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第九十三話

 クエストを達成するためにローレンと模擬戦をすることになったアルハレムは、仲間達と一緒にシャイニングゴッデスの一階にある大部屋に来ていた。


 その大部屋は城の兵士達の訓練室で何人もの兵士達が訓練をしていたが、アルハレムとローレンの二人の勇者一行が訪れると兵士達は訓練を止めて、ローレンがアルハレムと模擬戦をしたいと訓練室の兵士達に伝えると急遽二人の戦う舞台が整えられた。


 訓練室の中央にある兵士同志が一対一の試合をするリングの上でアルハレムとローレンは対峙していた。リングの外ではリリア達アルハレムの仲間達とローレンに従う戦乙女達が囲んでそれぞれの主人を見ており、それを更に遠巻きにして兵士達が見ていた。


「おい、あれって新しい勇者だろ? 確かアルハレムって言う名前の……」「あのギルシュの蛮ぞ……いや、神速の名将アストライアの息子だったよな」「噂じゃあの仲間達、全員魔女だって話だよな?」「いや、一人は妹らしいぞ? しかも戦乙女の」「それにしても全員いい女だよな……」「俺は妬ましくなんかない。俺は妬ましくなんかない。俺は妬ましくなんかない。俺は妬ましくなんかない。俺は妬ましくなんかない」「戦乙女のハーレムを引き連れたローレン皇子。その後輩は魔女のハーレムを引き連れた貴族の息子か」「あの戦乙女達も全員いい女だよな……」「ハーレムなんか認めない。ハーレムなんか認めない。ハーレムなんか認めない。ハーレムなんか認めない。ハーレムなんか認めない」「戦乙女のハーレム対魔女のハーレムか……。ある意味見物だな」「戦うのはそれを率いる二人の勇者だがな」「だけどあの二人、育ちもよくていい女に囲まれてその上勇者だって? ここまでくると世の無情さを感じるな」「ああ、それは俺も思った。所詮この世は金とコネを持っている奴が全てを手に入れるってか?」「……なぁ、模擬戦ってことは、今から二人が戦ってどちらかが負けるってことだよな?」「……それは、当たり前だろう」「無様をさらして嫌われればいいのに。無様をさらして嫌われればいいのに。無様をさらして嫌われればいいのに。無様をさらして嫌われればいいのに。無様をさらして嫌われればいいのに」「おい、今の誰だ?」「黙らせろ。不敬罪になってもしらんぞ」


 リングの外から聞こえてくる兵士達の言葉にアルハレムはうんざりとした表情となる。


「はあ……。ここでもこんな目で見られるのか」


「ははっ。慣れたら気にならないよ」


 ローレンもアルハレムと同様に兵士達の嫉妬の感情を向けられているのに平然と笑い飛ばし、それを見て魔物使いの勇者は目の前にいる王族の勇者を中々の大物だと思った。


「それに、アルハレム君が僕の後輩になってくれたお陰で嫉妬の感情も半分になるだろうからね」


「いや……。どう見てもこれ、俺が加わったせいで嫉妬の感情が二倍になってますよね? 俺とローレン皇子で分けあっても変わりませんよね? それよりもローレン皇子、武器はいいんですか?」


 訊ねるアルハレムはいつもの毛皮のマントを羽織って手にロッドを持っていたが、聞かれたローレンは先程までと同じ格好で手には何の武器も持っていなかった。


「ああ、構わないよ。僕の武器は『これ』だからね」


 ローレンは笑ってアルハレムに答えると左腰にある小型のバッグを軽く叩いた。


「それが武器?」


「そうだよ。詳しくは戦ってみたら分かるよ」


「……分かりました」


 アルハレムがそう言うと審判役の兵士が模擬戦開始の合図を出した。


「さあ、行きます! ……ぐっ!?」


 模擬戦が始まりアルハレムがローレンに向かって走り出そうとした瞬間、アルハレムのロッドを持つ右手に強い痛みが走った。

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