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ゴブリンの王国  作者: 春野隠者
群雄時代
256/371

復讐者の砦

 砦に入ったゴブリンの王は負傷者の治療を任せると共に、辺境の領主達の無事を確認した。疲労は溜まっていたが、上に立つ者として未だ休む訳にはいかなかった。

「そうか。何よりだ」

 同時に、ゴブリンの王はザウローシュからギ・バー・ハガルの最後を聞いた。

「……奴は戦士であろうとしたのだな」

「私の力が足りないばかりに。お許しを」

 後悔を滲ませて頭を下げるザウローシュに、ゴブリンの王は首を振って否定する。

「友の覚悟を背負うことはあっても縛られる必要はない。あまり考え過ぎるな」

 無言で一礼すると立ち去るザウローシュ。一人になったゴブリンの王は小さく息を吐いた。今や王の双肩には、ゴブリンだけでなく辺境の民の生命までもが乗っている。そしてこれからもその数は増えていくだろう。王の決断一つで不幸が生まれ、騒乱となる。

「だが、背負うに値するものだ」

 小さな呟きを聞く者はいない。

 王の責務として軽くはないが、それだけの自負が王にはあった。

 数多の戦士に奉戴される王ならば、この世界を掌中に収める王ならば、やって出来ないことはない。王は弱気になりそうな自身に言い聞かせる。

「無事で何よりだ、王!」

 ザウローシュが退出したのを見計らったかのように、飛び込むようにして入ってきたギ・ザー・ザークエンド。その様子にゴブリンの王の頬は自然と緩む。

「心配をかけたようだな」

 ゴブリンの王の体に刻まれた傷は未だ完治するには至っていない。その傷跡を見たギ・ザーは眉を顰めた。

「当然だろう。何故、他の者を盾にしてでも逃げなかった? 他の者の代わりは居ても、王の代わりは居ないのだぞ?」

「掛け替えの無い部下だ。見捨てるなど、俺の矜恃が許さん。無論、お前も含めてだ」

「ぐ、む……。まぁ、無事ならばそれで良い」

 ギ・ザーから合流の経緯などを聞く内に、指示を出し終えたプエルが戻ってきていた。

「改めまして、お久しぶりです。ゴブリンの王」

 片膝を突いて片手を胸に当てる作法は、王に対する騎士の礼に準ずる。

「目の前を覆う靄は晴れたか?」

「はい」

 ゴブリンの王は食い入るようにプエルを見つめ、プエルもまたゴブリンの王から視線を逸しはしなかった。

「……性悪な女神に魅入られたのか」

「必要とあらば、魂すら切り取って売り渡しましょう」

 無表情で視線を逸らさないプエルに、ゴブリンの王は口の端を歪める。

「お前の力、俺の下で振るう覚悟は出来たのだな?」

「……私の望みを叶えて下さるなら、この身すら惜しむものではありません」

 ゴブリンの王は姿勢を正し、胸を張る。

「聞こう。望みを言え」

「赤の王の討伐を!」

 どろりと、彼女の内心から憎悪の塊が漏れてくる。今まで無表情の仮面を被っていたプエルの顔に感情という名の亀裂が入る。優雅さで知られる妖精族とは思えない激情をプエルの目から見て取ったゴブリンの王は、同時にその瞳の奥に燃え盛る炎の如き黒い魔素が渦巻いているのを感じた。

「良かろう。俺も南方で多くを失った。それを取り戻さねばならない。我が覇道に付き従うならば、お前の望みを叶えよう」

「有難き幸せ」

 再び無表情の仮面を被ると、プエルは立ち上がって膝に突いた埃を払う。

「現状を整理しましょう。2刻程、時間を頂きます」

「そうしてくれ」

 僅かな休憩時間に、ゴブリンの王は目を閉じた。


◆◇◆


 休憩を取って幾分回復したゴブリンの王だったが、目を通さなければならない案件は堆く積み上がっていた。先ずは今回の戦で階級を上げた者達の確認である。

 古獣士ギ・ギー・オルドはノーブルからデュークへ。同じく獣士のギ・ブーがレアからノーブルへと階級を上げていた。また、王は今回から命名の儀式のやり方を少し修正した。

 今現在のゴブリンの軍勢はノーブル級以上のゴブリンが己が領地と配下を持ち、軍を率いるという態勢を取っている。例えばギ・グー・ベルベナがそうだが、王の許可を得て南方ゴブリン達を支配していると言って良い。それらの領地で階級を上げたゴブリンは、その領地を支配するゴブリンが命名すると宣言したのだ。

