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ゴブリンの王国  作者: 春野隠者
群雄時代
326/371

聖女

 その戦場では冥府が再現されていた。

 死ねない兵士と、それに恐怖を感じず肩を並べて戦う生きた人間達。既に彼らの目に理性の光はなく、赤い光に汚染された戦意のみが全てを覆い尽くしていた。

 ゴブリン達にとって不幸中の幸いだったのは人間達が知性を失い、力任せに襲い掛かってくる魔獣と変わらない存在となったことだ。魔獣が聞けば憤慨しそうだが、戦っていたゴブリン達の考えとしてはそんな所だった。

 足を潰しても腕が残っていれば這い進んでゴブリン達の足に組み付く人間の兵士。腕を切り落とせば噛み付いて離れない不死の兵士達。その姿に、ゴブリン達は冥府の軍勢を相手にしているような錯覚を覚えた。

 戦場の中心で冥府を顕現させた女神(ゼノビア)は泣いていた。

 墜ちた我が身に、娘と呼んだ人間の娘に負担をかけていることに、そして自らの意志に反して生み出される凄惨な光景に彼女は悲しみ、泣いていた。

 それに呼応して聖女も泣く。

 閉じられた瞼の奥から涙を流し、震える唇から紡がれるのは女神の悲痛な叫び。その悲涙すらも力に変える彼女の声は、それ自体がこの世に存在するどんな歌よりも甘美に響く。胸を押し潰す悲しみですら、癒しの女神の影響によって人間の心を癒やす為の装置としてしか働かない。

 彼女の周囲の人間達は、その力の及ぶ範囲においてあらゆる傷を癒やされる。いや、それは既に治癒という領域を超えた強制的な変化であった。

 人間達は、その姿形すらも変化させていく。年老いた者は若返り、その者が最盛期の力を振るえる状態にまで強制的に立ち返っていく。盛り上がる筋肉は骨格すらも強靱に作り変え、魔物や魔獣の特性である筈の進化を種族を無視して強引に行っていく。

 だが、それは世界の摂理に反するものである。

 経験を積まず、階級だけを上げた者がどうなるか? それを如実に物語る光景は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。歪に変化した身体に腕だけを肥大化させた者、持っていた剣を取り込んで一体化した者など、第三者が見れば魔物ですら生き物として正しい姿をしていると判断する光景であった。

 顕現された女神の力は暴走を始めている。

 泣き叫ぶゼノビアの悲嘆が形になったような光景に、ゴブリンの王は憤然として足を進めた。

「……これが神々だと? これが世界を定めた神々の力だというのか?」

 彼の胸の中に怒りが渦巻いていた。

 神々すらも己の意志を自由には出来ない事実。喚び出されたゼノビアの無様な姿に、ゴブリンの王は大剣を引き抜いた。神代の武器たる巨人の守護短剣(ティタンダガー)。嘗て巨人達が古の魔物と戦う為に創り出した短剣である。

 ゴブリンの王の怒りに呼応したのか、彼の中に渦巻く冥府の蛇達も動きを活発化させていく。彼に加護を与える冥府の女神(アルテーシア)はどうだか知らないが、ゼノビアは少なくともレシアを守ろうとしていた。

 それが無理矢理顕現させられ、災厄を地上に撒き散らしている。あんなものがレシアに取り憑いていては、彼女を救うことなど出来はしない。

 彼女に近付くにつれて強くなる圧力。

 今まで胸を押し潰す程の悲しみに泣いていたゼノビアが、涙に濡れた瞳を近付くゴブリンの王に向けた。その瞬間、今まで従順にゴブリンの王に従っていた魔素が暴走し、彼の動きを縛る。

 肺の中から無理矢理空気を吐き出されるような錯覚を覚える。軋みを上げる手足が震える。頭は外側から棍棒で叩かれているように痛み、内側からは頭蓋骨を削られるような二種類の痛みが鬩ぎ合う。傷を負っていない筈の体の内側が、ゴブリンの王が一歩踏み出す度に不協和音の怨嗟の声を上げる。

『ゼノビアァァア!』

 そして、更に悪いことに今まで抑え付けることに成功していたアルテーシアの憎しみが、蛇達を通じてゴブリンの王の感情を支配し始めていた。

 身体を癒やそうとする双頭の蛇の守護、根源たる魔素を自在に操る一つ目蛇の祝福、そして種を越えてさえ存在することを許す大蛇の祝福。その三つと己の魂が絡み合い、奇跡のような配合で存在しているのがゴブリンの王である。

