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第百八十四話

「天空にそびえる巨大な塔のダンジョン。ダンジョンナンバー12『見上げる者達の塔』。こうして改めて見ると凄く大きいな……」


 準備を終えて仲間達と一緒にレンジ公国の中央にあるダンジョンに着たアルハレムは、天を衝くかのような塔を見上げながら呟いた。


「そうですね。それにそのダンジョンを観光名所にしただけでなく、挑戦者から入場料を取るこのレンジ公国もある意味凄いですよね」


 アルハレムの隣で塔のダンジョンを見上げているリリアが主の言葉に相槌を打ってから言うと、今度はそれにレイアとルルが頷く。


「………」


「ルル、も、そう思、う。それ、に……」


「アルハレム殿ー。それに皆ー。ダンジョンの入場料、全員分払ってきたでござるよー」


「後、このダンジョンの案内書も買ってきました」


 ルルの言葉の途中でダンジョンの入場料を払ってきたツクモとヒスイが戻ってきて、霊亀の魔女の手にはレンジ公国が有料で発行しているダンジョンの案内書があった。


 ……もはや完全に観光名所そのものである。


「入場料、だけ、じゃなく、案内書、まで、ある、なんて、斬新」


「……ダンジョンのイメージが一気に崩れていきますね」


 ルルの言葉にアルハレムの腰に差してあるインテリジェンスウェポンの魔女、アルマの声が続き、全員が同感だとばかりに頷いた。


「ま、まあ、せっかくだからその案内書を呼んでみないか?」


 何とも言えない微妙な空気を変えるためにアルハレムは皆に呼び掛けてヒスイから受け取った案内書を読んでみた。


 案内書によると塔のダンジョン「見上げる者達の塔」は、内部に登場する魔物と戦いながら最上階を目指すというもので、内部の構造はスタート地点である一階の広場以外は時が経てば自動で変わっていくらしい。そしてこのダンジョンで最大の特徴は、ダンジョンの一部の床や階段の段差に足を置くと一階の広場に戻されるトラップである。


 このトラップを避ける為のヒントは一階の天井にあり、天井に記されている印と同じ位置にある床や階段の段差に足を置くことでトラップが発動するのだ。その為、このダンジョンに挑戦する者達は皆、トラップの位置を確認してそれを回避するために天井を見上げる。


 それ故に「見上げる者達の塔」。


「トラップが発動したらスタート地点にやり直しとかレムのダンジョンに似てるね。……というかさ? アタシ、思ったんだけどこのダンジョンってさ……」


 案内書のあった情報にシレーナが何かに気づいてそれを言おうとした時……、


「ちょっとどういう事!? 貴方今、私にお金を払えって言ったの!?」


「……なーんか、どっかで聞いたような声だねぇ」


 と、何処からか聞き覚えのある声が聞こえてきてウィンがうんざりとした声で呟いた。

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