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ep:4 屋上での昼休み

休み時間の度に噂をささやかれたが、無事4時間目が終わり、昼休みに入った。


私の学校では昼休みの時間はすごく長くて1時間もある。

その間に昼食を食べたり、友達と話したり、何でも出来る。

購買では、昼食からお菓子まで何でも売ってるし、グラウンド、中庭、屋上など何処で食べてもいい。


私は今日もいつもと同じように、杏樹と誰もいない屋上で昼食を食べ、いつも通り他愛もない話していた。

午前中の授業は眠かったとか、今日はこれから雨が降るとか、そんな日常的な会話をしているときだった。

私にとって最悪な事態を招くきっかけとなる出来事の原因が起こったのは。



きぃ、と扉が軋んで1人の少年が入ってきた。

噂の高瀬くんだった。

高瀬くんは、私たちを見つけると真っ直ぐにこっちへと来た。

「長谷川さん」


まさか、私に用事…?一体何の?噂に対する苦情?

それなら、こっちも迷惑を被っているんだけどなぁ…。


「高瀬くん…?私に何の用事?」

高瀬くんが頬を人差し指でかく。

「あの、さ…。今日の放課後って、空いてるかな?」

私は訝しげに眉を寄せる。

放課後?今じゃダメなんだろうか?

「…なんで?」

「いや、その…少し話したいから…もし、今日都合がいいのなら一緒に帰らない?」


なんだろう、この計られたかのようなタイミングは。

すごく、ものすごーく嫌な予感がする。


「私、帰りに寄るところがあるから…」

「何処?そこまででもいいから、一緒に居てもいいかな?本当に、話をしたいだけなんだ」

高瀬くんがフワッと笑う。

が、どこかぎこちなく見えるのは、私の先入観だろうか?

だがこれ以上長引くと、色々ややこしそうなので結局私が折れる結果となった。

「…うん、分かった」

その言葉にすごくうれしそうになる高瀬くん。

やっぱり、わざとらしく見える。

「よかった!じゃあ、一緒に帰ろうね」

そう言い残して、高瀬くんは去っていった。






高瀬くんが去っていた屋上には、再び私と杏樹の2人となった。

そして、気になることがある。

「ね、杏樹」

「ほーい?」

パンを食べながら返事をし、首をかしげる杏樹。


「どう思う?」


誰かというと、もちろん高瀬くんだ。

今回の高瀬くんの行動には謎が多すぎる。

何より、タイミングなど多くのことがものすごく絶妙のタイミングで起こっている。

申し訳ないが、高瀬くんには不確定要素が多すぎるためどうしても疑ってしまう。


「うーん、あれは“黒”っぽいなー」

「…だよね」

杏樹の言う“黒”とは、噂を流した本人、ということを意味する。

「分かってて、向こうのお誘いを承諾しちゃったワケ?」

「いや、どう出るかなぁ…と」


十中八九、仮想の私の噂を流したのは高瀬くんだ。

しかし、何故そんな噂を流す必要があったのかが分からない。

高瀬くんに一体なんの利益があるのか…。


「十分気をつけなよ」

「うん。―――――まぁ、いざとなったら兄さんたちに電話するよ」

「そうするのが一番ね」

私には歳の離れた双子の兄と姉がいる。

2人はすごく私に優しいんだけど………

「ティアのお兄さんとお姉さんはシスコンだからね」

苦笑しながら杏樹が言う。


そう、その通り。2人はシスコンだ。

私が少しでも怪我をすると、『誰だ、怪我させたのは?コロス』などと言って話を聞いてくれない。

兄や姉から好かれるのは大変うれしいが、過度な愛情を注がれるのも妹としては少し困ったものだ。


「シスコンじゃなかったら、もう少し頼るんだけどね…」

「まぁ、本当に困ったときに頼ればそれでいいんじゃない?」


ピロリーン♪


と、私の携帯が鳴った。

めずらしい…私の携帯が鳴るなんて。

「めずらしいね、ティアの携帯が鳴るのなんて」

杏樹も同じことを思ったらしくそう言った。


友人が少ないので携帯が鳴ることなんてめったにないのに…。

一体誰からだろうか?

「誰からのメール?」

杏樹に急かされ、開けてみるとfrom欄に『津田宛音つだあてぃん』と表示されていた。

「津田さんから」

「へぇ~。津田さん、なんて?」

興味津々の杏樹。

そんなに人の恋話が気になるか。


まぁ確かに。

私も津田さんからのメールの内容はすごく気になる。

たぶん津田さんからのメールって初めてだし。


その津田さんからのメールには

『今日は何時くらいに来れそう?ティアちゃんが来るの、ずっと待ってるからね♪』

と、書かれていた。


「何々~?」

と、杏樹が私の携帯を覗く。そして、表情をぱぁっと明るくする。

「津田さん、ティアにベタぼれね」

恥ずかしくないのだろうか、この文面。

いや、あの変態の脳内辞書に“恥ずかしい”という文字はない。

…仕方ないか。

「…すごく恥ずかしい」

「それだけ愛されてるってことなのよっ」

と、私の額を指ではじく杏樹。

「痛い…」

「当たり前よ。―――――さぁ、もうじきチャイムが鳴るわよ」


午後の授業が始まる。

昼食後はすごく眠いからツライ…。

「次、何の授業だっけ?」

「英語よ」

「…少しくらい寝てもいいかな……?」

「……いいんじゃない?」


私たちはクスッと笑い合い、私たちは屋上をあとにした。

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