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第百九十五話

 アルハレム達がダンジョン「見上げる者達の塔」の最上階に行くと、そこは小さな天井とそれを支える柱、そしてエリクサーを奉っている祭壇しかなかった。


「あれがエリクサーなのか?」


 アルハレムが祭壇に視線を向けながら呟く。


 祭壇の上では黄金のように輝く液体が器に収まっていないにも関わらず、球体となって宙に浮かんでいた。


「ええ。間違いありません、主様。あの金色に輝く液体こそがエリクサーです」


 ダンジョンマスターであるゴーレムの魔女、レムが頷いて答えると、予め用意していた中身が空の小瓶をアルハレムに手渡す。


「よし! それじゃあアルハレム、さっさとお宝を手にいれようじゃないか。……それでその後はさぁ」


 ウィンはアルハレムに早くエリクサーを手にいれるように急かすと、自分の主に媚びるような視線を向けながら自分の豊満な肉体を擦り付けた。


「ねぇ、アルハレムさぁ? アンタ、ダンジョンを攻略してクエストを達成したいだけなんだろ? じゃあ、エリクサー自体にはあまり興味はないんだよねぇ?」


「……このクエストを達成したら神力石を譲る約束だったけど、それだけじゃ足りないの?」


「だってアタイ、お宝が大好きなんだモン♪」


 甘えた声で遠回しにエリクサーを寄越せと言ってくるウィンにアルハレムが苦笑いを浮かべて聞くと、ワイバーンのドラゴンメイドは全く悪びれることなく笑いながら答えた。


「貴女、なんて厚かましいことを……」


「………」


「神力石、だけ、じゃなくて、エリクサー、も、なんて、欲張り、すぎ」


「にゃー……。ツクモさんとしてはどんな傷もすぐに治せる回復アイテムはアルハレム殿に持っていてほしいでござるが……」


「全くよ。少しくらい我慢しなさいよ」


「ウィンさんはすでに沢山の宝物を持っていたと思うのですけど、まだ足りないのですか?」


「ワイバーンの、ドラゴンの習性を考えれば仕方はないとは思うのですが、それでもやっぱりその強欲さは呆れますね」


「凄いボロボロに言われてますね……」


「だけどアタシ達も皆と同意見なんだよね」


 リリア、レイア、ルル、ツクモ、アリスン、ヒスイ、アルマ、レム、シレーナの順に言われてもウィンは全く堪えておらず涼しい顔をしていて、ここまできたらもはや感心するアルハレムだった。


「……はぁ。分かった分かった。確かに俺はエリクサー自体にはあまり興味がないから譲ってもいいさ。でも万が一に仲間達が傷を負って危なくなったら渡してくれよ?」


「本当かい!? ああ、分かった。約束するよ」


 ため息を吐いてからアルハレムが言うとウィンは飛び上がらんばかりの笑顔で約束をした。


「よし、それじゃあ早速……」


「ちょっと待ちなさいよ!」


 ウィンと約束を取り付けたアルハレムがエリクサーを手にいれようと祭壇に近づいた時、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

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