 つまり、ゴブリンの王が命名をするのは旧ギの集落出身のゴブリンだけであり、今は深淵の砦出身のゴブリンだけということになる。更にゴブリンの王は、ギ・ガー・ラークスやギ・ジー・アルシル、ギ・ヂー・ユーブ等の領土を持たずに王に仕える者達にも命名権を与えた。

 結論から言うと、ゴブリンの王が命名するのは王が直接率いる一部隊のみとなったのだ。

 つまり王に命名をしてもらいたければ、王が直接率いる戦場で階級を上げるしか無い。ギ・ガー・ラークス率いる近衛は基本的に負傷兵のみで構成されている。王が率いる戦場で負傷し、ギ・ガー・ラークス率いる近衛に配属変えになれば、命名権はギ・ガーに移ると言う仕組みだった。

 これを考えた王は、外面は厳めしい顔を作りながらも内心では笑っていたに違いない。相変わらず王は命名が苦手であった。

「家名はどうするのだ? それも勝手にやらせるのか?」

 ギ・ザー・ザークエンドの鋭い質問に僅かに逡巡を見せた王だったが、すぐさま返答する。

「家名と領土の委任は王の職権とする」

 こうして命名の儀式に多少の変更が為されたが、ノーブル級になれば王から直接家名を授けられる栄誉は、変わることはなかった。


【個体名】ギ・ギー・オルド

【種族】ゴブリン

【レベル】1

【階級】デューク

【保有スキル】《追尾》《投擲》《斧技C+》《雑食》《嚇怒の咆哮》《以心伝心》《上級獣士》《凄腕調教師》《連携》《群れの仲間》《蟲喰らい》《魔獣の調伏者》

【加護】なし

【属性】なし

【使役魔獣】大角駝鳥(トリプルヘッド)


《嚇怒の咆哮》怒りに際して攻撃力・防御力上昇(中)、俊敏性低下(小)

《上級獣士》魔獣を使役できる数が上昇(大)

《凄腕調教師》魔獣を獣士でなくとも従えられるように調教することが出来る。他の獣士に伝授が可能。

《魔獣の調伏者》上級の魔獣を従える確率が上昇(中)


 ゴブリンの王はギ・ギー・オルドのスキルを確認すると、引き続き集落を任せることを宣言する。その次は、ノーブル級へと階級を上げたギ・ブーである。


【個体名】ギ・ブー

【種族】ゴブリン

【レベル】1

【階級】ノーブル

【保有スキル】《威圧の咆哮》《斧技C+》《悪食》《獣の心》《死地への嗅覚》《古獣士》《格闘C+》《生み増やす者》《魔獣の嗅覚》

【加護】なし

【属性】なし


《生み増やす者》魔獣を子供の頃から育てることにより、魔獣の忠誠心が上昇(中)

《魔獣の嗅覚》魔獣の成長に必要な餌が判別出来る。


 ゴブリンの王はギ・ブーのステータスを確認すると暫し考え込む。《生み増やす者》ギ・ブーは、前線に出すよりも後方支援として魔獣の育成などを担わせた方が力を発揮出来るかもしれない。今の魔獣軍は、実質的にギ・ギーの集めた魔獣とそれを世話するレア級ゴブリンで成り立っている。

 だが、それとは別に魔獣を管理してゴブリンが使役出来るように飼育し、更にその肉を食用に転化するなどの調教と牧畜のノウハウが確立すれば、増え続けるゴブリンの食糧事情に対して大きな一助になり得るだろう。将来的には、ギ・ギー率いる魔獣軍から独立した後方支援に特化した部隊を任せてみるのも良いかもしれない。

