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第百六十六話

一ヶ月ぶりにリリア達を出した為に調子が掴めず、更新が遅れました。

 辛い現実……と言うより恐ろしい現実から逃れる為に二度目の眠りについたアルハレム。願わくは次に目覚めた時には隣の部屋にいる魔女達の会話が一段落ついていることを、それが叶わないのであれば、せめて彼女達が落ち着くまで眠っていられることを心から願っていた彼だったが、そんな願いも空しく二度目の眠りは十分もしないうちに妨げられた。


「あ、アルハレム殿ぉ! どうかお助けくださいぃ!」


 アルハレムが休んでいる(?)部屋にこの街の領主、ミナル子爵が泣き叫びながら飛び込んで来たかと思うと、彼は魔物使いの青年の拘束を凄まじい早さで解き始めたのだ。


「アリスン様とあの魔女達を押さえられるのは貴方様しかおりません! どうか! どうかお助けくださいぃ!」


 たった一日で別人のようにやつれてしまったミナル子爵(アルハレムは一ヶ月くらい会っていない気がしたのだが多分気のせいであろう)の必死な形相を見てアルハレムは、ミナル子爵がやつれた理由と隣の部屋がどんなことになっているかを考えるより先に感じた。そして拘束を解いてもらった魔物使いの青年が隣の部屋に行くと、予想通り八人の魔女達と一人の戦乙女が今まさに死闘を繰り広げようとしており、魔物使いの青年が彼女達を落ち着かせるのに長い時間を必要としたのだった。


 ☆★☆★


「……それで? 一体何が原因で言い争っていたんだ?」


 長時間にもわたる説得の末、辛うじて戦乙女と魔女達の戦いを食い止めた後、椅子に座ったアルハレムは疲れた表情で部屋にいる仲間達に声をかけた。


「いや、それよりも前に……お前達、ちょっと離れろ」


 疲れた表情から渋い顔になって言うアルハレムの首には後ろからリリアの両腕絡み付いており、右腕と左腕にはアリスンとヒスイが、右足と左足にはレイアとルルが抱きついていた。ちなみにツクモはそんな自分の主と仲間達の様子を少し離れた所から面白そうに眺めている。


 全身に絶世の美女達がまとわりついて離れようとしないその姿は「両手に花」どころか正に「全身に花」と言った様子で、何も知らない男が見れば羨望と嫉妬を禁じ得ない夢のような姿だろう。だが実際にやられているアルハレムにしてみれば、魔女と戦乙女の力によって拘束されて体の動きを完全に封じられた囚人のような気分であった。


「いくらアルハレム様の頼みでもそればかりは聞けません。しばらくは私達、この状態でアルハレム様をお守りさせていただきます」


「………」



「我が夫、が、また、いなく、なるの、耐えられ、ない」


「そういうことでござる。まあ、これもアッサリと拐われてツクモさん達に心配をかけた罰だと思ってほしいでござる」


「そうよ! お兄様がいなくなって私達、スッゴく心配したんだからね!」


「お願いします……。もうしばらくの間、このままでいさせてください……」


「……はぁ。もう好きにしてくれ」


 リリア、レイア、ルル、ツクモ、アリスン、ヒスイの順で申し出を却下されたアルハレムは、しばらくの間この状態が続くのかと思うのと同時に仲間達の元に戻ってきたことを実感して、諦めと安堵が混じったため息を吐いた。

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