猛然たる追撃
一時的に敵を見失ったゴブリン達の軍勢は、撤退の準備を進めながら警戒の為に亜人達を斥候として周囲に放っていた。作戦通りとは言え、追われる立場であるのは兵士達に相応の負担を強いている。
「敵襲っ!」
悲鳴染みた報告に、シュメアは浅い眠りから一気に覚醒した。
「数と方角はッ!?」
天幕の外から告げる兵士の声は、シュメアを慮って入ってくる気配がない。下着姿のまま天幕の扉を開けて兵士に問い掛ける。
「し、詳細な数は不明ですが、北東より敵襲です!概算で1000程かと!」
シュメアは舌打ち混じりに報告を聞くと、伝令兵に更に問い掛ける。
「距離は!?」
「凡そ5キロル!」
近過ぎると判断したシュメアは、ギルミへの伝達を頼むと鎧を着込むべく扉を閉めた。
「くそっ! 哨戒を掻い潜られたッ!」
警戒の亜人達は四方に散っていた筈だ。それが半ばまで食い込まれているということは、巧妙に警戒網を潜り抜けたのか、亜人達を排除して強引に突破したかだ。或いはその両方だろうか?
「全く、嫌な勘ばかりが良く当たるね!」
急いで鎧を着込んで短槍を持つと、天幕から飛び出る。副官を始めとする部隊長達を呼び集めて撤退の指示を出し、嵩張る物は放置して必要最低限の荷物を纏めさせる。
敵部隊の数は1000。あまりにも少な過ぎる。
別働隊がいるのか、襲撃部隊だけで先行してきたのか? どちらだろうかとシュメア達は考える。
「まさか、鉱石の末達の哨戒を潜り抜けてくるとはな」
驚愕した表情のギルミに、シュメアは考えを切り替えるように促す。
「信じ難いのは仕方ないさ。けど、事実奴らは此処まで来てる」
「確かに、その通りだ」
「ギ・ズー殿とブイ君。悪いけど殿を頼むよ」
「任された」
「はい」
普段のおちゃらけた雰囲気は鳴りを潜め、指揮官の顔になったシュメアは一気に指示を下す。
「ギルミ殿は、策通りに撤退の援護を」
「うむ」
「人馬と牙に連絡を取って、合流次第全力で南下する。皆んな、それまで頼むよ!」
頷く全員を確認して、シュメアは伝令を飛ばす。亜人達と合流せねばならない。世界は夜の神の腕の中から、徐々に火の神の胴体が支配する時間へと変わりつつあった。
「ん?」
陣営地の北東、敵が迫ってきている方角から悲鳴が聞こえたような気がして、シュメアは眉を顰める。
「……悲鳴?」
耳の良いギ・ズーが、訝しげな視線を向ける。
「俺が様子を見てくる。ブイ殿も準備が整い次第頼む」
返事をするブイを尻目に、ギ・ズーは己の配下を率いて悲鳴が聞こえた方角へと走り出した。
◆◆◇
引き絞った弦から風を切って矢が放たれる。未だ暗い中、不確かな地平線に吸い込まれた矢は低い音を立てて敵に命中した。
「当たったようであるな」
草原を渡る風を頬に心地よく感じながら、隻眼のジゼは手に持った弓から手を離す。
「馬を射るのは武人のすることではないが……。さりとて、亜人は彼奴らの仲間と来ておる。ゴブリン共め、全くもって不愉快千万!」
憤慨しながらも四周を睨む眼光に衰えはなく、細められた視線の先に動く物を見つけると再び弓を構える。
「ええい、忌々しい!」
ぎりり、と引き絞った弓から明けきらぬ空へ向けて矢が放たれる。異変を察して逃げる亜人の背中に吸い込まれるようにして矢が突き刺さり、どうと倒れ伏す。
「進軍速度を上げるぞ! 後続の本隊に伝えよ!」
斥候を排除しながら進むジゼ率いる南方軍は、確実にゴブリン軍に迫っていた。ジゼ自らが斥候となり、亜人達を擦り減らしながら進む。
人馬族が広範囲を探る為に二人一組で斥候に出たのも拙かった。
人馬族は優れた身体能力に反比例して、あまり夜目が利く方ではない。精々人間と同程度だが、大軍の進む音を聞き分けて数を把握しようとする頃には、既にジゼの射程内に入ってしまっているのだ。
或いは牙の一族なら別だったのだろうが、大きく北から東を人馬の一族の索敵範囲と定めた両族長の運が悪かったとしか言いようがない。一方で北から西に至る間を探っている牙の一族は敵を掴まえられず、主力との合流を考えていた。
その人馬族の警戒区域を、ゲルミオン王国軍は突破しつつあったのだ。
