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21 野菜ジュース

つじつまがあうような、あわないような。


楽しんで頂ければ幸いです。

「そもそも、なんで最初っから僧院か神殿に行かんかったん?」


シグがレベッカに尋ねると、悔しそうに答えた。


「お母さん連れて神殿に行ったけど、治療費が払えなくて。」


「僧院はどうでしたか?」


サイカに尋ねられると、レベッカは泣きそうになるのをぐっと耐えた。


「僧院では、もう手遅れだって言われた。時間がたちすぎているから、僧院の薬じゃあ、どうしようもできないって。」


瞳を潤ませながら、レベッカはアッシュの手を握る。


「だからさ、お兄ちゃん。最後に、お母さんにピュアエキュルイユを一目みせてあげて。」


「おう。わかった。きっとい見せる!治療はラシュに任せるから、俺はピュアエキュルイユを探しに行く。」


「うちもアッシュと行くわ。治療は手伝えれんから。ほな、サイカ、後は頼んだで~。」


アッシュとシグがレベッカたちの家を出ると、サイカとレベッカだけになった。


「さて、うるさいのがいなくなったことですし、レベッカさん。」


「うん?なあに?お兄ちゃん。」


「あなたも診察しましょう。もしあなたも他の病気になっていたら困りますからね。」


サイカの言葉に、おとなしくレベッカは診察してもらう。


「はい、大丈夫です。あなたの健康状態は、栄養不足ですね。ご飯をいっぱい食べたら治ります。とりあえず、これを飲みなさい。」


サイカがかばんから取り出したのは、野菜ジュースだった。


「うわあ、おいしい!」


「おいしいですかねぇ。素材そのままの味ですから結構ひどいはずなんですが、もしかして、味覚もおかしくなっているのでしょうか。」


サイカは渡した野菜ジュースを嬉しそうに飲んでいるレベッカを診て、首をひねらせた。


しばらくして、ラシュが帰って来た。そして家にいる人を見て、きょろきょろと辺りを見回す。


「ただいま・・・って、アッシュとシグは?」


「自分たちにはすることがないからとピュアエキュルイユを探しに行きましたよ。それからシグは、『報酬以上の仕事は契約してない』、だそうです。」


「ああ、そりゃシグはそうなるよな。だが大丈夫だ。スポンサーもついたぞ。」


「どういうことです?」


「アシピレヒドの毒、ロイエよりいい薬があるんだ。とりあえず、半日で作るから、それまでサイカはレイヌーさんを維持させてくれ。」


「ラシュが作れるのですか?」


「できるさ。それに、できれば流通させていいらしい。」


「それは王宮から仕入れた情報ですか?」


「王宮?いいや、冒険者ギルドだ。俺は作るから、頼んだぜ。」


ラシュはかばんからいろいろなものを取り出して、早速薬を作り始める。サイカはこれ以上話しても時間の無駄と知り、レベッカをつれてレイヌーの看病へ向かった。


ラシュは薬草を煎じながら、サイカとの会話を思い返した。


「ったく、アッシュのやつだな?王宮うんぬんは。スー爺から王宮のつてなんてもらってないってのに。いらないこと言いやがって。しかし、薬草の種類が多すぎるな。これをこうして・・・」


ひたすら薬草を煎じ、混ぜ、魔術陣を使って時間短縮を図ったり、魔法と魔術陣を駆使して本来ならもっとかかる制作時間を大幅に短縮させていた。


「たっだいまー!ピュアエキュルイユ、連れてきた-!!」


明るい声が家の中に広がる。とたんに、レベッカが部屋からどたばたと出て、シグとアッシュに駆け寄る。


「待たせたな、レベッカ。こいつがピュアエキュルイユだ。」


アッシュの肩に乗っているリスのような生き物を見て、レベッカは目を輝かせた。


「かわいいー!!」


背の高いアッシュの肩の上にいるために、レベッカはぴょんぴょんと跳んで見ている。


「いいか?」


アッシュがピュアエキュルイユに問うと、ピュアエキュルイユは、するするとアッシュの腕を降りて、ぴょんっとレベッカの手の中に跳んだ。


「うわあ、あったかい。」


にこにことピュアエキュルイユをなでるレベッカだが、突然走り出し、母の部屋へと入った。それを追い、アッシュも部屋へと入る。残ったシグは、ごそごそと作業を続けているラシュに歩み寄った。


「で、ラシュは何しよるん?」


「ん?ああ、おかえり、シグ。薬を作ってんだ。」


作業から一瞬顔をあげ、シグの姿を見ると、ラシュはすぐに作業をしながら答える。


「やから、料金外はだめやって言ったやん。」


「大丈夫だ。ギルドから了解をもらったから、売れるぞ。」


「え?どういうことなん?」


「ロイエより価格の安い薬を作れるってことだ。ただ時間がかかるんだが、俺が作ると簡単に作れるから、ある程度流通させることができる。で、魔術陣を使えば、普通の薬屋でも作れるようになるから、知り合いに任せれば儲けだけこっちに渡してもらうことも可能だということだ。」


「・・・すっごいやん!!その儲け話。・・・でも、なんでギルドは作らんのや?」


「この魔術陣作れる奴は全員宮廷魔術師レベルじゃないとできないからな。あいつなら任せられるだろ。」


設定21

冒険者ギルドは引退した冒険者たちが働いているので、強い人が多いが、さすがに宮廷魔術師クラスはなかなかいない。そのため、薬の生産方法がわかっても流通させられないことがある。ラシュの場合はかなりめずらしい例であるが、アッシュがいるため、副収入ができるのはありがたいことだった。

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