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第二百三十七話

「魔女や魔物達が道具?」


「左様。開祖の兄にとって魔物とはクエストブックに記された試練を達成するための道具に過ぎず、開祖の兄は仲間にした魔物を敵との戦いで盾にしたり、わざと殺してはその血肉や毛皮を旅の資金にしていたそうです。そして魔物の数が減ればまた新たな魔物を仲間にして同じことを繰り返していたと伝えられています」


「………そんなのは仲間とは言いませんよ」


 アリスンの言葉に頷いたコシュが開祖の兄がどの様に魔物を扱っていたのかを話すと、それを聞いたアルハレムが心の底から不愉快な表情となって吐き捨てるように言う。


「我が夫、魔物、の、為に、怒って、くれて、る。嬉し、い、ありが、とう」


「……」


 コシュの話で苛立つアルハレムにルルが嬉しそうに微笑んで礼を言い、その隣ではレイアが小さく頭を下げていた。いつも無表情のラミアの魔女であるが、それでも雰囲気で自分の主である魔物使いの青年が魔物の為に怒ってくれているのを喜んでいるのが分かり、それは他の魔女達も同様であった。


「しかし何故その魔物達はそんな男に従ったのでしょうか? 確かに魔物使いは契約した魔物に強い命令権を持っていますがそれも絶対ではありません。そんな無茶な命令をしたら流石に従わないのでは?」


 ロッドの姿でアルハレムの腰に収まっているアルマが、自分の知る魔物使いの冒険者の能力を思い出しながら疑問を上げる。その疑問に対してコシュは苦い顔をして頷いた。


「全くもっておっしゃる通りです。普通、その様な非道な真似をすれば従えていた魔物達に裏切られ、逆に殺されてしまうでしょう。しかし開祖の兄にはエルフの仲間がいて、そのエルフの協力によって開祖の兄は魔物達を完全に従えていたそうです」


『……エルフ?』


 コシュの口から出たエルフという言葉に、アルハレム達全員が明らかに不快感をあらわにした顔となったが、これは仕方がないだろう。


 何しろアルハレムとアリスンの故郷であるマスタノート領はエルフが造り出したダンジョンによって長い間苦しめられていたし、そのダンジョンの「核」とされていたのはここにいるヒスイで、ツクモ達猫又の一族は彼女をダンジョンから救い出すために苦労を重ねてきた。その上この一ヶ月の間、このシン国のエルフから一方的に目の敵にされて、アルハレム達のエルフに対する好感度は最低値となっていた。


「はい。そのエルフは一族に伝わる神術を使って開祖の兄が持つ魔物使いの魔物を従える力を強め、それによって開祖の兄は魔物を完全に従えたのです」


「ここでもエルフが絡んでくるのか……」


「もう何て言うか、疫病神なんじゃないですか? あの種族?」


 うんざりとした顔のアルハレムに続いてリリアが言うと、他の仲間達がサキュバスの魔女に同意するように頷いた。

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