幸いだったのはギ・ジー・アルシルの放った暗殺部隊の分隊が付近の偵察に当たっており、分隊員のゴブリンが人間の軍勢を発見して報せたことから事態が発覚したことだった。
「ふむ……いたぞ」
草叢に身を潜めたジゼは敵陣を観察していたが、移動の準備をしている様子を見て判断に迷っていた。単独で敵陣を乱すか、それとも本隊の到着を待つか。
報せは既に出してある。
凡その位置は伝えてあるし、道中に斥候を置いてあるので迷うことはない筈だ。
だが、推定3000の大軍に単騎で突っ込むのは、歴戦のジゼと言えども躊躇を覚えた。如何にジゼが一騎当千の武士であっても、流石に命を賭ける覚悟がいる。
「……拙者は、恐れているのであるか」
暗闇の中、ジゼは自身に問い掛けるようにして独白する。
「否、否である! ゴブリン如きに、拙者が遅れを取る筈がない!」
己の胸の内から返ってくる言葉は、熱い猛りとなって獰猛な笑みを顔に刻む。
「これこそ我が本領、我が本懐! 拙者の晴れ舞台よッ!」
弓を投げ捨て、背中に背負った曲刀を抜く。
駆け出すジゼを止める者はなく、たった一人の朝駆けにゴブリン軍は恐慌を来すこととなる。
◆◇◆
その襲撃は、ゴブリン達の度肝を抜いたという点で奇襲であった。
夜討ち朝駆けは戦の常道である。ただし、それは人間同士での戦いの話だ。聖騎士ジゼが単騎で突撃してくる様子はゴブリン達にも見えていた。その時は、間抜けな人間の斥候が入り込んできた程度の認識だった。
捕らえて人間達の居場所を吐かせようと考えたレア級の一匹が、猛然とゴブリンの陣営地に突っ込んでくるジゼを見て顔を青くした頃には、最早手遅れであった。
振るわれる曲刀の一撃がゴブリンの首を刎ねる。間髪入れずに2匹。両隣のゴブリンの首を刎ねると同時に、その体が倒れるより早く呆然とするゴブリンの鳩尾に蹴りを叩き込み、吹き飛ばす。周囲を巻き込んで吹き飛ぶゴブリンを一瞥し、曲刀を水平に構えて拓けた空間に突進。
正面のゴブリンの首に水平に刃を差し込み、瞬く間に4匹のゴブリンを斬り捨てると、高らかに名乗りを上げる。
「ゲルミオン王国聖騎士、ジゼ・ユウェンティ! 貴様らの首を狩りに来たぞ!」
勇猛果敢なゴブリン達をして、その圧倒的な武威は恐慌を来すには十分だった。猛る隻眼の悪鬼の刃が、容赦なくゴブリンの首を刎ねていく。気を呑まれた者から刃の餌食となり、曲刀が縦横無尽にゴブリン達を斬り殺していく。
その突進力は一人で千の敵を圧するが如く。驚天動地のゴブリン達を半ばまで蹂躙していく。その惨状を確認したギ・ズー・ルオが怒りの声を上げてジゼを止めるまでに、50匹を超えるゴブリンが犠牲になっていた。
「そこまでだ人間ッ!!」
「おお、あの時のゴブリンか! 善き哉ッ!」
ギ・ズーの鉄槍を正面から受け止めたジゼは嗤う。鍔迫り合いの形になり、互いに噛みつかんばかりの凶暴さを隠しもしない。
「名があるのなら名乗れ魔物よ! 我が名はジゼ・ユウェンティ! 貴様らを狩る者であるぞ!」
「俺はギ・ズー・ルオ! お前を殺す者だッ!」
怒鳴り合う2匹の獣。拮抗する力に一時的に間合いを切ると、再び互いに躍り掛かる。突き出されるギ・ズーの槍を下段からの切り上げで払い除けて接近するジゼ。そのまま上段の構えを取るジゼに、振り下ろされる曲刀の軌道を読んだギ・ズーが加速する。
撥ね退けられた鉄槍を頭上に掲げるように持ち上げると、振り下ろしてくる剣の軌道に翳す。普通ならば受け止められる筈のジゼの刃は易々と鉄槍を両断し、ギ・ズーの肩に食い込む。肉を斬る手応えに、ジゼは口元を歪ませて笑った。
「鉄如き、斬れぬと思うてかッ!」
だが、僅かに腰を落としたギ・ズーから猛然と湧き上がる気迫。
「グルウゥウァアォォオオオ!!」
真っ二つに切り裂かれた鉄槍を投げ捨て、狂神の加護篤き狂い竜の本性を剥き出しにする。肩に刃を食い込ませたまま、ジゼの脇腹に拳を叩き込む。
「ぐっ!?」
鈍い音を立てて砕ける肋骨の痛みに、僅かにジゼが怯む。更に、ギ・ズーは動きの止まったジゼの額に渾身の頭突きを叩き込んだ。あまりの衝撃に思わず目を閉じるジゼ。その隙を逃さず、ギ・ズーは右拳を振り抜く。嘗て体格で勝るズー・ヴェドを完膚なきまでに叩きのめした剛拳。階級を上げ、更に威力を増したであろう膂力。
