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第百六十四話

「え……? 私を仲間に、ですか?」


 アルハレムの言葉に今度はゴーレムの魔女が全くの予想外という表情となる。そんなダンジョンを支配するダンジョンマスターに魔物使いの青年は一つ頷いて見せてから話しかける。


「ああ、そうだ。君が仲間になってくれたらこれからの俺達の旅も大分楽になるだろう。だから頼む、仲間になってくれないか? 俺達には君が必要なんだ」


「私が……必要……」


 ゴーレムの魔女はアルハレムが言った言葉の最後の部分をゆっくりと繰り返した。


 このダンジョンとダンジョンマスターであるゴーレムの魔女は元々、女神イアスが人間に試練を与えて更なる境地へと進むために創造されたもので、それはつきつめて言えば「人間の役に立つために造られた」ということだ。ゴーレムの魔女はその事に不満など微塵も持っておらず、逆に自分の存在意義であり誇りでもあると思っていた。しかしこの数十年の間、彼女とダンジョンは人間の種族全てから忘れ去られるか、恐れられて逃げられるかで自分の存在意義を果たすことができない日々が続いていた。(恐れられて逃げられたのはゴーレムの魔女がダンジョンの挑戦者を求める「営業努力」が空回った結果なのだが)


 そんな時に告げられたアルハレムの「自分が必要だから仲間になってくれないか?」という発言は、人間の役に立ちたくても立てなかったゴーレムの魔女にとって創造主である女神イアスからの天啓のように聞こえても無理がないのかもしれない。


「わ……」


 気がつけばゴーレムの魔女は両腕を震わせながら伸ばして、自分の喉元に突きつけられている槍を持つアルハレムの手をつかんでいた。


「私でよろしければ是非貴方のお役に立ててください。……主様」


「え? ああ……」


「……これは、もしかしたら上手くいくかもしれませんね?」


 まるで救いの神を見るような目で自分達を見てくるゴーレムの魔女に、アルハレムとアルマは戸惑いを隠せなかった。


 ☆★☆★


「はい! これでもう私は主様の所有物です。これからよろしくお願いしますね、主様♪」


 それから数分後、契約の儀式が無事に完了してアルハレムの新たな仲間になったゴーレムの魔女は、喜色満面の笑みを自分の主である魔物使いの青年に向けて挨拶をした。


「所有物って……まあ、それはともかくこちらこそよろしく頼む。それで地上に戻ったら仲間が六人いるんだけど別に構わないよな?」


「勿論です! 当豪華客船『エターナル・ゴッデス号』ならば六人だろうが六十人だろうが六百人だろうが余裕です! 主様とそのお仲間の皆様には豪華で快適な旅を提供して見せます!」


 アルハレムが聞くとゴーレムの魔女は元気よく答えてその背後には炎が燃えているように見えた。

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