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第二百三話

久しぶりに投稿しました。

休んでいる間に相変わらず短い文章ですが少し書きためることができましたので、また連日で投稿できると思います。

 アルハレムは一瞬、目の前にいるサキュバスの魔女が何を言っているのか分からなかった。


「今なんて言った? セクシー……コスチューム?」


「そうです。最近、アルハレム様の周りにまた魔女の仲間が増えましたからね。ですから私の影が薄くならないように、この辺りで新しい衣装を考えておこうと思いまして」


「……いや、影が薄くって、そんなことはないだろう?」


 顎に手を当てて悩むように言うリリアにアルハレムはほとんど反射的に答えた。


 確かにアルハレムの仲間達は妹のアリスンを除けば全員魔女で「絶世の美女」という言葉が非常によく当てはまる美しい容姿をしているが、それでも魔物使いの青年は魔女の仲間達の中に混じったことでこの個性的なサキュバスの印象が薄れたことはないと考えてリリアを見る。


 封印されていた期間を含めて二百年以上生きているというのに十代後半にしか見えない若い肉体。


 後ろに縛った長く伸びた桃色の髪に、どこかの国の王女ようであり一晩側に置くだけで何十枚の金貨を貢がねばならない高級娼婦ようでもある整った顔立ち。


 乳首と股間を申し訳程度に隠す極細の帯の衣装からこぼれでる頭部ほどの大きさの乳房に極上の果実のような臀部。


 初めて出会った時から変わらず……いや、出会った時以上に全身から色香を漂わせるリリアを改めて見て、アルハレムはやはり彼女の印象が薄れることはないと実感する。


「……」


「どうかしましたか、アルハレム様? ……もしかして私の姿に見とれていました?」


 アルハレムが思わず無言となってリリアを見つめていると、サキュバスの魔女はイタズラっぽい笑みを浮かべる。


「え? それは、まあ……そうだな」


 図星をつかれたのは少し癪ではあったが見とれていたのは事実であったためアルハレムは素直に認めると、リリアは浮かべていた笑みを更に深める。


「ふふっ♪ 素直な感想、ありがとうございます♪ 私が前よりも魅力的になれたのはアルハレム様のお陰なのですよ」


「俺のお陰?」


「はい♪ これは魔女に限らず全ての女性に言えることなのですけど、女性というのは好きな殿方に愛されれば愛されるほど輝くものなのです」


「そういうものなのか?」


「そういうものなのです♪ というわけで私が更に輝けるようになるために、新しいセクシーコスチュームを一緒に考えてください。とりあえず候補をいくつか作ってみてみましたのでどれがいいか選んでくれませんか?」


 リリアはアルハレムの言葉に胸を張って答えると、部屋のベッドの上に置かれてあるものを指差した。


「候補をいくつか作ってみた? 一体どうやって?」


「レムにお願いして作ってもらいました」


「ああ、なるほど」


 疑問に思ったアルハレムだったが、リリアの口からレムの名前を聞いて納得した。


 アルハレムの仲間の一人であるゴーレムの魔女、レムはこの飛行船の支配者で、配下として骸骨の人形の魔物を無数に作り出すことができる彼女ならリリアの衣装くらい作ることくらい何でもないだろう。


「レムも本当に器用……というか便利な能力を持っているよな。……これは」


 ベッドの上に置かれたリリアの衣装を見て思わず絶句するアルハレム。ベッドの上に置かれてあったのは、極細の帯や小さな金属片ばかりであった。


「……リリア、これは何だ?」


「何って、さっきも言ったように私の新しいセクシーコスチュームの候補ですけど?」


 アルハレムの質問にごく当たり前の表情で答える。恐らく彼女はこの極細の帯と小さな金属片で体の秘所を隠してそれで「衣装」だと言い張る気なのだろう。


「……………いや、これ、いつものお前の格好と同じじゃないか?」


「んな!? 何てことを言うのですかアルハレム様!? 同じじゃありませんよ! よく見てください、これはですね……」


 ベッドの上に置かれてある「衣装」を着たリリアの姿を想像したアルハレムが率直な感想を述べると、それを聞いたサキュバスの魔女は心外だとばかりに今着ている衣装と新しい衣装の違いを長々と自分の主に聞かせるのであった。

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