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10 シェフ、ラシュのランチタイム

あまり料理らしい料理になっていない・・・

「うわー、ラシュさん、すごいですね!」


「まあ、アッシュがあれだから。」


ミーシャがラシュの作った料理を見て歓声をあげている。

一応ラシュのつくったものを運ぶ手伝いをしているミーシャだが、

ラシュの料理に目をきらきらさせている。

ラシュが作ったのは、モノケロースの肉で作った焼き肉。

しかも、焼き肉につけるたれまでその場で作っている。

空間魔法で取り出した調味料で味付けしているのだ。

さらに、野菜や乾物も取り出し、焼いている。


においに釣られて魔物がやってきているが、全て肉を待っているアッシュたちに狩られている。

ラシュに言われてミーシャたちが見ると、アッシュがすごく楽しそうに魔物を狩っていた。


「5頭目っ!おれの肉だぞ!!」


「デザートはうちに決まったやろっ!」


「まあまあ。食料が向こうから来てくれるのはありがたいですねぇ。」


魔物=食料である様子に、ザックもミーシャもジャクソンもひいている。

普通はこちらが食料と見られているはずなのだが。


さらに、ラシュは手を加え、料理ができたらしい。


「はい、どうぞ。」


ザックたちは、串に刺さったたれつきの焼き肉を受け取った。


「あ、ありがとう。」


「ありがとうございます。」


「ありがとうございます。」


目の前にある、肉、タマネギ、ピーマンが二層に重なり、香ばしいにおいをしたくし焼きに、三人は驚きつつもかじりつく。


「こ、これはうまい。」


「うああ、おいしいですー。」


「うまい!」


三人の様子に満足そうに笑うラシュ。その後ろで、アッシュたちが魔物を全て倒して、くしを食べ始めている。アッシュによってすごい勢いでくしがなくなっている。


「ラシュ!おかわり~!」


「おう。」


ラシュはアッシュに急かされながら次の肉を焼いていく。

シグとサイカは落ち着いて味わって食べている。


「モノケロースの肉は今までの肉よりおいしいやん。」


「そうですねぇ。さすが神獣といったところでしょうか。」


「調理するのは面倒だけどな。」


「そうなん?うちはおいしいから満足や~。」


「そろそろスープができたはずだ。」


ラシュは二品目も用意していたらしい。


「熱いから、ゆっくり飲んで。」


ラシュから受け取り、三人はそのおいしさに目をみはる。


「ふぅ、おいしい。」


「あったかくておいしいです!」


「こんなところで食べられるなんて・・・」


「アッシュはまだ肉食べるんやろ?うち、おかわり~。」


「スープはアッシュのしか残ってないぞ。ああ、シグ、デザートはあとでな。」


「えー!」


「お前一人だけなんだから今はみんなで食べられるもので我慢しろよ。」


ラシュはアッシュ用のくしを作りながら、自分も食べている。

ミーシャはそんなラシュの様子を見て、尋ねる。


「いつもこんな料理を作っているんですか?」


「よく作ってるよ。弁当を作っておくこともあるし、干物のときもある。」


「ラシュさんは料理人なんですか?」


「まさか。アッシュが食べたがるから作ってるだけ。元々魔法の修練で家事をしてたから、得意なんだ。」


「魔法の修練に家事ですか?」


「俺の師匠の方針だったんだ。おかげで生きる術は身についたけどな。」


「シグさんは作らないんですか?」


「だって、ラシュの料理おいしいやろ?うちが作らんでもええやん。」


「シグが作ってくれたら俺が助かる。」


「だって、アッシュが食べる量作るんはいやや。多すぎや!」


「そうですね。」


ミーシャがアッシュを見て呆れる。

アッシュは未だに食べ続けているが、すでに5人前は食べている。


「ふふぁあ、めいっぱい食べました。ラシュさん。ごちそうさま。」


ザックは腹をなでながら馬車へと戻っていく。


「そろそろ片付けるか。」


さくさくと後片付けをしていくラシュとアッシュ。

さすがに片付けはアッシュも手伝っている。

というか、片付ける道具を空間魔法陣にあてているだけだ。

むしろそれ以外はさせてもらえない。ラシュがさせないのだ。


荷物が片付いたところで、馬車が走り出した。

アッシュは再び馬の横で走り出し、ラシュとシグは馬車の一番後ろに後ろ向きに座り、後方の警戒をしている。サイカは御者席で前方の警戒だ。


「そろそろいいだろ。ほら、約束のデザート。」


ラシュが差し出したのは、果物の氷付けだ。


「やっほーい!冷たくておいしー!!」


シグが幸せそうに氷付けをほおばる。


「作った甲斐があるな。やっぱり魔法陣付きの大型保冷庫の作成が必要だな。」


「大型って何するつもりや。」


「肉を冷凍保存できたり、料理をためておける。いちいちしなくていいだろ。」


「それは便利やな。」


「ただ、それだけの魔術陣を考案しないといけないのが大変だ。でかい分、魔力の消費量が高いからなぁ。まだまだ先だろうな。」


「先の長い話やな。」


「さて、今日は野宿だろうが、シグはミーシャさんと寝るか?」


「そうやな。その方がええやろ。

 ・・・よっしゃ、それなら、うちは見張りなしやな?」


「・・・そうだな。それしかないか。俺とアッシュとサイカでしよう。」

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魔術師が宮廷に取り込まれているために、なかなか民間の魔術陣の使用が広がらない。寄って、魔術陣を使った保冷庫などもない。魔法で一時的に冷やすことはできる。宮廷魔術師たちはせっせと様々な魔術陣を開発しているが、それが表に出ることはほぼなく、宮廷内もしくは戦場でしか使用されない。まれに、引退した魔術師によって、広がることがある。その例はスー爺のように弟子を取った場合である。宮廷魔術師筆頭であったスー爺の教えを受けたラシュのように多彩な魔術陣を使えるのは稀。普通はそこまで使えない。貴族に拾われた魔術師もいないわけではないが、使える魔術陣が少ない。魔術師はほぼ宮廷魔術師に誘われ、入る。それだけの保証と地位があるからだ。ラシュの場合、すでにスー爺から高度な魔術師教育を受けているため、特に必要としていないだけである。

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