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第百十九話

 アルハレムが新たに仲間になったインテリジェンスウェポンのロッド、アルマに名前をつけると彼の視界が白く染まり、視界が元に戻ると宿場町の宿屋の一室に帰っていた。


「アルハレム様♪ お帰りなさいませ……って! 何ですかその娘は!?」


 アルハレムが帰ってきたのを一番最初に気づいて笑顔で迎えたのはリリアだった。しかしサキュバスの魔女は、己の主人の側に見慣れない女性がいるのを見て声を荒らげた。


「アルハレム様! 誰ですかその娘は!? 気配から察するに私達と同じ魔女のようですけど、全裸でアルハレム様の側にお仕えするだなんて……なんて羨ましい!」


「………」


「また、ライバル、増え、た」


「アルハレム殿? もしかして思うでござるが、その娘が特別報酬なのでござるか?」


「え? そうなのですか? でも旦那様が望んだのは武器ではありませんでしたか?」


 リリア、レイア、ルル、ツクモ、ヒスイの五人の魔女達がアルマを見ながら口々に言うとアルハレムがそれに頷いて答える。


「そうだ。こいつの名前はアルマ。俺が今回与えられた特別報酬で、魔女の魂を持つインテリジェンスウェポンだ」


「……アルマです。基本形状は硬鞭ですが、マスターの意思に従って、今現在の魔女の姿や他の武器にも変型することが可能です」


 アルハレムに紹介されたアルマは自分からも簡単な自己紹介をすると両手で自分の持ち主の手を握った。


 そして次の瞬間、アルマはロッドに変身してアルハレムの手の中に収まると続いて剣、槍、斧、弓、投擲具と様々な武器に変身して見せた。次々と形を変えていくインテリジェンスウェポンに、リリア達を初めとするこの部屋にいた者のほとんどが驚いて目を見開いた。


「なるほど。状況に応じて形状を変えることができるインテリジェンスウェポンですか。確かに使いこなすことができればとても便利な武器ですけど……」


 アルマの性能を見てリリアは納得したように頷くのだが、その直後に表情を曇らせた。


「ですけど……何だ?」


「これでアルハレム様のお腰に四六時中、全身タトゥー系褐色全裸巨乳魔女が張り付いているかと思うと私のお色気キャラ筆頭としての立場が……。こうなれば私もこの一張羅を脱いで全裸キャラになった方がいいのでしょうか? いえ、それよりもアルハレム様に輝力を渡す方法をキスよりもっと大胆にした方が……?」


 何やら良からぬことを考えだしたリリアに、アルハレムはさっそく新たな武器であるアルマの力を使うことにした。


「アルマ」


「了解です。マスター」


 アルマはアルハレムの意思を汲み取ると、自分の身体をロッドから主が望む形にと変型させる。インテリジェンスウェポンが変型した形は、紙のように薄くて細長い金属の板を何枚も重ねて片方の端を束ねた、いわゆる「ハリセン」の形であった。


「アルハレム様! いいことを思いつきまし……」


「却下」


 名案を思いついたという顔で何かを言おうとしたリリアの頭にアルハレムは問答無用でアルマを叩き込み、部屋によく響く打撃音が鳴った。

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