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第百五十七話

「あの巨体で宙に浮かぶのは少し驚いたな。……それにしてもやっぱりこうなったか」


「ええ。ダンジョンを支配する存在と戦うのは、ダンジョンの最後の試練でよくあるパターンですからね」


「それじゃー、頑張ってねー。応援だけはしてあげる」


「ああ、アタイらはここで見学させてもらうよ」


 巨大な石像と共に宙に浮かんだゴーレムの魔女を見ながらアルハレムがアルマと話していると、セイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドが口を開いた。


「……何?」


「このダンジョンの挑戦者はあくまで貴方達だからね。最後くらいは自分達で戦わないとね」


「それにアタイらは人間達に追われている所をあのダンジョンマスターに匿ってもらっている立場だからね。骸骨の人形達はともかく、流石に本人と戦うのは気が引けるね」


 セイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドはダンジョンマスターとの戦闘に参加しないことを明言する。正直な話、ワイバーンのドラゴンメイドが参加しないのは大幅な戦力ダウンだが、元々彼女は成り行きで協力してくれた存在なので、仕方がないとすぐに納得して頷いた。


「……分かった。それじゃあ行くぞ、アルマ」


「はい、マスター」


「作戦会議は終わりましたか?」


 アルハレムがアルマに話していると、すぐ近くからゴーレムの魔女の声がしてきた。


「「………っ!?」」


 魔物使いの青年とインテリジェンスウェポンの魔女が慌てて声がしてきた方を見ると、広間の奥にいたはずのゴーレムの魔女はすぐそばに来ており、彼女の上にある女性の石像が振り上げた右腕を叩きつけようとしていた。


「くっ!」


「うわわっ!?」


「ちぃっ!」


 ゴーレムの魔女が操作する女性の石像は、アルハレムだけでなくセイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドまでも攻撃の対象としているようで、三人が慌てて飛び退くのと同時に三人がいた場所に石像の拳が降り下ろされた。


「マスター、無事ですか?」


「まあな。それにしても危なかった」


「ちょっと! いきなり何をするのよ!?」


「何でアタイらまで攻撃するんだい!?」


 アルハレムがアルマに答えている横でセイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドがゴーレムの魔女に抗議する。


「……ああ、すみません。間違えて攻撃しちゃいました♪」


 ゴーレムの魔女は満面の笑みを浮かべてセイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドに答える。


「間違えたって……」


「ええ、本当に間違えて攻撃しちゃったんです。すみません。私は別に怒ってなんていませんよ? ワイバーンさんがお客様の為に用意した骸骨の人形さん達をほとんど壊しちゃったこととか、全然気にしていませんから。本当に間違えて攻撃しちゃったんです」


 満面の笑みを崩さぬままセイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドに答えるゴーレムの魔女。気のせいかその笑みからは黒い「何か」が感じられた。


「……マスター」


「分かっている!」


 セイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドに向かって話しているゴーレムの魔女の背中を見てアルマが言葉を放ち、アルハレムはそれに頷くと同時にゴーレムの魔女に奇襲を仕掛けるべく駆け出す。


 後ろから奇襲を仕掛けるのは卑怯だと思うが、相手はこのダンジョンを支配する魔女。相手の力がこちらよりずっと上である以上、この隙を見逃す訳にはいかない。


「はあ!」


 アルハレムは手に持ったインテリジェンスウェポンのロッド、アルマをゴーレムの魔女の背中に向けて振るう。……だが、


「……え?」


 さっきまでそこにいたはずのゴーレムの魔女の背中は一種で消えてなくなり、アルハレムの攻撃は虚しく空を切るだけで終わった。

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