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第百五十六話

「マスター、ここが最後の扉です。この先にダンジョンマスターがいます」


 一つの扉の前でインテリジェンスウェポンの魔女が主である魔物使いの青年に話しかける。


 ワイバーンのドラゴンメイドの鼻唄を聞いてセイレーンの魔女の粘着性のある視線を感じながらアルハレムはダンジョンを進み、ようやくダンジョンの最後の扉に辿り着いた。


「そうか、この先にか……」


 アルマの言葉に頷いてアルハレムが扉を開くと、その先にあったのは最初の階層の広間と同じくらいの大きさの空間だった。余計なものが一切ない空間であるために一番奥にあるその存在に目がいった。


 広間の一番奥にあったのは両手を組んで祈る背中に翼を生やした女性の巨大な石像であった。石像は非常に美しくて精巧な造りをしていて、恐らくはあの女性の石像がこのダンジョンが「天空の乙女像」という名前の由縁なのだろう。


 そして女性の石像は上半身の部分しかなく、その下の下半身にあたる所には豪華な造りをした玉座があり、玉座には一人の女性が座っていた。


 玉座に座る女性は、十代後半ぐらいの輝くような金髪を長く伸ばした人間離れした、「作り物のようだ」と言っても過言ではない整った容貌をしていた。服装は黒の水着の上に船の船長が着るようなコートを羽織っていて、首と両腕には何本もの鎖で玉座と繋がっている首輪と腕輪があった。


「彼女がダンジョンマスターか?」


「恐らくは」


「ようこそいらっしゃいました。冒険者の方よ」


 アルハレムがアルマに声をかけていると玉座に座る女性が口を開いた。


「私はこのダンジョン『天空の乙女像』のダンジョンマスターです。何十年ぶりの挑戦者よ、私は貴方を歓迎します」


 アルハレム達に向けるダンジョンマスターの声は、その姿と声音とは似つかわしくない威厳を感じさせるものであった。しかしそんな彼女を鼻で笑う二人がいた。


「何、カッコつけているのよ?」


「全く似合ってないよ」


「んな!?」


 セイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドに鼻で笑われてダンジョンマスターが表情を一変させる。


「ちょ、ちょっと二人とも!? 何てことをいうのですか。せっかくお客様の前でダンジョンマスターらしい挨拶をしたのに台無しじゃないですか!」


 両手を勢いよく振って腕輪と鎖をガチャガチャと鳴らしながらセイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドに抗議するダンジョンマスター。どうやらこちらの姿の方がダンジョンマスターの素の姿らしい。


「「………」」


「はっ!? し、失礼しました。お見苦しい姿を見せてしまいましたね」


 アルハレムとアルマの無言の視線を感じたダンジョンマスターは慌てて二人に向き直る。


「いや、それは別に構わないんだが……君もやっぱり魔女なのか?」


「ええ、そうですよ。私は遥か昔に女神イアス様に創造された魔女の魂を持った『ゴーレム』です」


「貴女も私と同じ女神イアス様に造られた魔女の魂を持った存在……」


 アルハレムの質問にダンジョンマスターが答え、それを聞いたアルマが呟く。


「そうみたいですね。さあ、それでは始めましょうか? ダンジョンマスターである私と戦う……それがこのダンジョンの最後の試練です」


「……!」


 ダンジョンマスター、ゴーレムの魔女が告げるのと同時に、彼女の上にある石像が目を見開いて組んでいた両手を広げてゴーレムの魔女が座る玉座ごと宙に浮かんだ。

巨大なマシンに組み込まれたフランケンシュタインタイプの魔女をリクエストしてくれたku☆ワ☆maさん。作品の世界観に合うようにゴーレムの魔女にしたのですが、ご期待に応えられましたか?

魔女のリクエスト、待ってます。

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