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第百四十九話

「……これで、何回目だ?」


「すみません、マスター。五十回目から数えていません」


 ワイバーンのドラゴンメイドを仲間に加えてからしばらくした後、疲労感をにじませた声で訊ねるアルハレムにアルマがうんざりとした声で答える。


 アルハレム達はワイバーンのドラゴンメイドを仲間に加えてすぐにダンジョンの攻略を開始した。敵である骸骨の人形達はすでに全て倒しているので、後は二十の扉を開いていく順番を調べれば次の階層に進めるのだが、これが中々に大変であった。


 二十の扉から一つの正しい扉を一回で当てるなんて偶然、そんなものは滅多になく、アルハレムは二十回目の挑戦でようやく正しい扉を見つけ出した。


 次は二十から一つを除いて十九の扉から十九回目の挑戦で正しい扉を見つけ出し、その次は十八回目の挑戦で正しい扉を見つけて、さらにその次は十七回目の挑戦で、といったことを繰り返してアルハレム達は扉を開いていく順番を調べていった。


「それにしても時間がかかったな」


「かかりすぎです。マスターは勘と運が悪すぎです」


 アルハレムの言葉をアルマが即答で切り捨てる。


 ……まあ、ことごとくハズレの扉を選び続けて最後の最後でようやく正しい扉を見つける、なんてことを繰り返されればアルマでなくても言いたくはなるだろう。


「ま、まあ、それもこれで終わりだ」


 アルハレムはアルマの言葉を額に一筋の冷や汗がついた笑顔で強引に流すと、目の前にある二つの扉を見た。


 すでに一番目から十八番目までの扉は分かっていて、順番が分かっていない扉はこの二つだけ。ここまでくれば正しい扉を開いてもハズレの扉を開いても順番は分かるのだが、せめて一度くらいは一回で正解を当てたいと思うアルハレムだった。


「さて、どっちを開こうか?」


 アルハレムは手に持っているインテリジェンスウェポンのロッド、アルマの先端を床に立てて、どちらの扉を開こうか真剣に考える。その時……、


「……え?」


 インテリジェンスウェポンのロッドの柄尻にある宝石からアルマの声が聞こえてきた。


「アルマ? どうした?」


「いえ……。今、誰かの声が聞こえてきたような気がして……」


「声?」


 アルマの言葉にアルハレムは周囲を見回してみるが、今この場にいるのは二人だけであった。


「……すみません、マスター。私の気のせいのようです。先に進みましょう」


「そうだな。……よし! こっちだ!」


 アルハレムはアルマにそう答えると二つの扉のうち、右の扉を勢いよく開くのと同時に扉の向こうにと足を踏み入れた。


「あっ、帰ってきた。さっきぶりー」


「よお、これで何度目だい?」


 扉を開いた先は休憩室で、そこの椅子に座ってくつろいでいたセイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドがアルハレム達を迎えてくれた。


 休憩室にと繋がる扉。……つまりハズレ。


「連敗ですね」


 アルマが一切の感情がこもっていない声で簡潔に現状を告げる。


 ダンジョン攻略、幸先の悪いスタートであった。

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