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第五十話

「……? ルルの、力、必要?」


「ツクモさん。それはどういうことですか?」


 突然ツクモに呼ばれてルルは首をかしげ、アルハレムが質問する。


「あの魔物を生み出す森、ダンジョンの奥地にはエルフ族が造った街があって、猫又の一族の長年にわたる調べによると『核』にされた魔女の子供は、街の中央にある神殿に封印されているようなのでござる。しかしその神殿の封印を解くには必要な手順があるらしく、そのためにルルの力が必要なのでござるよ」


「ちょっと待て。猫又の一族はダンジョンを突破したのか? ならば封印を解く手順とやらをエルフから聞き出せるのではないか? 捕虜にして尋問すれば……」


 ツクモの説明にアイリーンが首をかしげながら聞くと猫又の魔女は首を横に振って、それはできないと否定する。


「残念ながらその街のエルフ族は皆、とうの昔に死んでいるのでござる。……ダンジョンには核にされた魔女の子供の意思が宿っていて、エルフ族は自分達が造ったダンジョンに閉じ込められて滅んでしまったのでござるよ。要するに拐われた魔女の子供の復讐でござるな」


「それは、なんと言うか……」


「バッカじゃないの? そのエルフ族」


 あまりにも拍子抜けなエルフ族の最期にアルテアが何とも言えない表情を浮かべ、アリスンが率直な感想をのべる。ツクモも同じ意見なのか肩をすくめてみせると話を続けた。


「アリスンの言う通りでござる。まあ、そこまでならエルフ族の自業自得と笑い話で終わったのでござるが、問題はエルフ族が全滅してしまったため、封印の解除手順が分からなくなったことでござるよ。……当然、猫又の一族も自力で封印を解こうと様々な手段を試したでござるが結果は全てダメ。どうしたものかと考えていたところに現れたのがそこのルルなのでござる」


「だからそこでどうしてルルが出てくる……って、そういうことか、グールの種族特性」


 アルハレムはそこでようやくツクモがルルを必要としていた理由を悟る。


 グールの種族特性、「知識の遺産」。


 物に宿る記憶や知識を己のものにできるグールの種族特性。それを使えばエルフ族が残した遺品から封印を解く手順を知ることができるかもしれないとツクモは考えたのである。


「そういうことでござる。……そしてルルという猫又の悲願達成の光明が見えたからにはツクモさん……いや、一族より特命を受けた特務部隊九十九代目隊長『九十九』は、ここにいる皆に魔女の子供を救出する助力を求めるでござる」


「マスタノート家の当主である私は初代より当家に尽力してくれた猫又の一族との契約を違えるつもりはないが……アルハレム、お前はどうする?」


 アストライアはツクモの要請に頷くとアルハレムを見る。


 この場でツクモが最も必要としているのは、エルフ族の情報を知る可能性があるルルであり、そしてそのルルに唯一言うことを聞かせられるのはアルハレムだけであった。アルハレムは母親の視線を向けられると少し考えてから口を開いた。


「……いえ、俺は母さんの決めたことならそれに従うけど……ルルはどうなんだ?」


「我が夫、従う、なら、ルルも、それ、従う」


「……そうか。ありがとうな。ルル」


「き、気に、しない、で。これも、妻の、努め」


 訊ねると即答してくれたルルにアルハレムは嬉しくなって微笑んで礼を言うと彼女はまんざらでもなさそうに顔を赤くする。すると……、


『…………………………』


 部屋にいる女性陣のほとんどが魔物使いとグールの二人を様々な感情が混じった目で見る。


「うっ……!? そ、それでツクモさん。猫又の一族と契約した魔女って一体どんな魔女なんですか?」


 女性陣の責めるような視線を誤魔化すように訊ねるアルハレムの質問にツクモは頷いて答える。


「猫又の一族と契約をした魔女は『霊亀』。この世界で最も強く大地母神イアスの力を受け継いだと言われている種族でござる」

霊亀は中国神話で「蓬莱山」という仙人達の住む土地を背負ったという神獣で、そこから「自分達の認めた者以外、決して入れぬ場所を創る」という設定を考えました。少々強引すぎると思いますが許してください。

リクエストしてくれた龍刀さん、まだ登場してませんがまずは亀系の魔女を。鳥系の魔女はまた次の機会に考えます。

魔女のリクエストまってます。

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