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第百六十三話

 ゴーレムの魔女の言葉はアルハレムにとって完全に予想外であった。


 確かにアルハレムが調べたダンジョンの伝説では、最後の部屋にいけばそこにエリクサーが安置されているパターンもあれば、今回のようにダンジョンを支配するダンジョンマスターを倒してようやくエリクサーが手に入るパターンもある。だがダンジョンマスターを倒すパターンにこのような理由があるとは思わなかったのだ。


「マスター、どうするのですか? 彼女の話が本当なら、彼女を倒さない限り地上には戻れませんが?」


 槍となったインテリジェンスウェポンの石突きの部分にある宝玉からアルマの声が聞こえてきてアルハレムに質問をする。


「ああ……。それはそうなんだが……」


 アルハレムはそこまで言うと、後ろでこちらを見ているセイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドに視線を向ける。


 今までに聞こえた僅かな会話から察するにセイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドはゴーレムの魔女と気心か知れた仲なのだろう。そんな二人の前で、いくら地上に戻るためとはいえこのダンジョンマスターの命をとるのはためらわれた。


「……マスターがダンジョンマスターを殺したくない理由は大体見当がつきますが、それではどうやって地上に戻るのですか?」


「それは……」


 アルマに質問をされてアルハレムはある一つの考えを出して自分の腰に、そこにある四本の短剣に視線を向けた。そんな自分の主の考えを読んだのか、インテリジェンスウェポンの魔女は呆れたような声を出した。


「マスター……。それは流石に非常識にもほどがあります。成功するかしないか以前に、そんなことを考えた魔物使いはマスターが初めてだと思いますよ?」


 アルマの言葉にアルハレムは、このインテリジェンスウェポンの魔女が自分の考えを正確に理解していることを分かってから反論をする。


「い、いや、でも彼女を殺さずに地上に戻るにはこれしか方法がないだろ? それに、もし成功したらこれからの俺達の旅もずっと便利になると思うぞ?」


「地上に戻るならそこのセイレーンの魔女と交渉するという方法もあると思いますが……確かにマスターの意見にも一理あります。それに、マスターが希代の女好きである以上、この様な展開になるのは必然とも言えますからね」


「アルマ、お前……」


「あの~。お話は終わりましたか?」


 アルハレムがアルマの言った「希代の女好き」の部分に意義を申し立てようとすると、今まで黙っていたゴーレムの魔女が申し訳なさそうに話しかけてきた。


「それで結局、お客様は私を殺すのですか? それとも殺さないのですか?」


「……ああ、そうだな。結論から言うと俺は君を殺さない。……君には俺達の仲間になってもらう」


 アルハレムは首を傾げながらこちらを見てくるゴーレムの魔女に自分の考えを告げた。

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