 その存在が揺らいでいる。

 彼ら三匹の蛇達の上位に存在する冥府の女神の意志を、彼らは死しても無視出来ない。憎しみも悲しみも同調するのが彼ら眷属神の宿命だった。その意志が三つの蛇達の力の循環を妨げ、ゴブリンの王に苦しみを与えていた。

 歯を食い縛る。

 痛みなど、足を止める理由には成り得ない筈だ。

 一人の女の悲しむ姿が見ていられない。

 王が苦痛を乗り越え前に進む理由は、それで十分なのだ。

 肉体を苦しめるのみならず、精神すら侵蝕する神々の意志が王を縛る。膝を地面に突き、大剣で体を支えねば倒れ伏してしまいそうになる。吐き出す息には血が混じり、視界は霞む。

 一度止まってしまった足は動くのを拒否し、地面に付いた手はそこから離れることが不可能だと思わせた。

「……っく!?」

 ゴブリンの王の意志の隙を突いて、アルテーシアの意志が彼の身体を動かそうとする。己の意志と相反して大剣を握った右腕が勝手に動き、レシア目掛けて武器を投擲しようとしている。

 瞬きの間、ゴブリンの王は意識を刈り取られた。

『ゼノビアアァァアア!』

 ゴブリンの王の口から出たのは、冥府の女神の憎悪の声。

 その憎悪は神の怒りに触れたものだ。死という己の領分にまでゼノビアの力が及び、好むと好まざるとに関わらず冥府の底からアルテーシアを呼び起こす。

 彼女の憎悪は憑代たるレシアにすら向かっている。当然だ。彼女さえ居なければゼノビアは顕現出来ない。どのような姿であれ地上に存在し、影響を及ぼし、目の前に居る。それがアルテーシアのゼノビアに対する憎悪を駆り立てる。

 僅かな空白の間に、ゴブリンの王は意識を取り戻した。

「アルテーシアァアアア!」

 より強い憤怒でそれを叩き潰してしまわねば、己の身体すら自由に出来ない。何の為にここまで足を進めたのか。支配は彼女の領分ではない。己の支配権を取り戻す為に力を養ったのではないのか。

 投擲寸前だった身体の自由を取り戻し、大剣を強く地面に突き立てることに成功する。ゴブリンの王は僅かに安堵し、視線を上げる。

「ここ、まで来て……!」

 口から血が流れ落ちる。噛み締めた歯の間から砕けた欠片と共に鮮血が滴り落ちた。

「俺の、邪魔をするな!」

 必死に自身の体に言い聞かせる。まるで体の奥底が冥府と繋がったような感覚だった。怒りに燃える鬼面母神の姿が浮かんだが、直ぐにそれを追い出す。

「お、前の、憎悪など、知った、ことか! これは、俺の戦いだ!」

 油断すれば直ぐにでもレシアを殺そうと働きかけるアルテーシアの意志。ただそこにあるだけで周囲を狂わせていくゼノビアの存在。そしてそれを宿命づけられた女。

「──救ってみせる! その為に、俺はここまで来た!」

 レシアの前で途切れてしまった言葉の続きを、自身と世界に言い聞かせる。

 一瞬の空白の間に見た自身の過去の記憶。自分は人間の知識を持つゴブリンなのではなく、人間の魂を持ったままのゴブリンなのだと、再確認させられた悔悟の記憶。

「必ず、救ってみせる! 今度、こそ!」

 圧し潰されそうな足を踏ん張り、身体を起こす。

 あの時救えなかったあの人を、今度こそ必ず──。

 地面から離すことが不可能だと思われた手で大剣を掴み、みっともなくとも構わぬとゴブリンの王は立ち上がった。大剣を杖にして立ち上がると、二本の足で地面を踏み締める。

「グルウゥゥウオオァぁあア゛ァアあ゛あぁア゛アアァァ!」

 咆哮を挙げた。

 覚悟は決まっている。例え何を失おうとも、決して退く訳にはいかない。ゴブリンの王が、王である為に!