並の人間ならば首が千切れ飛んで絶命する一撃である。事実、ジゼは凄まじい勢いで吹き飛び、地面を転がる。地面を削る程の衝撃力は屈強な魔物でさえ一撃で殺しかねない、正しく必殺の拳であった。
「……苦し紛れかと思ったが、そちらが本性か」
土煙の中から悠然と現れるジゼの姿に、狂えるギ・ズー以外の誰もが驚愕した。肩に食い込んだ刃を投げ捨てると、ギ・ズーは憤怒の気迫を伴って再びジゼに襲い掛かる。
「グルルウゥガアアァアアァ!!」
口元から流れた血を拭うジゼに気後れすることもなく、ギ・ズーは前に出る。
無手の状態から左手を前に出して腰を落としたジゼが、力任せに繰り出されたギ・ズーの拳を僅かに前に出した左手で払うと、出来た隙間に渾身の右拳を叩き込んだ。
「──だが!」
寸分違わずギ・ズーの顎を撃ち抜いたジゼは、拳を引き戻して気炎を吐く。
「武芸十八般、修めた拙者に死角はないわ!」
脳を揺さぶられて崩れ落ちるギ・ズーの姿に、周囲のゴブリン達は動揺を隠せなかった。
「てめえ、よくも親父を!」
動揺するゴブリン達の間を掻き分け、棍棒を担いだズー・ヴェドが鼻息荒く出てくる。
「親父を救え!」
率いてきた武闘派ゴブリン達を嗾けると、自身はジゼの近くに倒れているギ・ズーに駆け寄る。
「善き哉。一騎打ちは戦場の華なれど、魔物狩りはこうでなくては──」
「──ブルゥゥウウオオアアア!」
直後、背後から忍び寄ったブイの一撃がジゼを襲う。渾身の力を込めたであろうブイの一撃は地面を砕く。土煙と一緒に石片が飛び散る。
「──オークまで来たか。善き哉ッ!」
咄嗟に飛び退いたジゼの手には再び曲刀が握られている。迫る武闘派ゴブリンをジゼの曲刀が叩き斬る。先程までの急所を狙う技に特化した攻撃ではない。文字通り力任せに命を奪うが如き、荒々しい剣筋だった。
「善き哉っ! 嗚呼、善き哉! これぞ魔物狩りの醍醐味よ! クッカッカッカッカ!!」
悪鬼の如く嗤う隻眼のジゼは、迫る来るゴブリンとオークを撫で斬りにする。片手で曲刀を操り、頭上から股の間まで一刀両断に切り裂くと、残る片手で反対側から迫るオークの目に指を突き入れる。悲鳴を上げるオークを引き倒し、痛みに痙攣するオークの頭を踏み潰す。
「オークもこの程度か」
押し寄せる魔物を片っ端に斬り倒すジゼの奮戦は、魔物達の包囲の輪を徐々に広げていった。
「くそっ! 本物の化け物だぜ!」
ヴェドはギ・ズーを抱えながら舌打ち混じりに吐き捨てると、手下に守らせながら徐々に下がらざるを得なかった。事前にギ・ズーから撤退を最優先せよと厳命されていなければ、真っ先に襲い掛かっていただろう。
「下がれ、下がれ!」
ギ・ズーを回収したヴェドは、距離を取りながら逃げるしかなかった。
殿を務めることになったのはブイ率いるオーク達と、遅れて来た亜人達だった。聖騎士の強さに心底恐れをなしたブイは、オーク達に重装鎧と鋼鉄製の盾を用意させていた。移動速度は遅くなるが、死傷者を減らす利点だけを見れば、他に勝るものはない。
肩を寄せ合い、可能な限り隙間を無くして徐々に後退するオーク達。ただ只管に防御に専念するオーク達にジゼは追い打ちをかけようとするが、割って入ったのは一族の者を多く殺されて怒り心頭な人馬の一族達だった。
「矢を射掛けろ!」
鉄すら容易に貫通する騎射術。人間など及びもつかない機動力。怒りに心を焼かれながらも、族長ティアノスは自分達の長所を良く弁えていた。
地を駆ける健脚こそ人馬の誇り。獲物を仕留める弓の腕こそ人馬の誉れ。
「足を止めるな! 援護に徹すれば良い。だが、隙あらば殺せ!」
自身も弓を引き絞り、立て続けに3連射を射込むと、距離を開けるべく疾駆する。これには流石のジゼも辟易したようで、ゴブリン軍の追撃よりも自身の身を守る事を優先した。
中天に火の神の胴体が昇る頃。人馬族の矢が尽き、辺り一帯を針山の様相にしながらもジゼは立っていた。だが、既にゴブリン達は遠くに逃げ去っており、態勢の立て直しに専念していた。
