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ゴブリンの王国  作者: 春野隠者
遙かなる王国
329/371

東征《地図あり》

 王暦3年の晩夏に行われた“聖女戦役”は、ゴブリン側の勝利に終わった。ゴブリンの王は癒しの女神の聖女レシア・フェル・ジールを取り戻すことに成功し、逆に聖女を中心として連合を組んだ小国家群は、ゴブリンの圧倒的な武力の前に屈服を余儀なくされた。

 特に北の小国オルフェンの被害は甚大であった。

 人間の英知の結晶とも称された象牙の塔は陥落。オルフェン自体も4将軍の一匹ギ・ガー・ラークス率いる虎獣と槍の軍(アランサイン)の猛追を受け、その後の降伏勧告に膝を屈した。そして、最も大きな衝撃となって連合に齎されたのは聖女レシアが敵に奪われたと言う報告だった。

 象牙の塔の強力な指導力の下に何とか連携を図っていた小国家群は、聖女レシアを奪われたことにより急速に分裂。戦役勃発前にゴブリンに膝を屈した小国シーラドが隣国に攻め込むに当たって、瓦解は誰の目にも明らかとなった。

 ゴブリンの王が凱旋を果たした際に国境を接する隣国との間に展開した4将軍の一匹ラ・ギルミ・フィシガ率いる弓と矢の軍(ファンズエル)が睨みを効かせていたと言う事情があるにしろ、攻めこまれた小国連合は即座に反撃するべきであった。

 直接的に攻め込まれた小国ラーマナは専ら防戦に努め、連合を組んでいる他国に支援を求める使者を出したが、他の国々は尽くそれを無視。救援を求められた国々はオルフェンで行われた交戦で失われた兵士を補填するのに汲々としていて、とても他国に支援を出せる状態ではなかったのだ。

 ゴブリン側が手を出さなかったにしろ、小国ラーマナは先の戦役で連合側に付いていた。それは即ち、兵士の過半数を失ったと同義である。早々に屈服したシーラドは戦姫に痛めつけられたとは言え、ラーマナよりは未だマシであったのだ。

 王暦3年秋、シーラドの攻勢の前にラーマナは落ち、小国連合は完全に瓦解した。その時点で、黒き太陽の王国(アルロデナ)はシーラドに自制を求めると共に、ゴブリンを中心とした兵力の補填と軍の再編を行っていた。

 軍師プエル・シンフォルアは、王暦3年冬を以って東への攻勢を掛けることをゴブリンの王に具申し、その裁可を得る。

 4将軍からは、ギ・ガー・ラークスのアランサイン。

 同じく、ギ・グー・ベルベナの斧と剣の軍(フェルドゥーク)

 同じく、ギ・ギー・オルドの双頭獣と斧の軍(ザイルドゥーク)

 そして、副将軍格としてギ・ズー・ルオの千鬼兵(サザンオルガ)とギ・ヂー・ユーブの(レギオル)がある。彼ら2匹は互いに連携しつつ、1つの方面を任されることとなった。

 国内の監視と警戒を担うのは、ラ・ギルミ・フィシガのファンズエル。諸種族混成からなる軍は、外征よりも国内の安定の為にこそ用いるべきとのプエルの進言を、ゴブリンの王は良しとしたのだ。

 また、それらとは全く別の系統の軍も同盟軍として参加している。

 クシャイン教徒の聖女ミラから友好の証として派遣されたのは、粘り強い指揮と冷静な計算に定評のあるヴィラン・ド・ズール。彼女が若き英雄と称されるクシャイン教徒きっての軍師を参加させたのは、国内の安定を背景にした東部への野心の現れだった。

