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第二百四十話

「すみませんコシュさん。俺の仲間が失礼なことを言って」


 アルハレムがコシュに、リリアの開祖の兄に対する発言について謝罪すると、コシュは首を横に振った。


「いえ、どうかお気になさらず。開祖の兄については拙僧も自業自得であると思っていますからな。ですがこれは成鍛寺の恥部でありますので外部で話さないことを重ねてお願いします」


「はい。それは分かっています。……でもコシュさん? 魔物達の凶暴化の理由や、コシュさんがそれを何とかしたいと考えているのは分かりましたけど、俺達は一体何をしたらいいのですか? 俺達は封印の神術なんか使えませんし、戦うにしたってその魔女の特性で逆にリリア達が狂化されてしまう危険がありますけど?」


 アルハレムがこの依頼を受けた時から感じていた疑問を口にするとコシュが再度首を横に振る。


「それは誤解ですアルハレム殿。確かに拙僧は魔物達の凶暴化を何とかしたいと思っていますが、その為に魔女に更なる封印を施すつもりも退治するつもりもありません」


「……?」


「封印を、する、つもりも、退治、する、つもりも、ない?」


 コシュの言葉にレイアが首を傾げてルルが疑問を口にする。


「左様。封印されている魔女は元はと言えば開祖の兄の被害者なのです。ならば魔物達の凶暴化を解決すると同時に封印されている魔女を救うのが拙僧達、成鍛寺の責任であると思うのです」


「そう……。その、考え、は、立派。でも、じゃあ、どう、やって、魔物、達の、凶暴化、解決、する、つもり? と、いうか、その、魔女、を、救え、るの?」


「実は魔女の封印が弱まる予兆は一年くらい前からありまして、その時に拙僧は開祖の兄に神術を伝えたエルフの一族にこの事を相談したのです。

 そして拙僧はエルフの一族から『魔女の暴走は開祖の兄への負の感情と神術が変に作用しあった結果で、神術を解除できれば魔女の暴走も収まるかもしれない』という話を聞かされました。しかし魔女にかけられた神術を解除するには開祖の兄と同じ魔物使いの冒険者の力が必要らしく……。

 世界にたった百人しかいない冒険者を、しかもその中から魔物使いの力を持った者など簡単に見つかるはずもなく、拙僧は途方にくれておりました。その時に……」


「俺の事を知った、と……」


「成る程ね。それでお兄様の力を借りたいって訳ね」


 コシュの言葉を引き継ぐようにアルハレムが話の先を言い、ようやく話が繋がったとアリスンが納得した顔で頷く。見れば他の仲間達も同じような表情をしている。


「コシュさん、話は分かりました。改めて今回の依頼、引き受けさせてもらいます」


「おおっ! それはありがたい!」


 アルハレムが改めて依頼を引き受けると言うと、希望を見つけたコシュはその厳めしい顔を破顔して喜んだ。そしてそれを見てコシュが本気で封印されている魔女を救いたいのだと理解したリリアを初めとする魔女達は、目の前の僧に好意的な微笑みを浮かべた。


「それでその封印されている魔女の神術を解除するには、俺は何をしたらいいのですか?」


「それなのですが……」


「コシュ様。『例』のお客様が参りました」


 アルハレムの質問にコシュが答えようとした時、一人の成鍛寺の僧侶が本堂にやって来て来客を知らせてきた。

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