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第百五十二話

「さて、こんなったら慎重に扉を選ばないとな……」


 アルハレムはいくつもの扉が並ぶ通路を眺めながら呟く。


 ここで間違った扉を開けてしまったらまた休憩室からやり直しで、上の広間でまた補充された骸骨の人形達と戦って二十の扉の正しい順番を調べなくてはならない。できることならそれは避けたかった。


「適当に選んだらどうだい? たとえハズレでもアタイはかまわないよ」


 ワイバーンのドラゴンメイドが気楽に言う。彼女にしてみれば、やり直しになって骸骨の人形達と戦う回数が増えれば手に入る「お宝」が増えて満足かもしれないが、アルハレムはまた上の広間で延々と扉を開くことを考えるとうんざりとした気持ちになった。


「せめて正しい扉の手がかりとか、ダンジョンの階層が全部でいくつあるかとか分かればいいんだが……」


「……」


 アルハレムはそこまで言ってセイレーンの魔女を見るが、彼女は無言で苦笑を浮かべて肩をすくめる。それは「同情はするが自分で調べろ」という意思表示であった。


「一体どれを選べば……」


「マスター。少しいいですか?」


 顎に手を当てて考えるアルハレムにロッドの柄尻の宝石からアルマの声が聞こえてきた。


「どうした、アルマ?」


「……もしかしたら正しい扉の順番が分かるかもしれません」


「何!? それは本当か?」


「へぇ……」


「ほぅ……」


 アルマの発言にアルハレムは思わず驚き、セイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドも興味深そうな表情を浮かべる。


「本当に分かるかどうかは試してみないと分かりませんが……」


「それでもいいさ。分かる方法があるのだったら是非試してくれ」


 アルマの言葉を途中で遮ってアルハレムが頼む。正しい扉の順番を確かめる方法がない魔物使いの青年にとって、インテリジェンスウェポンの魔女だけが頼りであった。


「では、マスター。私の先端を床につけてください」


「こうか?」


 アルハレムが言われた通りにインテリジェンスウェポンのロッド、アルマの先端を床につけると、彼女の姿が輝力の青白い光に包まれる。


「………………………………………分かりました。マスター、私が指示する扉に向かってください」


「分かった」


「ではまずこの通路を左に行って、次の曲がり角を……」


 アルマの指示に従ってアルハレム達はダンジョンの通路を進んでいく。途中で何回か骸骨の人形達と遭遇したが、それらは喜色を浮かべたワイバーンのドラゴンメイドによって瞬殺されていったので、一行は目的の扉まで行くのにそれほど時間がかからなかった。


「……ここか?」


「はい。ここです。マスター」


 目的の扉の前に立ってアルハレムがアルマに聞くと、ロッドの柄尻の宝石から迷いのない返答が返ってきた。


「よし。それじゃあ開けるぞ? ………おお」


 扉を開いたアルハレムはその先を見て声をあげた。


 扉の先は短い通路。つまりこれが最初に開くべき正しい順番の扉の証明であった。


「おおっ。やるじゃん。適当に言ったわけじゃなきんだね」


「本当だ。でもどうやって分かったんだい?」


 アルマが選んだ扉が正しい順番の扉であったことに、セイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドも驚いた顔となった。


「俺もそれは気になる。どうして分かったんだ?」


 アルハレムがワイバーンのドラゴンメイドの言葉に頷いてから訊ねると、インテリジェンスウェポンの魔女は何でもないように答えた。


「簡単なことです、マスター。分からないことがあれば分かる方に聞けばいいだけです」

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