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第百四十五話

「正しい順番の扉を開けると先に進めて、一回でも間違った扉を開けるとこの休憩室からやり直し。それだけを聞くと簡単そうに思えるけど、実際はそうじゃないだろうな」


「ええ、私も同意見です。ダンジョンの中があの広間だけならともかく、恐らくは下に別の階層がいくつもあって、そこにも無数の扉があるはずです。その全てを一度の間違いもなく、正しい順番で通って行かないとなると、かなりの難度であると予想できます」


 アルハレムの呟きに彼が手に持っているインテリジェンスウェポンのロッド、アルマが肯定する。


「このダンジョンは強力な罠や魔物で侵入者を撃退するのではなく、何度も同じ行動を繰り返させて侵入者の精神を消耗することで自滅を誘うタイプなのでしょう。

 このダンジョンを攻略するにはあの骸骨の人形達と戦いながら内部を正確に把握し、正しい順番の扉を記録しながら進まねばなりません。そしてハズレの扉を開いてしまった場合は、全員で休憩室に行ってやり直すか、その場にとどまる組と休憩室に戻る組の二手に分けるか判断しなければならないでしょうね。

 ……まあ、私とマスターの場合はハズレの扉を開いてしまったら、一緒に休憩室に戻る以外の選択肢はないのですが」


 インテリジェンスウェポンの魔女の分析を聞いて魔物使いの青年は、改めてこのダンジョンの攻略の難しさを認識して頷く。


「そうだよな。それにこの手の仕掛けだったら間違いもなく『アレ』もあるだろうな。……とりあえず広間に戻ろうか? いつまでここにいて広間にいるセイレーンを待たせても悪いからな」


「……別にあのセイレーンの魔女は私達の仲間ではないのですから待たせても問題ないのでは?」


 アルハレムの言葉に、アルマはロッドの姿をしているため表情は分からないが、それでも不機嫌そうな声で言ってくる。どうやらこのインテリジェンスウェポンの魔女は、セイレーンの魔女に「気持ち悪い」と言われたことをまだ根に持っているようだ。


「そういうわけにはいかないだろ? ほら、行くぞ」


 苦笑を浮かべてアルマを落ち着かせてアルハレムは広間へと繋がっている扉を開く。すると……、



「イヤッホー♪ おっ宝♪ おっ宝ー♪」



 何やらとても上機嫌な女性の声がアルハレム達の耳に聞こえてきた。


「……何だ?」


「聞き覚えがない声ですね」


 アルハレムとアルマが声が聞こえてきた広間の方を見ると、そこには初めて見る女性がつい先程アルハレム達が倒した骸骨の人形達の残骸を集めており、その隣ではセイレーンの魔女が呆れた表情をしていた。


 骸骨の人形達の残骸を集めている女性は二十代くらいで長く伸ばした真紅の髪が特徴的であった。服装は隣にいるセイレーンの魔女と似ている踊り子のような露出の激しい服装をしているが、真紅の髪の女性とセイレーンの魔女の似ている点は服装だけではなかった。


 真紅の髪の女性もまたセイレーンの魔女と同じく四肢が人間のものではなく、両腕が翼で両足がかぎ爪のある獣の脚だったのだ。ここで違いがあるとすれば、真紅の髪の女性の翼がセイレーンの魔女のような鳥の翼ではなく、蝙蝠のような翼であることだろう。


 とにかくこの真紅の髪の女性もまた、アルマやセイレーンの魔女と同じく魔女であることはその外見から疑いようもなかった。

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