 シュシュヌ教国やシーラド王国も少数ながら同盟軍を派遣し、副将軍格の軍へと合流させていた。

 これら4つの戦力の同時投入は国内の安定を背景としており、アルロデナがその広大な版図の力を十全に発揮出来なかった今までとは歴然の差がある。

 エルレーン王国宰相エルバータと、西都の総督にしてギルド総支配人たるヨーシュ・ファガルミアの二人による国内の改革が成功を収めていたことの証左であろう。無論、彼ら二人が全てを差配した訳ではないが、それこそ無数の若き官僚や文官達が彼らの下に集まりつつあった為である。

 草原の覇者たるシュシュヌ教国の文官達を殆ど無傷で抱え込んだアルロデナは、徐々に巨大国家たる力の全貌を現し始めたのだ。

 巨大な版図であるが故の関所の廃止に始まる諸制度の改革。奴隷制度の改革。治安維持の為のゴブリンを衛士として雇用。冒険者ギルドと商人ギルドを抱き込んだ大規模公共事業の発注など、巨大な経済の歯車が噛み合い始めたアルロデナの力は、東に並び立つ小国など比較にすらならなくなっていた。

 金が動けば人が集まり、人が集まれば需要が生まれ、商取引が生まれる。

 野心豊かであり、金の匂いに敏感な商人らが、この機会を逃すまいとアルロデナに集まり始めるのは当然のことであった。

 ゴブリンの支配する王国と言っても、その内実と内政を動かすのは主に人間であり、エルバータとヨーシュは、その面を最大限に喧伝しつつ人を集めることに成功したのだった。

 勿論、ゴブリンの王と軍師プエルの同意を得た上での行動であった。

 軍師プエルが軍政の全般を司り、ヨーシュ及びエルバータが内治を司る体制は、王暦3年の冬から始まったとされている。

 圧倒的な経済力と魔獣を使役するという労働力に物を言わせた兵站能力の拡充は、4つの外征軍を組織出来るまでになっていた。それらを取り仕切ったのは、ザイルドゥークから半ば独立したギ・ブー・ラクタの後背の者達(クルーア)と彼の元に派遣された新進気鋭の文官ガノン・ラトッシュ。

 旧エルレーン王国出身であり、エルバータに推挙されてヨーシュの下で3年程の経験を積んだ彼に任されたのは、アルロデナ全軍の兵站計画という重大かつ膨大な仕事であった。目の前に堆く積み上げられた書類の山を、ガノンは毒舌と罵声を吐きながら的確に片付ける。後に、“失言多き天才(マーディガス)”ガノンと呼ばれることになる異端の才能は、その開花の時を迎えていた。

 王暦3年から活躍を始めた人物をもう一人挙げるとするなら、マーディガス・ガノンと比較されることの多い、“麗しき沈黙(ミルフェット)”ヘルエン・ミーアであろう。

 同じく王暦元年にエルバータの推挙を受けてヨーシュの下で経験を積んだ彼女は、ヨーシュの右腕としてその才能を開花させる。

 冒険者ギルドの二代目総支配人として辣腕を振るった彼女は、南部未踏地域の踏破を先鞭として、国の先遣としてのギルドを標榜した。未開発区域の開発や街道の整備など、アルロデナの中で最多の人口を誇る人間を最大限活用し、王国の経済に多大な貢献を成したのである。

 また、彼女は異常なまでの無口であり、指示は全て筆談を通じて行われた。彼女の執務室から声は聞こえず、ペンの音のみが響き渡ったと言う。彼女の声を聞いたことがあるのは直接の上司たるヨーシュのみであり、一体どんな声をしているのかは謎に包まれていた。