 足は泥を踏み締めたように大地に吸い込まれる。ゼノビアの発する圧力がゴブリンの王の身体に伸し掛かっているのだ。精神と身体の圧力に耐え、王は進む。

 大地に囚われた筈の足は歩みを止めず、内なる蛇達の蠢動とゼノビア憎しのアルテーシアの感情が彼の内心を焼く。

 ──燃えている。

 ゴブリンの王の内心を表現するのは難しい。全てが渾然一体となり、それを憤怒の炎で燃やしてゴブリンの王は進んでいた。

 そうして、遂に聖女の前に立つ。

 憤怒を力として大地に立ち、吐く息は炎のように熱い。

 開かぬ彼女の瞳を見返し、ゴブリンの王は聖女から視線を上げて女神を睨む。圧倒的なその存在感に、内なる蛇達が悲鳴を上げるのが分かる。アルテーシアですら憎悪の声を潜めざるを得ない。

 世界を支配する神々の一柱。

 それを間近に見上げて、ゴブリンの王は奔る痛みに悲鳴を上げそうになった。瞠目して痛みを探れば、肋が捻じ曲がったのを感じる。冥府の女神と癒しの女神。相反する力に、ゴブリンの王の身体が断末魔の悲鳴を上げていたのだ。

 歪む視界でゼノビアを見上げる。時間がない。

 立ち上がったゴブリンの王を認めたゼノビアはレシアから手を離し、まるで迷える人を迎え入れるが如くに両手を広げて彼女の後ろに聳え、顕現していた。

 口元から溢れる血はゴブリンの王の胸元を濡らし、開いた傷口から流れる血は彼の足元に血溜まりを作っていた。いつもなら黒き炎となって塞がる筈の傷が、目の前の女神の力に充てられて塞がらないのだ。

 右足の骨が割れる。傷口が開き、流れる血は更に勢いを増す。近寄るだけで確実に身体を砕いていく女神の力。蹌踉めいた王は、だが今度は倒れなかった。砕けた身体を起こし、まるで世界そのもののと対峙したかのような絶望的な力の差を示す相手を睨み上げる。

 立っていることをすら許さない神の存在を前に、ゴブリンの王は顔を上げ続けた。

「俺は、この女を救う!」

 吐き出される声に血が混じる。だが、神の作った世界に向かって王は宣言した。

「それを邪魔するのなら、貴様らの世界など破壊してみせる! 聖女などという軛など断ち切ってみせる! この俺の手で!」

 痛みの為に握っているかどうかの感覚もない腕を上げる。

「失せよ、女神! 戻ってこい──」

 握力など、とうにない。己の意志だけで大剣を担ぎ上げ、吐き出す血と共に咆哮を上げた。

「──レシアアァァアあアァアぁアアアぁア!!!」

 一撃の元に振り切る。

 レシアの先の女神に向けて。

 罅割れたのは世界か、己の魂か。ゴブリンの王は確かに亀裂の入る音を聞いた。

 冥府の女神から与えられた力が顕現する。神々の力を駆逐せよと、睥睨する復讐の女神が高らかに声を上げる。

 燃え滾る黒き冥府の炎が神代の刃に燃え移る。神々の干渉を跳ね返し、不可避の傷と引き換えにその力を断ち切る力が、燃えるゴブリンの王の魂を吸って世界を侵蝕する。

 踏み込んだ大地は罅割れ、振るわれた大剣に乗せて放たれた力はレシアの背後に寄り添うゼノビアの影を吹き飛ばす。ゴブリンの王の命を削る渾身の一撃は暗雲を纏っていた空にまで届き、陽光を呼び込んだ。

 僅かに安堵したかのようなゼノビアの表情を瞼に焼き付け、ゴブリンの王は倒れ込むレシアを抱き留める。

「……貴方は、本当に」

 震えるレシアの肩をゴブリンの王は優しく抱きしめた。

「言っただろう? お前を救ってみせると」

「私は……っ!」

 大剣を地面に突き立てたゴブリンの王の腕の中で、聖女と呼ばれた女は言葉もなく涙を流し続けた。


◆◇◆


 ゴブリンの王が女神の影を駆逐した後、戦場は劇的な変化を齎した。地面を覆っていた赤き術式は消え、生き返った者は再び死者に戻る。今まで聖女の力で強制的に傷を回復し、士気を上げていた連合軍は我に返った。