「逃したか。……だが」
全身を魔物の血で濡らしたジゼが後方を振り返る。本隊の動きが遅過ぎる。もしや何かあったのではないかと視線を転じれば、陽炎の向こう側にやっと本隊が見えてきた。
その後、本隊と合流したジゼは驚くべき情報を耳にする。
「……斥候が、ほぼ全滅?」
「はっ……皆、喉を一掻きにされておりました」
何者の仕業とは聞かなかった。
惨憺たる被害状況を確認したジゼは、思わず苦笑した。
「……やるではないか。ゴブリン共め」
「如何いたしましょう?」
「ふむ……。ヴァルドー殿と貴族軍に先鋒を譲らねばなるまいよ。無闇に突っ込んでは、命が幾つあっても足りぬ」
「はぁ……」
どこか納得の行かない顔の兵士に豪快に笑いかけると、ジゼは服を着替えに天幕へと向かった。足止めはしたが、未だゴブリン軍は健在である。闇夜で襲われれば不利は免れないと判断したジゼは簡易的な陣営地を設営し、夕陽が差し込む時間帯には完成させていた。
「追撃は明日の朝一からである。それまで、良く休むように」
豪胆過ぎる命令だったが、南方軍はジゼに従い追撃を一時中断し休息を取った。
◆◆◇
「ジゼ殿が先鋒を譲ると?」
伝令による報告を受け取った聖騎士ヴァルドーは、被った兜の合間から遠く陣営地を作成しつつある南方軍を見つめた。
「はい。斥候を潰された為、先鋒を譲りたいとのことです」
「足を払われ、次は目を潰しにきた訳か」
僅かに考え込んだヴァルドーだったが、前進の判断を下す。昨日、軍務卿ベードルの息子ビクトルが死んだ。心を重くする報告に、ヴァルドーは進軍を決意せざるを得なかった。
せめて西域を取り返さなくては、何の面目あって子を亡くした親に会えるだろうか。
「南方軍が陣営地を作るなら好都合。敵に向かって進軍する」
兵站基地はジゼが用意した陣営地で問題ない。ゴブリン軍に壊滅的な打撃を与えるまで戦を継続せねばならないと心に決め、ヴァルドーは前進を再開させる。
ジゼの送った情報を頼りに、西域の奥深くまで軍を進めることになる。王太子直属の近衛、魔法兵団、貴族軍を一纏めにして先鋒を受け持つ東部軍。
ジゼのように突出する訳にもいかず、ヴァルドーは軍中から静かに敵を睨んでいた。やがて夜の神の腕が空を覆い尽くし、闇の女神が翼を広げる頃、彼らは周囲を警戒しつつ野営に入る。
少数の部隊を四周の警戒に出すと、簡単な天幕を張って睡眠を取る。
警戒したゴブリンの夜襲はなく、翌日に彼らはゴブリン達の後ろ姿を発見することとなった。
平原の中に3つ程点在する小さな森林の一つにファンズエルが入り込んだのを確認したのは、追撃を始めてから翌日のことだった。貴族軍はすぐさま森林に討ち入るべきだと提案するが、魔法兵団は反対を示す。視界の悪い場所では魔法が使い難い為だった。
彼らが主に使うのは炎の魔法である。木々が密生する森林では、下手をすると火災を引き起こして自分自身が焼け死ぬ可能性がある。
「我らの勝利は目前であろう! 攻めるべきだ!」
そう主張するのは貴族軍の将校である。
「だからこそ慎重さが要求されるのです! 徒らに突っ込めば良いというものではない!」
反論する魔法兵団の将校の声にも耳を傾け、ヴァルドーは思案を巡らせていた。如何にして王太子に手柄を立てさせるか? 森で戦えば、当然此方が不利。ならば奴らを森から引き摺り出さねばならない。
「うむ……」
ジゼは眼帯を弄りながら考え込む。ジゼ率いる南方軍は、周囲の警戒に当たっていた。
「……燃やすか」
ぽつりと漏れ出た一言に、誰もが発言者を注視する。誰あろう王太子イシュタールの言葉である。
「森を、ですか?」
「ゴブリン共を炙り出せれば、会戦も望めるのでは?」
「確かに」
僅かに思案したヴァルドーは頷く。
「王太子イシュタール殿下の策、見事」
頭を垂れたヴァルドーは、すぐさま他の将校達に向き直り、焼き討ちの準備をさせる。翌朝を以って仕掛けられた焼き討ちは弓と矢の軍の隠れた森を業火で焼き尽くした。煙に巻かれたファンズエルはイシュタールの思惑通り、森から逃げ出さねばならなかった。