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第百六十一話

 それからゴーレムの魔女は何度も瞬間移動で現れてはアルハレム達に攻撃を仕掛けた。しかし左右からの攻撃は壁が邪魔となって女性の石像の両腕のうち片方の腕しか振るえず、正面から左右の腕を振るうと片腕だけの時より攻撃が雑となって魔物使いの青年には当たらず、逆に反撃の機会を与える結果となった。


「ダンジョンマスター、焦っているね」


 何度も攻撃をしているのに一度も当たらないことに僅かな焦った表情を浮かべているゴーレムの魔女を見てセイレーンの魔女が言い、ワイバーンのドラゴンメイドが頷く。


「確かにね。でも中々攻められなくて焦っているのはアルハレムも同じだろ」


 ワイバーンのドラゴンメイドが言う通り、攻撃が当たらないのはアルハレムも同じであった。ゴーレムの魔女の攻撃を避けることはできても、いざ攻撃しようとすると瞬間移動で逃げられてしまい、最初の攻撃が辛うじて彼女にかすったこと以外、一度も当たっていなかった。


「……でも、もしかしたら案外早くに決着がつくかもね」


「そうだね。アルハレムの奴、戦いの勘は悪くなさそうだし、ダンジョンマスターの『弱点』に気づくかもしれないね」


 セイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドはアルハレムを見ながら話をしていた時、魔物使いの青年とインテリジェンスウェポンの魔女もまたゴーレムの魔女の奇襲を警戒しながら話をしていた。


「アルマ……気づいているか?」


「ええ、あのゴーレムの魔女が操る石像、右腕の動きが左腕に比べて鈍いですね」


 アルハレムは質問というよりも確認する言葉を手の中にあるインテリジェンスウェポンに言うと、アルマが自分の主も考えているであろう意見を述べる。


「やっぱりか。どうしてだと思う?」


「これは私の予想なのですが、最初の攻撃で砕いたあの鎖……あれが関係しているのでは?」


「鎖が? ……そういえば」


 アルマに言われて思い返してみると、最初の攻撃でアルハレムが砕いたのは、何本もある玉座と女性の石像を繋ぐ鎖のうち右端の一本であった気がする。そしてその鎖を砕いた途端、石像の右腕の動きが鈍くなったのは単なる偶然とは思えなかった。


「……あの玉座と石像を繋ぐ鎖は、操り人形を操る糸ってことか? それじゃあ、あの鎖を全て断ち切ることができれば……」


「確証はありませんが試してみる価値はあると思います。しかしマスター、策はありますか?」


 アルマの言葉にアルハレムは、広間の奥でどう攻めるか考えているゴーレムの魔女から目を離さずに頷く。


「策、と言えるものじゃないけど考えはある。……というかお前も分かっているだろ、アルマ?」


「……ええ、そうですね。戦力が私とマスターだけである以上、それしかないですね」


 固有特性で考えを読んだのか、それとも同じことを考えていたかは分からないがアルマはアルハレムの言葉を肯定した。そして考えがまとまると魔物使いの青年とインテリジェンスウェポンの魔女は、次の反撃の機会を得るために、ゴーレムの魔女の攻撃を待ち構えるのだった。

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