 正気すら奪われていた彼らは赤き光が消え失せると同時に戻ってきた理性に戸惑い、恐怖し、そして目の前に迫るゴブリン達の鬼気迫る突撃に震え上がった。

 ゴブリン達は文字通り、死に物狂いで突撃していたのだ。

 殺しても死なない人間を相手に四肢を削いで頭を潰し、それでも向かってくる敵の軍勢を勢いで突破しようとしていた。そのゴブリン達の姿は、正しく悪鬼と呼ぶに相応しい。

 悪い夢から醒めた人間達の目の前には、更なる悪夢が口を開いて待っていたのだ。

「ひぃ!?」

 誰かの上げた悲鳴が瞬く間に全軍に伝わる。

 それは最前線で武器を振るっていたゴブリン達にも敏感に感じ取ることが出来た。ラーシュカはそれを見極めると咆哮を上げ、氏族のゴブリン達にも吠えるよう命じる。

「咆哮を上げろ! 奴らは浮足立っているぞ!」

 次々と挙がる咆哮に、人間達は圧し潰されるように徐々に退がっていく。

 戦場の変化を敏感に感じ取ったのは、プエルも同様だった。

「赤き呪印が消えていく……! 王が聖女を取り戻したのでしょうか?」

 僅かな逡巡の後、彼女は弓に矢を番える。

「斉射、三連! 敵は押せば崩れます!」

 彼女の命令に従って放たれた矢の雨が最前線に降り注ぎ、それを皮切りに連合軍は潰走していく。元々中央部をゴブリン側に深々と侵食されていたのだ。踏み留まって戦う者は少なかった。

 本来なら指揮官が兵達を叱咤して戦線の崩壊を防ぐものだが、その指揮を執るべき者達ですら状況を把握出来ていなかった。更に全軍の指揮を執る者達の大半が聖女レシアの近くに居た為、神の力を至近距離で浴びてしまったのだ。

 彼らは瞬く間に異形の姿へと変じ、神の力が消え去ると同時にその姿を維持出来なくなって死んだ。統率出来る者が誰も居なくなってしまった連合軍は即座に崩壊し、魔獣達がそれを追撃する。本来ならゴブリン達も追撃に参加するべきだったが、流石に疲労の極地にあってはそれもままならない。

 何よりも死者が蘇って向かってくるという不可思議を目の当たりにした彼らは、ゴブリンの王から離れるのを躊躇った。そして、肝心の王は近衛に囲まれて動こうとしなかった。

 普段なら傷一つ無く黒の炎を纏って超然としている彼らの王は人間の女を腕に抱き、大量の血を流しながら片膝を突いていた。それだけでも、ゴブリン達にとっては敵など追撃している場合ではなかったのだ。

 敵を追い払った後、ゴブリンの王を中心に円陣を組んだゴブリンの軍勢は首都王の座す都(レヴェア・スー)へと進路を取る。負傷者を回収し、一部を象牙の塔に向けて進発させると共に、ゴブリンの王の身体を慮って主力は転進したのだ。

 泣き疲れて眠るレシアを腕に抱き、レヴェア・スーへと向かうゴブリンの王に代わり、全軍の差配をしたのは軍師プエル・シンフォルアだった。

 全軍の3分の1を失う恐ろしい程の損失。幸いにも高位のゴブリン達は含まれていなかったが、それでも負傷していない者は一人も居なかった。

 だが、これは確実に勝利であると彼女は考える。

 レヴェア・スーへと進むゴブリン達の中にあって、彼女はオルフェンに向かわせた虎獣と槍の軍(アランサイン)が無事に象牙の塔とオルフェンを占領したとの報告を受ける。

 聖女を人間達から奪い、連合軍は瓦解した。

 小国群の戦力は、文字通り半壊したと見て間違いないだろう。

 視線をゴブリンの王に転じる。

 アンドリューアルクスに跨り、レシアを腕に抱いたゴブリンの王の姿は魔王が姫を攫ったようにしか見えなかったが、魔物の国の王が凱旋するのには相応しかろうと判断した。

 王の体調は慎重に見極めねばならないだろうが、それでもこの先、敢えてゴブリンの王を前面に押し出す戦をする必要はない。4将軍それぞれが軍を整え、それぞれに進撃したとしても、小国単独なら撃破してしまえるだけの力の差がある。

 ゴブリンの王国は、大陸制覇に王手を掛けていた。


◆◆◇


 黒き太陽の王国(アルロデナ)では、ゴブリン軍勝利の報が一早く伝えられていた。後方を任されていたラ・ギルミ・フィシガの弓と矢の軍(ファンズエル)から伝えられた情報は、レヴェア・スーに集まっていた妖精族や亜人達、そしてゴブリン寄りの人間達を熱狂させた。

