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24 嫌いなものはペッパー

楽しんでいただけると幸いです。

しばらく腕組みをしてじっと壁を見つめるラシュ。

サイカはすでに興味をなくしたらしく、勝手にキッチンを使ってお茶を飲んでいる。シグも手伝う気はなく、使い魔のエーを出して戯れている。


「よし、おい、起きろアッシュ。」


ラシュがアッシュを叩き起こす。


「う、ら、ラシュ?」


「こいっ!」


ラシュがアッシュの首根っこをひっつかんで家を出ようとすると、サイカがお茶を片手に尋ねる。


「どこに行くんです?」


「とりあえず、材料を用意してくる。夜には戻ってくるつもりだが・・・

 ああ、シグ、晩飯よろしくな。」


ラシュはサイカにちらりと視線を送り、一方的に話しながら家を出て行った。


「げっ、ラシュ!またうちがするんかー!!」


シグの叫びは宙に消えていった。





「ぐえっ。ら、ラシュ・・・歩くから・・・放して・・・」


「ん?ああ。」


ラシュは首が締まりそうで呻いていたアッシュを放す。


「げほっ、げほ。ラシュ、ひどいぞ!」


「ひどいのはおまえだ。なんで人の家の壁をフライパンで壊すんだよ。」


じろりとラシュに睨まれて、アッシュが視線を泳がせる。


「いや、せっかくだから料理の手伝いをしようとして、フライパンをふりかぶったら・・・壁が壊れた。」


「なんで料理するのフライパンを振りかぶる必要があるんだよ。いつも言ってるだろ、お前の手伝いは手伝いにならないって。」


「ううう。」


ラシュに言われてへこむアッシュだが、ラシュについててくてくと歩き続ける。

ひたすら歩き続け、店を転々とする。徐々に荷物が増え、最終的に荷馬車まで借りた時点で、ようやくアッシュはラシュに尋ねた。


「ラシュ、何をするんだ?」


「・・・お前これ見てもわからないのか?というか、今まで何だと思ってたんだよ。」


アッシュの問いに、ラシュはがっくりと肩を落としつつ、アッシュに呆れた目を向ける。


「アッシュについてこいって言われたからついてきただけで、何ができるのかなって思った。」


「・・・お前がこわした壁、直すんだろうが。森に行って、まず木を切るぞ。」


「わかった。」


荷馬車をひいてやってきたすぐそばの森。ラシュはじっと森の木々を見る。


「アッシュ、これ切り倒せ。」


「わかった。」


ラシュが指さした大きな木をアッシュが剣で切り倒すと、ラシュが手斧で枝を切り落としていく。


「アッシュ、この木を乗せよう。」


「おう。」


二人がかりで丸太を荷馬車に乗せる。荷馬車にはレンガや砂利などいろいろ乗せている。その上に丸太がごろりと乗った。


「よし、帰るぞ!」


ラシュとアッシュは荷馬車に乗ってレベッカたちの家へ帰る。すでに夕方になっていた。


「ただいまー。」


「おにーちゃん、たすけてー!!」


家の前に荷馬車を置き、荷物を持って扉を開け声をかけたとたん、レベッカがラシュに飛びついた。「たすけてー!」とは一体何事かと目を丸くするラシュの視界に入ってきたのは、いつものシグの料理姿と、マイペースに本を読んでいるサイカの姿だった。まったくいつもどおりの光景に、ラシュは首をひねる。


「どうしたんだ?レベッカ。」


ラシュの後ろから荷物を運んでいたアッシュがラシュに抱きついているレベッカに問いかけた。


「だってえ、おねえちゃんがペッパー入れるってー。」


半泣きの様子に、ラシュとアッシュは顔を見合わせて苦笑する。


「そりゃ食べるしかないな~。」


「シグの料理は高いから残せないぞ~。」


「えー。」


ラシュがぽんぽんと頭をなでてやるが、レベッカはラシュにしがみつく。


「やだー。」


「大丈夫。シグがおいしく味付けしてくれるって、な?」


ラシュがシグに振ると、レベッカがシグの方へと向く。


「あたりまえやん。うちの料理がうまくないわけがない!安心しとき~。絶対おいしいって食べさせたるわ~。」


ふふんといい笑顔を見せるシグを見て、レベッカはラシュを見る。


「ほらな。」


「シグの料理はうまいぞ~。で、ラシュ、荷物はどこに置く?」


アッシュもレベッカに声をかけつつ、ラシュに問いかけた。


「ああ、あっちに置いておこう。レベッカちょっと離れてくれ。片付けるから。」


「う、うん。」


レベッカもラシュの言葉は素直に聞いて、二人が片付けるのを少し離れて見る。






「わー、おいしいー!!」


レベッカは目の前の料理に夢中になって食べている。


「ふふーん、当然や!うちの自慢の料理なんやで!」


「そうなら、いつも作ってくれたらいいのに。」


「いやや、面倒や。ラシュの料理でええやん。おいしいんやから。うちの料理は特別やからな!」


「まあ、うまいのは否定しないけどな。」


シグが胸をはって楽しそうに食べている横で、ラシュは肩を落として食べる。


「本当に、ありがとうございます。いつも、こんなに豪勢な料理は食べさせてあげられなくて。」


レイヌーが病人用のご飯を食べながら、嬉しそうに食べているレベッカを見て、ラシュ達にお礼を言った。


「いいんですよ。快気祝いはパアッとしないと。喜んでもらえてよかった。」


ほっと微笑むラシュに、レイヌーも微笑み返す。


設定24

あいた穴は一応買ってきた丸太をおいてふたをしています。

ふたをしているだけだが、隙間なくつめて天井につっかえているほど。

風が入ってこなくなる応急処置どまり。


料理の腕 レイヌー>シグ≧ラシュ>サイカ>アッシュ

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