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第百二十七話

 アルハレム達がライザックと初めて会ったのは今から三日前。捕らえたアンジェラを護送するために第一王子達が宿場町まで来た時だ。


 ライザックの前に連れ出されたアンジェラはやはりというか自身の罪を全く自覚しておらず、王族を前にしながらも罵詈雑言を吐いた。しかし第一王子は全く聞いておらず、言葉の途中で遅咲きの戦乙女の首を剣で切りはねたのだった。


 そしてライザックはアンジェラの生首をシーレの街の住人達の前に掲げると、皆を苦しめていたアンジェラはここに死んだことを宣言すると同時に、国に逆らうものはこの様な末路を辿ると言ったのだ。


「……でもライザック兄様のやったことは乱暴だけど間違っている訳じゃない。アンジェラの輝力は危険だったし、あの性格はもうどうにもならなかったし。強力な輝力を持ちながら王家に従わない戦乙女は排除すべきという考えは僕にもある」


「それは俺も分かっています。ですけど……」


 アルハレムも貴族の一員であるためローレンの言うことは理解できるつもりだ。しかしあの時、アンジェラの首をはねたライザックは僅かに笑っていたような気がして、それがどうにも引っ掛かっていた。


「うん。アルハレム君が感じていることは僕も感じている」


 ローレンはアルハレムの表情から考えをある程度察して頷く。


「ライザック兄様にはどこか危ない点があるような気がする。それは父上、ヨハン王も同じだ」


「ヨハン王も?」


「そう。力が集まりすぎるとライザック兄様はろくでもない事をしでかすというのが父上の言葉だ。……だからアルハレム君。『あの力』は絶対にライザック兄様に知られてはいけないよ? あの人のことだ。『あの力』のことを知ったら絶対に自分の手元に置こうとするはずだから」


 ローレンが言った「あの力」というのは、アンジェラとの戦いの時に使った、リリアから受け取った輝力を用いた身体能力強化のことである。男でありながら輝力を使える方法があると知れば、あのライザックが逃すはずがない。


 アルハレムも同意見なので頷く。


「そうですね。……それであの力のことはヨハン王には?」


「伝えてある。父上もこの事は他には漏らさないと言っていた」


 アルハレムとリリアの秘密はアンジェラとの戦いの後でローレンに説明していて、ローレンはそれをヨハン王にすで報告したと答える。しかしそれはこの第三王子の立場を考えれば仕方がないといえた。


「兎に角、ライザック兄様の性格を考えたら、アルハレム君とはしばらく接触させない方がいいというのが僕と父上の考えだ。そんな訳だから、アルハレム君には近いうちにクエストブックのクエストに挑戦に出るようにと、父上から勅命でくるはずだよ。……ちなみにアルハレム君は次のクエスト、どこで挑戦するのか考えているの?」


「ええ、すでにクエストブックには次のクエストが記されていて、どこに向かうかも決めています」


 アルハレムはローレンに頷いてみせて自分達の次の目的地を言う。


「外輪大陸。そこで次のクエストに挑戦しようと思っています」


 ギルシュがある中央大陸の大河を挟んだ外側にある大陸、外輪大陸。そこがアルハレム達の次の目的地であった。

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