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第百八十三話

「うう……頭が痛い……」


 バドラックと酒を酌み交わした翌日。朝に目を覚ましたアルハレムは痛む頭を押さえた。


「気持ち悪い……。昨日は飲み過ぎた……」


「そうですか? それにしては昨夜は随分とお元気でしたが?」


 アルハレムの呻き声に似た呟きに彼の隣で裸で横になっていたリリアが訊ねる。魔物使いの青年とサキュバスの魔女は飛行船の一室にある巨大ベッドの上で横になっており、巨大ベッドの上には彼ら以外にも仲間の魔女達の姿もあって、昨夜は……というよりも昨夜もここにいる全員で肌を重ねたことが部屋に漂う「匂い」で分かった。


「そうなのか? 昨日はレイアに付き合って大量に酒を飲んだからな。記憶がほとんどないんだ」


 アルハレムの言葉にリリアが納得したように頷く。


「やはりそうでしたか。リリアと付き合ったのでしたら飲んだお酒の量も凄かったでしょう?」


「ああ……。酒代だけで所持金の半分近くが飛んだし、一緒に飲んだバドラックさんも最後には青い顔をしていたからな。流石はラミア。蛇の魔物や魔女に酒では勝てないな」


「………」


 昨日の酒場での事を思い出してアルハレムが染々と言うと、既に目を覚まして話を聞いていたレイアは胸を張ってその剥き出しのたわわに実った乳房を揺らした。サキュバスの魔女はそんなラミアの魔女に「何を威張っているのですか? この駄蛇娘は」と言ってから再び自分の主に視線を向けた。


「でもバドラックさん? 一緒に飲んだ? もしかしてアニー達と同じ酒場にいたのですか?」


「いや、酒場にいたのはバドラックさん一人だけで話してみたらとてもいい人だったよ」


 リリアの疑問に答えてからアルハレムは昨日酒場でバドラックと交わした会話を話した。


「なるほど。確かにあのアニーのお守りなんてさせられたら嫌な気持ちにもなりますよね。……しかしバドラックさんってエルージョの騎士になるよりアルハレム様のマスタノート家の傭兵になった方が良かったのではないですか?」


「バドラックさんがマスタノート家の傭兵か……。それもありかも知れないな」


 話を聞いてからリリアが言った言葉にアルハレムは頷く。


 確かに一人でダンジョンを攻略できるだけの実力を持つバドラックならば実力主義のマスタノート家は歓迎するだろうし、バドラックも騎士らしくないマスタノート家の空気を気に入るはずだと思う。


「それだったら次にあった時、ダメ元でバドラックさんをスカウトしてみようかな? ……それにしてもアリスンは?」


 アルハレムは冗談とも本気ともつかないことを言ってから周囲を見回した。だが今アルハレム達が乗っている巨大ベッドの上には、いつも兄の側から離れようとしなかった妹の姿はなかった。


「ああ、アリスンですか? アリスンでしたら『これ以上貴女達に汚されたくない!』と言って別の部屋で休んでますよ」


「……そうか」


 リリアから聞いた言葉に思わず納得をしたアルハレム。


「それにしても惜しいですね。もう一晩寝床を同じにできたら徹底的に調教して、兄好きからそっちの道に引きずり込めたのに……」


「……」


 口調だけは残念そうに、面白そうに言うリリアの台詞をアルハレムは聞かないフリをした。

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