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第百七十五話

「間違いないわ! 貴女、あの時の生意気なサキュバスの魔女でしょう!? じゃあ、そっちの男はあの卑怯者の冒険者!?」


「……私のついででアルハレム様を思い出すんじゃないとか、貴女にだけは生意気と言われたくないとか色々と言いたいことはあるのですが、まず最初にアルハレム様を卑怯者呼ばわりとかぶっ殺されたいのですか? 貴女は?」


 アルハレムとリリアを指差すアニーにサキュバスの魔女は額に青筋を浮かべた殺意をにじませた笑顔を向ける。


「お兄様? この女は一体誰なの?」


「え~と、レイアとルルとツクモさん、アリスンには前にも話したことがあるはずだ。俺が冒険者になったばかりの頃にエルージョで出会った戦乙女だよ」


「………」


「うん。我が夫、前に、話して、いた。酒乱で、自分勝手、な、戦乙女」


 アリスンに聞かれてアルハレムが答えると、それを聞いたレイアとルルが不愉快そうな表情となって、リリアと言い争っているアニーを見た。


「ツクモさん? あの女の人は一体どんな人なのですか?」


「にゃー……。ツクモさんも聞いた話なのでござるが、アルハレム殿が旅を始めたばかりの頃に酔っぱらって街の人を切り殺そうとした戦乙女と出会ったそうなのでござるが、それがあのアニーという女性らしいのでござる。それで以前に再会した時はこれ以上ないくらい自分勝手なことを言って、アルハレム殿が持つ神力石を奪おうとしたらしいでござるよ?」


「うわ……。それは災難だったね」


「まあ、戦乙女にはよくいるわな。そんな奴」


 ヒスイに聞かれたツクモが、自分が聞いたアルハレムとアニーが出会った話を話すと、シレーナが僅かに引いてウィンが呆れたように呟く。


「ちょっと待ちなさいよ! 何、自分達に都合がいいように事実をねじ曲げているのよ!」


「事実なんて一切ねじ曲げていないでしょう。相変わらず自分に都合が悪いことは一切覚えない人ですね」


 ツクモ達の会話を聞いていたアニーが怒鳴り、それにリリアが呆れた顔で言う。


「本当に貴方達は私のことを馬鹿にしてくるのね。……フン、でもまあいいわ。今の私は貴方達では到底辿り着けない高みにいるんだから、特別に許してあげるわ」


「到底辿り着けない高み?」


 アルハレムがアニーの言葉に首を傾げると、戦乙女の女性は胸を張って口を開いた。


「そうよ。今の私はね。エルージョの『勇者』なのよ」


「…………………………はあ!?」


 アニーの言葉にアルハレムは思わず驚きの声をあげた。

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