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第二百六十二話

「貴様らぁ! 作業が遅れておるぞ! もっと早く手を動かさんかぁ!」


『『おおうっ!!』』


 アルハレムとリリアがエターナル・ゴッデス号の寝室で話をしていた頃、成鍛寺の近くにある森でコシュと成鍛寺の僧侶達の大声が響き渡った。そのあまりの声の大きさに森の木々が震え、木の上で暮らしていた鳥達が我先にと飛び去っていく。


 現在コシュ達、成鍛寺の僧侶達はメイの復活を祝う為の祭りの会場を建設していた。


 メイの復活を祝う祭りが無事に終わってアルハレムのクエストが達成されるとこの地に女神イアスが降臨される。


 この事実にコシュを初めとする成鍛寺の僧侶達は大いに湧き立ち、メイの復活を祝い女神イアスの降臨を歓迎するための会場を成鍛寺の近くにあるこの森に建設することに決めたのだった。……ちなみにそのあまりもの成鍛寺の熱意に若干引いたアルハレムとメイが「別に成鍛寺の境内でもいいのでは?」と言ったのだが、その意見は見事なまでに無視された。


「よいか! この祭りが成功すればクエストブックを持つアルハレム殿の元に拙僧らが敬愛してやまない女神イアス様がご降臨なされる! その時に何かの不手際があって女神イアス様を落胆させる事などあってはならぬ!

 アルハレム殿の話によれば女神イアス様は伝承の通り、穢れなき童女の如し愛らしいご気性のご様子! その様な女神イアス様をあんな汗臭くてカビが生えていて虫がわいている境内にお招きするなど不敬の極み! それ故に拙僧らはここに第二の御本堂を築くつもりでメイ殿の復活を祝い女神イアス様をお招きする舞台を作るのだ!

 分かったら働け! 働け! 働けぃ! 休むのは舞台が完成した後か死んだ時のみじゃあ!」


『『おおおうっ!!』』


 ……何というか成鍛寺の歴史を否定している上に人として色々どうかと思うコシュの発言であるが、成鍛寺の僧侶達はそんなコシュの言葉に反感を覚えるどころかむしろやる気をたぎらせて作業の速度をあげる。


「はあああっ!」


 数人の成鍛寺の僧侶が高速で斧を振るって森の木々を倒し、


「おおおおっ!」


 倒された木々を別の成鍛寺の僧侶が建物を建てるの木材に加工して、


「ぬうううっ!」


 また別の成鍛寺の僧侶が用意された木材を使って舞台を建てていく。


 これらの動きは本職の職人と変わらぬ程で、速さで言えば本職の職人を大きく上回っている。


 ちなみにコシュや作業を行っている成鍛寺の僧侶達の顔には全員例外なく深い隈ができていた。


 コシュ達はアルハレムの協力を申し出てから今日まで不眠不休で舞台作りをしており、今日で徹夜十日目に突入しているにも関わらず疲れた様子も見せずに凄まじい勢いで舞台作りに励んでいる姿からはある種の執念のようなものが感じられた。


 これも全ては今回の祭りを成功させる為。アルハレムのクエストを成功させて女神イアスの降臨に立ち会いたいという信仰心の成せる技であった。


 ……恐るべきは成鍛寺。女神イアスを敬愛する人々の信仰心か。

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