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第百四十八話

「え、え~と、それで貴女は何でそんなに必死に金を集めているんだ?」


「ん? 何でってそりゃあ、ドラゴンはお宝を集めるものだろ?」


 これ以上アルマとセイレーンの魔女に何かを言われないうちにアルハレムがワイバーンのドラゴンメイドに質問をすると、ワイバーンのドラゴンメイドは当たり前のことを言うように答える。


「いや、うん……。そういう話は聞いたことがあるけど……」


 確かに伝説や物語に登場するドラゴンは金や銀に宝石、貴重なマジックアイテムといった財宝を集めて自分の巣穴に貯め込んでいた。


「アタイ達ドラゴンは金や銀みたいな欲望の対象になりやすいものを集める習性があるんだよ。『欲望感知』なんていう相手の欲望とその向かい先が分かるって種族特性を全ドラゴン共通で持ってるくらいだからね」


「相手の欲望が分かる種族特性か……」


 ワイバーンのドラゴンメイドの話を聞いてアルハレムは、自分がダンジョンを求める心、欲望を持っていたために、ここにいるセイレーンの魔女とワイバーンのドラゴンメイドに目をつけられたことを思い出した。


「まあ、アタイはそんなのは関係無くお宝が好きで集めているんだけどね……って、そうだ」


「どうかした?」


「なあ、アルハレム。今だけ、アタイをアンタ達の仲間にしないか?」


「「「……………は?」」」


 何かを思いついたワイバーンのドラゴンメイドにアルハレムが聞くと彼女は名案とばかりに一つの提案をして、その提案に魔物使いの青年だけでなくインテリジェンスウェポンの魔女とセイレーンの魔女も揃って呆気にとられた声を出す。


「見たところアルハレムって、仲間はそのインテリジェンスウェポンだけなんだろ? それだけじゃあ大勢の敵が出てきたらキツいだろう? だからアタイが手をかしてやろうって言ってるのさ。その代わり……」


「敵を倒して手に入る『お宝』を貴女に渡せばいいのですね?」


 ワイバーンのドラゴンメイドの言葉の途中でアルマが彼女の要求を口にする。要するに今だけアルハレムの仲間になってこのダンジョンの侵入者になれば、あの骸骨の人形達を倒して金の骨を自分の物にする大義名分がつくということだった。


「そういうこと♪ それでどうするんだい、アルハレム?」


「そうだな……」


 アルハレムはワイバーンのドラゴンメイドに聞かれて考えるが、それほど悪い話とは思わなかった。


 ダンジョンを攻略するための戦力が不足しているのは事実であるし、ワイバーンのドラゴンメイドであれば戦力としては申し分がない。それに今までの様子を見るかぎり、このワイバーンのドラゴンメイドは、約束通り敵を倒して手に入る戦利品を渡していれば裏切ることはないように思われる。


 そう考えれば彼女の申し出は悪くないどころか、こちらにとって渡りに船と言えた。


「分かった。あの骸骨の人形達から手に入る金は全て貴女に渡す。だから戦闘に協力してくれ」


「オーケー。交渉成立だね♪」


 アルハレムが申し出を受けるとワイバーンのドラゴンメイドは笑みを浮かべて頷いた。

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