 軍の一部を割いて凱旋の準備を整えたギルミは、残りの兵力を東へと向けた。敗北したとは言え、小国家群に戦力が全く無くなった訳ではないのだ。それを警戒すると共に、王の凱旋の邪魔をさせる訳にはいかないと判断したギルミの差配であった。

 火の妖精族(サラマンドル)の火蜥蜴バールイや、水の妖精族(ウェンディ)の弓王フィーニーらを中心として改築されているレヴェア・スーでは、勝利を収めた王の軍勢が戻ってくるのを盛大に祝った。

 建物からは花弁が蒔かれ、興味本位で沿道に押しかけた人々や妖精族や亜人達によって、彼らの勝利が讃えられた。少なくない数の人間達が参加したゴブリンの軍勢は、その親近者だけでも相当な数に昇る。

 家族や友人や恋人の無事を確かめ、喜び合い、或いは涙を流して、彼らはゴブリンの王の凱旋を見守った。

 今までそのような歓迎を受けたことがないゴブリン達は、その光景に驚いていたが、次第に自分達が勝利者であることを自覚して素朴な喜びを表していた。

 そして、それは剣王ギ・ゴー・アマツキも同じであったらしく、彼は傍らのユースティアに何か良い歌は無いかと問い掛けた。暫く考えたユースティアは一族の者に即興で歌を教えると、美しき歌声でその光景を謳う。

 いつしかその声はゴブリン軍全てに響き渡り、彼らが叫ぶ歓声がレヴェア・スーを満たしていた。

『王よ! 王よ! 我らが偉大なる王!

 敵を討ち平らげし、偉大なる王! 暗き時代を終わらせる王よ!

 神々の恩寵篤き、勝利を与える者よ! 

 寒さに震える凍える大地で! 

 その身を隠す深き森で!

 喉すら灼けつく砂漠の地で!

 愛しき者の眠る草原で!

 あらゆる戦場で、勝利は王と共にあった!

 ああ、王よ! 王よ! 偉大なりし王よ! その勝利を永遠に讃えよう!

 王よ! 王よ! 我らが王! 偉大なるゴブリンの王よ!』

 やがてその歓声はアルロデナ全域に響き渡り、駆け巡る。暗き森から始まった聖女を取り戻す為の王の戦いは、ここにようやくその決着を見たのだ。

 彼らが怒涛の勢いで軍を東に進めるのは、もう間も無くの事であった。


◆◆◆◆◇◇◇◇




レベルが上昇。


主人公

55→92

ギ・ガー・ラークス

72→76

ギ・ギー・オルド

48→60

ギ・グー・ベルベナ

81→88

ギ・ゴー・アマツキ

89→9《階級が上昇》バロン→ジェネラル

ギ・ザー・ザークエンド

65→89

ギ・ジー・アルシル

67→78

ギ・ズー・ルオ

5→19

ギ・ヂー・ユーブ

15→30

ギ・ドー・ブルガ

2→37

ギ・ビー

76→80

ギ・ブー・ラクタ

30→35

ギ・ベー・スレイ

58→83

ラーシュカ

45→71

ハールー

27→38

ラ・ギルミ・フィシガ

7→8

クザン

56→60

シンシア

78→89

ブイ

28→29

シュメア

38→39

プエル・シンフォルア

26→36




【個体名】ギ・ゴー・アマツキ

【種族】ゴブリン

【レベル】9

【階級】ジェネラル・剣王

【保有スキル】《剣技S+》《紫電の剣》《斬鉄》《剣鬼》《見切り》《気配察知》《洞察》《剣豪の証》《静寂の天地》《歴戦の戦士》《人斬り》《魔人殺し》《剣聖》《絶人剣》

【加護】剣神(ラ・バルーザ)

【属性】なし

【状態】《剣神の祝福》


《剣技S+》──剣の極致に至り、《絶人剣》が使用可能となる。

《魔人殺し》──神代級武器と同調した魔人、若しくは神代級武器を装備した者に対して攻撃力上昇(中)、弱点の発見率上昇(中)

《剣聖》──剣を教える技能が向上(大)、教えを授けた剣士の能力に補正(大)

《絶人剣》──人未ダ踏ミ入ラズ、絶エテ人無キ境地に達した者に与えられるスキル。手にした物が剣でありさえすれば、敵の如何や硬度に関わらず切り裂くことが可能。




◆◆◆◆◇◇◇◇


というわけで第3章『群雄時代』完結でございます。

次回から4章『遙かなる王国』を更新したいと思います。

4月26日誤字脱字修正

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