 そういった点も、マーディガス・ガノンとミルフェット・ヘルエン・ミーアが比較される要因であろう。

 王暦3年の冬。北の小国オルフェンを皮切りに始まったゴブリン3将軍の東征は、怒涛の勢いと圧倒的な戦力を以って小国家群を飲み込もうとしていた。


◇◇◆


「レシア・フェル・ジール……。これは、何だ?」

 ゴブリンの王は目の前に並べられた皿に盛られたそれを見て、困惑していた。

「クランジブルのステーキです」

「クランジブル……?」

 丸々とした鶏の丸焼きは飴色になるまでこんがりと焼かれ、その上に色とりどりの野菜が乗せられている。

「ええ、私が作ってみたのです。その、助けてもらったお礼に」

 若干視線を泳がせたレシアの表情は、感情無き人形などではない。まるで悪戯をした幼い娘が、その失敗を見咎められた時のようであった。

「ふむ」

 ゴブリンの王は彼女の表情と目の前に置かれた実に大雑把な料理に、むず痒くなるような感情を覚え、曖昧に頷いた。

「これで借りは返したことにしましょう。うん。それがいいです」

 無論、彼女が言ってるのはゼノビアの件ではない。ゴブリンの王が凱旋を果たしてから数日、彼女は酷く落ち込んでいたが、10日が経つ頃には少なくとも表面的には気持ちを切り替えていた。象牙の塔から帰還したミール・ドラを始めとする面々に心配をかけまいとした彼女の思いは、少々突飛な形で現れる。

 ──自分の住居の掃除ぐらい自分で出来ます。

 そう言い置いて掃除を始めたレシアだったが、此処は普通の城ではない。

 火の妖精族バールイが設計し、水の妖精族のフィーニーが協力し、風の妖精族が木を植えた王城である。端的に言えば建造途中なのだ。妖精族の主導する公共事業は、人間のそれと比較すると年数の単位がかなり長めのものが多い。

 そして木が育つのが前提であるという恐ろしい設計思想に基づいた建築物は、随所に落とし穴としか思えない採光の為の穴が開いていた。つまり、彼女は知らずその穴に落ちそうになり、ゴブリンの王に寸での所を救われていたりしたのだ。

 ゴブリンの王にしてみれば、普段の澄ました彼女が“ひゃ!”などという可愛らしい声を出して穴に落ちたのを思い出すだけで、微苦笑を誘われる。

「な、なんですか……」

 ゴブリンの王が邪悪としか思えない笑みを浮かべたのを目敏く見つけたレシアは動揺の入り混じった声で批難を浴びせるが、それとてゴブリンの王を愉しませる程度のこと。

「お前の命は料理で贖えるものなのか、とな?」

「べ、べつに命など掛かっていませんでしたし!」

 無理に取り澄ましたレシアの様子を思う存分楽しんだゴブリンの王だったが、横から冷たさすら感じさせる視線を受けて顔を向ける。

「早くお召し上がりになられては? 古き格言にある通り、踊る鳥達の会話は(ゲルメスト)熊すら顔を背ける(ハリアノン)と言います。待っていては料理が冷めてしまいますよ」

 言い終わると、ナイフとフォークを使って目の前の料理を食べるプエルの姿。

「踊る鳥達?」

「分からないのなら、ご自分で調べられたら宜しいでしょう」

 ゴブリンの王の疑問に連れなく返すと、プエルは食事を進める。

「まぁ、確かに。折角作ってもらったものを冷ましてしまってはな」

 そう言って食事を開始するゴブリンの王の様子を、プエルは冷たい視線で、レシアはありありと注視していた。

「……味は、どうでしょう?」

「……ん? ああ、中々に趣深い味だ」

「そうですか」

 尚もゴブリンの王の表情を伺うレシアに、若干気不味い思いをしながらもゴブリンの王は食事を終える。

「……さて、王様。私は穴に落ちてなどいません。いいですね?」

「……そういうことにしておこうか」

 微苦笑と共に返事を返すと、レシアは疑念の篭った視線を王に注ぎつつ退席する。

「随分、仲睦まじいことで。……彼女を王妃として迎えてはいかがですか?」

「冗談はよせ。そのような腹積もりであの娘を助けたのではない」

 目を細めたプエルは、窓の外に視線を向ける王の後ろ姿を見つめる。

「冗談で言っている訳ではありません。端的に言って、王統の継続をお望みなら嫡子の誕生は急務でしょう。それに、人間の娘を王妃に立てるのは政略の上でも決して悪手ではありません」

