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第十五話

今回はいつもより少し短く、話もあまり進みません。

「なっ!? 誰だ君は?」


 驚いたアルハレムは後ろに飛ぶと、うつ伏せになっている下半身が蛇の女性から距離をとる。


(人間の女性の上半身に蛇の下半身……やはり『ラミア』か)


 ラミア。


 リリアの種族サキュバスと同じく、人間の女性に近い姿をして輝力を操る魔女と呼ばれる魔物の種族。


 外見はこのうつ伏せになっている女性と同じで上半身が人間、下半身が蛇というもの。性格は基本的に物静かで、こちらから危害を加えぬ限り襲ってくることはあまりないのだが、一度「敵」あるいは「獲物」と認識した相手には、どこまでも追いつめる文字通り蛇のごとき執念深さを見せるという。


(何でラミアがこんなところに? まずいな。リリアがいない状態で俺一人だと勝ち目なんか全くないぞ……!)


 アルハレムは自分の戦い方と、文献で知ったラミアの戦い方の相性の悪さに思わず冷や汗を流す。


 もしラミアと戦うことになった時、一番気をつけなければならないのはラミアと眼と視線を合わさないことである。


 ラミアは「魔眼」と呼ばれる輝力を宿らせた瞳で視線を合わせることにより、相手に幻を見せたり操ったりする他の魔女にはない特殊な輝力の使い方をするのだ。そして剣や槍等を持って近距離で敵と戦う場合、相手の出方をうかがうために意識の向かう先である眼を見るのが基本で、このような戦い方をする戦士にとってラミアの魔眼は最悪の相性だと言っていいだろう。


 魔眼の効果を防ぎつつラミアと戦うには、一人が正面に立って囮になっているうちに別方向から仲間に攻撃させるか、弓矢等で遠距離から攻撃するしかないのだが、あいにくアルハレムの武器は腰にある一本のロッドだけ。今の状況では彼の勝率は限り無く低かった。


「………!」


 アルハレムはいつラミアが襲ってきてもいいようにロッドに手をかけて目の前の敵に全神経を集中させる。……だが、


「………」


「………」


「……………」


「……………」


「…………………」


「…………………アレ?」


 いくらアルハレムが身構えていてもラミアは一向に襲ってこようとせず、それどころか彼に一目もくれず目の前にある酒で満たした鍋を見ていた。


「……ええっと、君? お酒、好きなの?」


「………」


 アルハレムがためらいがちに聞くと、ラミアは相変わらず無言で鍋を凝視していたが、それでも首を小さく動かして頷いた。


「……じゃ、じゃあ飲んでみる?」


「………!?」


 飲んでみる、という言葉を聞いた瞬間、ラミアは弾かれたように飛び起きてそこで初めてアルハレムに顔を向けた。


 ようやく顔を見ることができたラミアは、外見で見た年齢はアルハレムとリリアと同じくらいだった。下半身の蛇の鱗は深い森のような緑色で、上半身の人間の肌は雪のような白色。普段は表情が希薄そうに感じられるその顔は、今は眼を大きく見開き期待に輝かせていた。


 だがそれでもアルハレムの注意が一番向いたのは、やはりというかラミアの胸だった。リリアのよりも若干小さいが、それでも彼女のより柔らかそうかラミアの乳房は隠すものがない状態で外気にさらされていて、ラミアが息をする度にわずかに震えていた。


(リリアのより少し小さい気がするけど、これはこれで……いやいや! 何を考えているんだ俺は)


 男の本能と言うべきか一瞬ラミアの乳房に眼をとらわれていたアルハレムだったが、すぐに気を取り直すと、用意してあった二つのコップに鍋の中の酒を入れた。一つはラミアに渡すもので、もう一つは自分で飲むためのものだ。


(……そういえば、ラミアだけじゃなくて蛇関係の魔物って、全てが酒に目がないって文献に書いてあったな。このラミアがやって来たのもやっぱり酒の匂いに惹き付けられたからか?)


 文献で得た知識を思い出しながらアルハレムは酒の入ったコップをラミアに差し出した。

二人目の魔女はラミアです。

ですが三人目からの魔女はまだ考えていないので、魔物娘のリクエストがあれば是非リクエストしてください。

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