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第六十五話

 アルテアから逃げ出した……もとい、石の巨人の撃退に出たツクモはエルフ族の家屋の屋根に飛び乗ると周囲の状況を確認した。


 廃墟に現れて今も行動している石の巨人は全部で四体。


 その内の二体はアイリーンとリリア達五人と戦っていた。だが五人の魔女と戦乙女が風のような素早い動きで二体の石の巨人を翻弄し、敵に攻撃する間も与えずに刃と爪で石の巨体を削っていく光景は、戦いというよりも一方的な蹂躙と言った方が正しいだろう。


「「……」」


「木偶如きが! いつまで私の前に立っている!」


「石の人形なんかがアルハレム様を傷つけてぇ! ただで済むと思わないでくださいよ!」


「………!」


「絶対に! 破壊! 粉砕! 塵も! 残さない!」


「死ね死ね死ね死ね! 壊れろ壊れろ壊れろ壊れろぉ!」


 攻撃の手を緩めることなく二体の石の巨人に向けて怒声を放つアイリーンとリリア達に、ツクモはそっと顔をそらした。


「……敵で、しかも作られた存在とはいえ、あれにはツクモさんも同情するでござる。アルに手を出したのが運のつきでござったな」


 アイリーンとリリア達は心配する余地はないだろう。そう判断したツクモがよそを見ると、三体目の石の巨人が兵士達に襲いかかっているのが目に入った。


 しかし三体目の石の巨人は、ツクモの部下である猫又のタマとミケ……ついで「オマケ」が前に立って応戦していて、兵士達もタマ達の邪魔にならないように石の巨人に攻撃をしていた。


「……」


「獣娘には指一本触れさせん!」


 ガキィン!


 オマケ……ライブがタマに向けて振るわれた石の巨人の拳を手に持った剣で受け止める。その光景に兵士達の間から驚きの声が上がる。


「相変わらずライブは獣娘が関わると超人と化すでござるな。……でもあれならば心配はいらんでござるな」


 そう言うとツクモは最後の一体、自分の方に向かってきている石の巨人を見た。


「やれやれ、ツクモさんが狙いでござるか。……でも丁度いいでござる。今日は予想外の出来事の連続で驚いたり失敗してばかりで、そろそろカッコいいところを見せないと立つ瀬がなかったでござるよ」


 ツクモは石の巨人に獰猛な笑みを見せると、輝力で身体能力を強化して大きく跳躍をする。


「まずは……これでござる!」


 石の巨人の上空に飛び上がったツクモは手に持っていた木片を巨人に投げつける。それは先程まで立っていた屋根からむしりとった木片だった。


 普通ならただの木片を投げつけてもまっすぐ飛ばないし、速さも距離もそれほどでない。だがツクモの手から放たれた木片はまっすぐに、それも高速で飛んで、石でできている巨人の体に突き刺さった。


 これがツクモの固有特性「投擲の天才」の効果。


 ツクモは手に持った物の重量や重心を正確に把握し、最も威力と速度を出せる投げ方を本能で編み出して即座に実行することができる。この猫又の魔女にすれば、一本の剣から足元に転がっている小石まで全てが投擲用の武器なのである。


 そしてこれに魔女の力が加わればそれは正に脅威の一言で、ツクモ一人だけで精鋭の弓兵五十人分の働きができると言われていた。


「ふむふむ……。なるほど。体の硬さはそれなりでござるね」


 ツクモは石の巨人の体に突き刺さった木片を見て呟くと足元の石をいくつか拾った。


「でもこれぐらいだったら石でも充分でござる……な!」


 駆け出したツクモは石の巨人に近づくと手に持った石を投げ、弓矢に匹敵する凶器と化した石は巨人の体に次々と命中して当たった箇所を打ち砕いていく。


「にゃ! にゃ! にゃ! にゃ! にゃ!」


 石の巨人の周りを縦横無尽に動き回り、ふざけたかけ声と共に石を投げるツクモ。石を投げて巨人の攻撃を避けて、地面から石を拾ってまた投げる。


(これまでの敵と同じように、この石の巨人も体のどこかにある核を破壊しない限り、何度でも復活するはずでござる。まずは手当たり次第に攻撃して核の場所を探るでござる)


 石の巨人の状況は無数の投石器の集中砲火にさらされているようなものであり、石でできている巨体は瞬く間に削られていく。そうしているうちに放たれた石の一つが巨人の体を打ち砕ずに弾き返された。


「見っけ、でござる♪」


 自分が投げ放った石の一つが弾き返されたのを見たツクモは、笑みを浮かべると懐から一本の投擲用の投げナイフを取り出した。すると投げナイフは紫色の光に包まれて、刀身の部分が二倍くらいまで伸びる。


「『紫光弾』!」


 かけ声と共に紫色の光に包まれた投げナイフを投げ放つ。狙いは先程の石が弾き返された箇所、石の巨人の胸の中央。


 紫色の閃光となった投げナイフは寸分違わず石の巨人の胸を貫き、核を破壊された巨人は無数の石となって地面に崩れ落ちた。


「まぁ、こんなところでござるな」


 辺りを見てみると他の巨人達もすでに倒されているようであり、これで障害は全て片付いたと見ていいだろう。


「アイリーン達も合流したでござるし……これでようやく神殿の奥へと行けるでござるな」

戦闘シーンが上手く書けない……。どうやってもあっさりとすぐに終わってしまう……。

文才の無さが恨めしい……。

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