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プロローグ

プロローグ



「常に危機感を持って行動せよ」



母がまだ在りし頃、私にただひとつ残した言葉である。


以来これは、私の座右の銘となり、信念となり、行動理念となった。


それからというもの、私は常にこの信念に従い、自身を危機から守る事に最善を尽くしてきたつもりだ。


中でも、特に母がひた隠しにし続けた私のある「秘密」。


これだけは母以外の誰にも知られることがないよう細心の注意をはらってきた。


幼少時から16歳になる現在まで共に過ごしてきた祖父母さえ、このことは知らない。



――だっていうのに……。



あぁ、何でこんなことになってしまったんだろう。


私は人生最大のピンチを迎えていた。


……つまり、長年ひた隠しにしてきたその「秘密」が今まさに暴かれようという窮地に陥ってしまっていたのである。



……でもこれって私のせいなの?



確かに今日の私の行動は少し軽率だったかもしれない。


だからって、まさかこんなところで、こんな冗談みたいな状況で、こんな事態になるなんて、誰が思う?


誰に予想出来る?


常識的に考えてみてよ。


マジでこんなコトやる馬鹿が、実際に存在するなんて思うわけないでしょ?


どっかの漫画か何かじゃあるまいし。


ここまで予期して行動しろってのは、ちょっと酷すぎませんかお母さん!



……あぁ、でもじゃあ、どうするよ?



せっかく私が16年間も隠し通してきたトップシークレットを、こんな下らない奴らに晒してしまえっていうの?


それを許してしまうと?



……あり得ない。


それこそ冗談じゃない。


そんなことがあってたまるか!



母が健在だった最後の日。


最後に見た母の顔。



あんな思いをもう一度するのだけはゴメンだ。


今から打開策を弾き出せばいいだけのこと。


諦めるな私!


そして、思い知らせてやるんだ!




私を「普通の女」だなんて勘違いしている、目の前のこの馬鹿どもに――


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