「……国内の統治基盤が、それ程までに脆弱とは聞いていないが?」

 ゴブリンの王は、ヨーシュやエルバータの主導する国内の改革は成功を収めていると聞き及んでいた。広い領土の隅々までを見て回ることが出来ない王にとって、正しい決断をする為の報告は正確であらねばならなかったし、虚偽を述べるのは統治者たる自身に対する背信であるとすら考えている。

「人間とは感情の生き物です。貴方がレシア殿を王妃に立て、慈しむのを見れば、彼らは思うでしょう。ゴブリン達は悪戯に人間を虐げる存在ではないのだと」

「……俺の跡を継ぐ者が居るとすれば、それは俺が死んだ時点で最も力を持つ者だろう。血統による王権の継続が悪いとは言わんが、我らゴブリンにその理屈は当て嵌まらん。何より、俺の血を継いだだけの弱者に首を垂れるなど、臣下達が納得するとは思えぬ」

「そして、貴方が死ねば再び乱世が幕を上げ、死ななくとも良い人々が無駄に死ぬと? 非効率です」

「俺の息子か娘が生まれたとして、それが無能ではないと誰が保証できる? 結局は同じことだ」

 堂々巡りを繰り返す議論にプエルは溜息を吐き、質問の矛先を変える。

「では、何故あそこまであの娘を求めたのです? 人間達の世界に戦いを挑んだのは、それが理由と聞きましたが」

「勘違いをするな。俺が人間の世界を侵略し、支配しようと思ったのは、あくまで俺の意志。その過程で俺のモノを奪った奴らから奪われたものを取り返したに過ぎん」

「では、レシア・フェル・ジールが望んだとしても王妃には立てないと?」

「……俺はあの娘に救いを与えたかったのだ。態々檻の中に舞い戻らせる必要はあるまい」

「人が良いといいますか、我侭といいますか」

 呆れたようなプエルの口調に、ゴブリンの王も苦笑する。

「取り敢えず、暫くは御静養ください。3将軍及び副将軍による東征は、今のところ順調のようです」

「そうだな。ギ・ガー達には苦労をかけるが」

「彼らにも一国を飲み込むだけの将器を培ってもらわねばなりません。今、王自ら戦場に向かわれるのは、貴重なその機会をみすみす奪い取る愚策というもの」

「分かっている。何度も説明を受けたからな」

「ならば宜しいのです。貴方の体調こそが、今この国で最も心配の種ですので」

「……苦労を掛けるな」

 無言のままに頭を垂れたプエルが退出する。

 彼女は退出すると、すぐさま一室へ入る。予めレシアに言い含めていたことを確認する為だ。

「レシア・フェル・ジール殿。貴女の意見を伺いたい」

「……プエルさんの予想の通りかと」

「王は味覚を失っておられる、と?」

 頷くレシアに、プエルは細い顎先に指を当てて思考に沈む。

「癒しの女神の力でも及ばぬ病の進行……。やはり超常の力に縋るしか無いということでしょうか」

 己の中にある膨大な魔素を使用する度に、王は自身の魂を削る。

 覇王の誓約の代償だった。

 そして、ゼノビアの憑代となったレシアを救う為に併発した復讐の女神の力。神々の力すら退けたその代償は、確実に王の身体を蝕んでいた。

 ──目は色を失い、肌は風を感じることもなく、耳は時折音を無くし、鼻は香りを嗅ぐことを忘れ、舌からは味が消える。軽重問わず、プエルが確認したゴブリンの王の異常は五感にまで及んでいた。

