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17 羊、羊、山羊、山羊、羊、羊、山羊、山羊、羊・・・

バーデン高原到着。

ようやく二つ目の依頼です。


楽しんで頂ければ幸いです。

「さあ、そろそろ行きましょう。バーデン高原へ。」


準備のできたシグとサイカが戻ってくるころには、ラシュたちもモノケロースの部位とお金を受け取っていた。


「ここからはさっきゲットした馬、使お!」


「あれ、シグ全部売ったんじゃなかったのか?」


るんるんと楽しそうにしているシグに、ラシュが尋ねた。


「バーデン高原に行くのに、馬ないやなんて嫌やん。四頭だけ残して売ったんや。」


「助かりますよ、シグ。」


微笑んでお礼を言うサイカに、シグが手を差し出す。


「お礼は現金がええわ。」


「薬草でお返ししますよ。」


「サイカの薬草なんやいらんわ。」


頬を膨らませて先に歩いて行くシグを見て、男三人はくすりと笑う。




四人は馬に乗ってバーデン高原へと向かった。


「で、何を討伐するんだ、ラシュ。」


馬で駆けながら、アッシュがラシュに尋ねた。


「そうや、うち、それも聞いてへんで。」


「あれ?言ってなかったか?」


ラシュは二人の言葉に、話したつもりだったと照れながら、答える。


「グラーツィアペコラとマルヴァジタカプラの群れの討伐だ。」


「なんやの、それ。」


滅多に聞かない魔物の名前に、シグが首をひねる。


「要するに、優雅な羊と邪悪な山羊。羊の方はかなりいい毛皮が取れる。山羊の角は強い魔力を蓄えているはずだからかなり高価になる。バーデン高原には群れがたくさんあって、この時期になると数を減らすために討伐するらしい。増えすぎると餌が無くなって平野に下りてくるから困るんだと。」


「ということは、その毛皮や角を買ってくれるわけや。いい金になりそうやな。」


「まあな。大量に狩って売り飛ばせるだろうが、ほどほどにな。」


「で、邪悪ってぐらいやから、山羊、強いん?」


「いや、アッシュなら一人で無双できる。」


「なんや。余裕やん。」


「まあな。ただし、その場合、毛皮はぼろぼろで使い物にならない。」


「それはあかんやん。」


「ということで、アッシュは山羊メインに倒せ。マルヴァジタカプラは幻術を使うらしいが、基本的にお前には対属性魔術陣付与防具がついているから大丈夫だろ。角は傷つけないようにな。シグはグラーツィアペコラに罠を仕掛けて捕らえよう。さっさと毛皮を刈ってしまえばいい。」


「よし、わかったぞ!!」


「よっしゃ、金に成る羊、刈ってしまお!」


腕を振り上げて張り切るアッシュに、トラップ用の紐で遊び出すシグを見て、ラシュはふっとサイカを見た。


「私は幻術を抑えましょうかね。」





四人がバーデン高原にたどり着くと、そこには見渡す限りの羊、羊、山羊、山羊、羊、山羊、羊・・・


「なあ、群れってどころじゃねえよな。」


ラシュが驚き呆れてつぶやく。


「これは、大繁殖していますねぇ。」


サイカも思わず眉をしかめた。


「もしかして、上に乗ったら、もふもふ天国?」


アッシュが目をきらきらさせて尋ねるが、


「落とされるだろ。」


「つぶされて終わるやろ。」


「毛に埋もれて落ちて踏みつぶされるでしょうね。」


三人にけちょんけちょんに言われてしまった。


「ラシュがフライかけてくれたらいける。」


「そんな魔力使いたくねぇ。」


「というか、これじゃあ、一度倒したら全体に襲われそうや。」


視界一面に広がる羊と山羊に、シグは腕を組んで悩み出す。


「広範囲にスリープの魔法をかけるのも一つだが。」


厳しいよなあと思いながらもラシュは一案をひねり出す。


「そんなことしなくても、この魔物たちも夜になると睡眠をとるでしょう。その時に一気に仕掛けたらいいんですよ。」


サイカがそんな二人の様子をあざ笑うかのようにさっくりとした案を出した。


「くっ、なんか腹立つ言い方だな。」


「ええ、そのつもりでいいましたよ。ふふふ。」


「も~、サイカに負けるんは腹立つわ~。でもそれが一番良さそうや。」


四人は一度バーデン高原から離れて様子を見ることにした。




「あんなにぎっしりいるのに、バーデン高原から出ては行かんのやな。」


離れたところからぎっしりといる羊と山羊たちを見て、シグがつぶやいた。


「あのバーデン高原の植物はかなり質がよいようです。だから彼らも好んで食べているのでしょう。しかし、もうそろそろ食糧難になりそうですねぇ。今晩が狩り頃でしょう。」


「とりあえず、のんびり待とう。晩飯、何にするかな。」


「あ、うち、パスタがいい!!」


暇になったラシュがつぶやくと、シグが元気よく答える。


「パスタか・・・。なら手伝えよ、シグ。」


「え~、面倒。」


やる気のない返事に、ラシュがせっつく。


「毎回俺が作ってんだろ。たまには手伝え。」


「俺は薪拾ってくる~!!」


「私は水場をみつけてきます。」


そそくさと離れていく二人に、シグが吠える。


「二人とも逃げたな~!」


「ほら、野菜の皮むけ。」


ラシュから野菜を投げられ、シグはしぶしぶ手伝うことにした。


薪を拾ってきたアッシュの肩には、風の精霊が乗っていた。


「どうした、アッシュ。」


「なんか、来た。」


「そうか。」


別に何かしてくるわけでもないので、いつもどおりアッシュは肩に乗せたままだ。精霊と話せるわけでもないので、放置している。



設定17

グラーツィアペコラは高級な毛糸を作れる羊の魔物である。特にバーデン高原で育ったものは高級品である。いい具合に増えたときに、討伐依頼が出されるのだ。


マルヴァジタカプラはその名の通り幻術を扱う邪悪な山羊である。山羊自体が悪魔の生け贄のイメージがあるらしく、そんな名前がついたらしい。が、その角は幻術を扱う魔力がたまっているらしく、高値で取引されている。ただし、群れでいるため、幻術がどうにかできるパーティでないと対応できない。

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