め寄られたリーザはのほほんと微笑み返す。


「お役に立ててよかったです。アッシュさんもさすがですね、ビアベアの攻撃を全部避けていました!」


「あれはリーザの魔奏もすごかったからだ。なあ、ラシュ。」


「そうだな、リーザの魔奏はすごかった。」


倒した魔物をかばんに入れていたラシュは、アッシュに声をかけられて答えた。その横で、金目のものはないかときょろきょろしていたシグは顔をあげた。


「こっちまで憂鬱になりそうや。次は違う曲にしてえや。」


「おれもそうしてほしい。やる気がなくなる。」


「そう?ならそうするわ。」


シグとラシュの言葉に、キョトンとしてリーザは頷く。

それを聞いて、アッシュは目を瞬かせた。


「そうか?俺はおもしろかったけど。」


「おまえの感性がわからねぇ。」


「ラシュ、アッシュに同意できることなんてほとんどないわ。」


ラシュが肩を落とし、シグがその肩をぽんぽんと叩いた。

少し先に進んでいる馬車に追いつくために、四人はようやく歩き出した。


「リーザ、さっきの魔奏、第6番って言ってたよな?」


歩みを進めていく中で、ラシュがリーザに問いかけた。


「はい。」


「他にはいったいどんな効果がある魔奏があるんだ?」


「そうですね、今回は俊敏性を落とさせる第6番『休日の憂鬱』を奏でましたが、防御力を落とさせる第5番『足の小指をぶつけちゃった』、攻撃力を落とさせる第4番『赤子のワルツ』は敵への効果があるものです。味方への効果は攻撃力を上げる第1番『剣槍の舞』、防御力を上げる第2番『盾のロンド』などです。他にもありますけど、あまり使わないと思います。」


「何なん、その曲名のセンス。」


曲名を聞いたシグとラシュの顔が固まり、二人で視線を合わせる。


「師匠がつけたり、私が思いついた名前を付けてるんですけど。」


「かっこいいんだか、おもしろいんだか。」


「リーザっておもしろいなぁ。」


アッシュがけらけらと笑う。


「敵にダメージは与えられないのか?」


「そうですね。第7番『魔王の誘い』で幻惑を見せて同士討ちをさせたりできますよ。」


「それ、怖いなぁ。」


「なあ、リーザ、魔奏って1つしか効果ないん?」


「いいえ、今は片手で奏でたので1つしか効果をつけませんでしたが、両手ですれば2つの効果をつけた交奏曲、歌えば、さらに3つまでは効果をつけられます。ただ、それだけ強力になるので、長時間は演奏できませんけどね。」


「へえ、それはすごい!!」


「そんなに効果付けられたらええなぁ。」


「すっげーなぁ!」


リーザの説明を聞いた3人は感心した様子で頷いていた。


「でも、アッシュさんの体力とか、ラシュさんの魔法とか、シグさんの投擲みたいにはっきりとした攻撃はむずかしいですから。」


「援護で十分だよなぁ、アッシュ。」


「おう!ビアベアの攻撃を簡単に避けられるようになるのは楽でいいぞ!」


「アッシュ、もともとビアベアの攻撃なんて避けてたやん。」


「避けやすくなるほうがいいだろ!」


「そりゃそうやけどな。まあ、リーザ、初戦闘、上手くいってよかったやん。なあ、ラシュ。」


「ああ、リーザの魔奏の効果がわかればいろいろ攻撃の仕方に幅ができるからな。」


シグがリーザの頭をなで、ラシュを見ると、ラシュは頷いて応えた。


設定29

リーザレインの魔奏の一部

第1番『剣槍の舞』 味方の攻撃力上昇

第2番『盾のロンド』 味方の防御力上昇

第3番『風の行進曲』 味方の敏捷性上昇

第4番『赤子のワルツ』 敵の攻撃力を落とさせる

第5番『足の小指をぶつけちゃった』 敵の防御力を落とさせる

第6番『休日の憂鬱』 敵の敏捷性を落とさせる

第7番『魔王の誘い』 敵に幻惑を見せる

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