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第百十七話

「ろ、ロッドが喋った!? ……ま、まさか『インテリジェンスウェポン』なのか?」


 ロッドが女性の声で話したことにアルハレムは思わず驚きの声を上げて、脳裏に浮かんだ一つの単語を口にした。


 インテリジェンスウェポン。


 それは自分の意思を持ち、その内に宿る不可思議な力を用いて所有者に助言、あるいは助力をする伝説の武器の総称である。


 世に伝わっているインテリジェンスウェポンのほとんどは単なるお伽噺や偽物ばかりなのだが、中には極小数ではあるが本物のインテリジェンスウェポンも現存している。そしてその中で有名なのが次代の王を選ぶとされる剣「選王剣マーリン」だ。


 外輪大陸にある小国に代々伝わっている選王剣マーリンは、その小国を建国した初代国王を支えた戦乙女マーリンの魂を宿していて、新たな王に相応しい人物を選ぶとそれを支えるとされている。


 そんな伝説の武器と同等の存在が今自分の手の中にあることがアルハレムにはにわかに信じられなかった。


「そうです。私はマスターの言うインテリジェンスウェポンです。マスターに振るわれるために女神イアスによって創造されたマスターだけの武器。それが私です」


 ロッドの柄尻にある宝石からまた女性の声が聞こえてきてアルハレムの呟きに答える。


「インテリジェンスウェポンのロッドか。確かに女神からの特別報酬じゃないと手に入らないな。……でもお前って、何ができるんだ? ただ女性の声で喋るだけか?」


「……マスター。その言葉はいくらマスターでも聞き過ごすことはできません。私は女神イアス様によって創造されたインテリジェンスウェポン。それがただマスターとお話しするだけしか機能がないとは思わないでください」


 ロッドの柄尻の宝石から聞こえてくる女性の声は先程と同じ口調だが、アルハレムには心なしか怒っているように聞こえた。どうやらこのインテリジェンスウェポン、中々にプライドが高くて自分の性能に自信があるらしい。


「そ、そうか……。それはすまない。じゃあ、もう一回聞くけどお前は何ができるんだ?」


「はい。私の基本形状はこの硬鞭ですが、一定の時間内であればマスターの要望に応えて形状を自由に変型させることができます」


 アルハレムの言葉にロッドはどうやら機嫌を直したようで、インテリジェンスウェポンは持ち主の手の中で剣、槍、斧、弓、手甲、投擲具と次々に自分の形を変えた。


「おおっ!? これは凄いな……!」


 自分の手の中で形を次々と変えるロッドにアルハレムが目を丸くて驚くと、ロッドの柄尻の宝石から更に機能を説明する声が聞こえてくる。


「そして私の本体はこの柄尻にある宝石ですので、この宝石が無事であれば壊れても自動で修復できます。最後に、私は魔女の魂を元に創造されたインテリジェンスウェポンですので、武器であると同時に魔女であり、マスターと共に成長することができます。成長すれば硬度が上がって壊れにくくなる上に、変型できる武器の種類と変型時間が増えます」


「え? 魔女ってお前が?」


「はい。マスターは『魔物使い』の冒険者。その力は配下においた魔物の力。そのためマスターの武器である私が魔女、魔物の一面を持つは当然の流れです」


「当然の流れ……なのか?」


「当然の流れです」


 アルハレムの呟きにロッドは断言する。


「それじゃあお前? もしかして武器だけじゃなくて魔女の姿に変身することもできるのか?」


「可能です。ただし武器以外に変型するときは、魔女の姿とマスターの姿の二種類にしか変型できません」


「へぇ、そうなんだ。……じゃあ試しにその魔女の姿になってみてくれないか?」


「分かりました。ではマスター、まず私を床に置いてください」


 ロッドに言われた通りアルハレムがロッドを床に置くと、インテリジェンスウェポンは自身の身体を変型させてロッドから女性の姿へとなったのだが……、


「えっ!?」


 アルハレムは女性の姿になったロッドを見て驚きの声を上げた。

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