「何か、ご存知なのでしょうか?」

 レシアが憂いを帯びた表情で問いかける。ゴブリンの王の異常に少なからず責任を感じるからこそ、彼女は王を試すような真似をしたのだ。

「北部山脈地域で、竜を見たとの情報があります」

「……竜、ですか?」

 頷くプエルは言葉を続ける。

「あの御方は冥府の女神から加護を受けています。彼が扱う黒の炎からも、それは明らか。嘗て冥府の女神が率いた4匹の蛇……黒き炎の一つ目蛇(ヴェリド)双頭の水蛇(ベディヴィア)土喰らう大蛇(パーシヴァル)翼なき空蛇(ガウェイン)。その内の一柱が未だ存命だとすればどうでしょう?」

「それが竜だと?」

 寿命の短い人間には想像もつかない世界だが、妖精族にしてみればそう遠い話でもない。隔世の感はあるものの、神話の時代に起きた戦いは曽祖父の時代の話なのだ。深き森に居を構える妖精族の元には貴重な文献も存在し、争い多き人間達では残らなかったものも存在する。

「古き文献の中には、このような記述があります」

 ──空を統べる竜王グリムモアと対峙せしは、翼なき空蛇ガウェインなり。数多の眷属を統べし彼らの戦いは空を覆い尽くし、空に砕けし彼らの眷属達の躯は海中にて魔物となった。高き峰の山々を越え、北に彼らは戦い合う。

「古き文献にはヴェリドは女神と共に冥府に帰り、ベディヴィアは時の女神(ジュラナ)と、パーシヴァルは巨人達と争い合ったと書かれています。ゴブリン達に確認したところ、腐敗の主と呼ばれていたベディヴィアは既に亡く、パーシヴァルは巨人と今なお飽くことのない戦いに身を投じているとのことでした」

「……本当のこと、なのでしょうね」

 普通の人間ならば信じる筈のない荒唐無稽とも言える話を、レシアは信じた。つい先日、自身に加護を与える女神の存在を最も身近に感じたばかりなのだ。神話に語られる存在が今なお存在していたとて、驚くには値しない。

「人間にしては物分かりが良いですね。もしかすると、癒しの女神の力は、あの御方に対してあまり相性が良くないのかもしれません。冥府の女神と癒しの女神の確執は貴方の方がご存じでしょう?」

「それで冥府の女神の眷属達に力を借りたい、と……。以前は私の癒しの術(ヒール)でも効果がありましたが……」

「或いは、あの御方の身体が既に限界を超えてしまっているのかもしれません。そうであったとしても、やはり縋るべき相手は癒しの女神よりも冥府の女神であろうと考えますが」

「……そうかもしれません」

 力無く俯くレシア。ゴブリンの王の前では空元気を出してはいるが、その内心は不安と焦燥に焼かれていた。信じるべきは何なのか? 彼女は分からなくなってしまっていたのだ。

「ついては、貴方にお願いがあります。レシア・フェル・ジール殿」

「はい?」

「これより私は、国の諜報能力の全力を上げて冥府の女神の痕跡を探します。有力なものが見つり次第、あの御方をその場所へ誘って欲しいのです」

「……どうして、私なのでしょうか?」

 僅かに苦笑したプエルは、レシアの目を真っ直ぐ見下ろす。

「理由はお分かりかと。口では何と言っていても、あの御方は貴女に執着しています」

 それが愛情なのか、父性なのか、或いは別の何かなのかは定かではありませんが、とプエルは口の中だけで呟いた。

「……分かりました。私にも責任の一端はありますし、それに何より」

「何でしょう?」

「プエルさんに口で勝てるとは思えません」

 僅かに瞠目するプエルに、レシアは悪戯っぽい笑みを浮かべて、その部屋を後にした。

 プエル・シンフォルアの指示による竜の情報収集が始まってから20日後、彼女の元に報せが届く。

 西方及び北部未踏領域にて、竜を確認。

 神代の彼方に語られる者達の領域へ、ゴブリンの王がその足跡を記す時が来たのだった。


挿絵(By みてみん)

シルフの古き格言、踊る鳥達とは、恋人の隠喩ですね。

4月26日誤字脱字修正

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