「ラクタの名を与える。魔獣軍の一員としてギ・ギーと協力せよ」

「有難き幸せ」

 砦の会議室──とは言っても、大きな机と椅子があるだけの巨大な部屋だが──に主だった者達を集めた会議で其れ等の報告を行うと、ゴブリンの王はプエルに現状の説明を求めた。人間の領域から戻ったプエルが西域にいるならば、ゲルミオン王国側の状況も落ち着いたのだろうと判断した為だ。

「では、及ばずながら」

 いっそ冷たいとすら思えるプエルの声が主だった者達の耳に響く。先ずは内治の話だった。

 西域へと侵攻を企てていたゲルミオン王国は南方の戦役に介入。西域とゲルミオン王国側の国境にある砦群に集結していた旧西域の民は陽動と判断して間違いない。

 しかし、陽動と判断はしつつも隙を見せる訳にはいかない為、ギ・ガー・ラークス率いる西域の軍勢は少数ながら出撃中である。同時に亜人の主だった者達に命じて西域北側の森林地域の監視を強化。この機に乗じた冒険者などの暗躍を防ぐ処置をしてある。

 辺境領域を捨てた民は、旧領主達が中心となって西都に移住を移しつつある。だが、亜人達や魔物達との兼ね合いもあって、全ての民が家を割り当てられている訳ではない。これらは今後の課題となった。

 血盟誇り高き血族(レオンハート)は、ザウローシュが中心となって辺境領域の民と共に西都に住む。今回の戦では犠牲者が出たそうだが、混乱は見られない。

 自由への飛翔(エルクス)に至っては10人程がプエルと共に西域に来ている他は、全て東部に残してきている。それ以上プエルは語らなかったし、ゴブリンの王も聞かなかった。

「直近の課題としては西域の農地開発と防衛の強化でしょう。並行して、正確な収入を知る為の人口調査も実施していきます」

 頷くゴブリンの王だったが、周囲の者達を見渡すと、苦い顔をして眉間に手を当てて小さく首を振る。

 この砦に集まっているのは武官が殆どである。ギ・ザーやギ・ドー辺りはまだしも、ラーシュカやギ・ズーなどは完全に首を傾げている。先頃の戦で撤退の補助をしていた牙の一族のミドや人馬族のティアノスも蚊帳の外であった。

「流石は妖精族の姫君だ。頭が良い」

「その通りだな。俺は何を言ってるのか、全然分からなかったぜ」

 ティアノスとミドが小声で意見を交わす。

「……さっぱり分からん」

 ラーシュカの呟きが、その場にいる者達の大半の感想であった。

 トントンとプエルが机を指先で叩く。その様子は、どうやったら出来の悪い教え子に話の内容を理解させることが出来るのかと思案している教師に似ている。

「……まぁ、内治の話は西都に戻った時に改めて議題として挙げようか」

「……王がそう言われるのなら」

 不満を口に出すことは無かったが、プエルの視線は内治と外政は表裏一体なのだと訴えかけている。小さく頷くに留めたゴブリンの王は、プエルに外の状況を説明させる。

「情報は4日前のものですので」

 そう前置きをしたプエルだったが、齎された情報はゴブリンの王が欲するほぼ全てを網羅していた。

 先ず、同盟相手であるクシャイン教徒達の動向。

「良くはありません。信仰という結束はあれども、このままでは何れ滅ぼされるでしょう」

 このまま無難に籠城戦を続ければ、保って四ヶ月。

「こちらは王の判断次第と思いますが」

 視線をゴブリンの王に向けるプエルは、ゴブリンの王の言葉を待って続きを話す。

「次は敵の情報です」

 赤の王は聖都クルディティアンをゲルミオン王国に任せると、辺境領域まで進出。撤退してきた交易国家プエナの軍勢と共に、熱砂の神(アシュナサン)の大砂漠第一の都市ファルバードへと入った。

 一旦戦の矛を収めた形になるが、今後はプエナの攻略に乗り出す腹積もりだと思われる。

「プエナは、女王に忠誠を捧げるアレン団長がどこまで粘れるかが鍵です。それ次第でプエナと赤の王の争いは長引きます」

 一端話を切り上げると、プエルは王へと視線を移す。ゲルミオン王国以東の国々の情勢も僅かに話したが、大勢に影響はしない。そこまで報告したプエルは話を締め括る。

「結論として、現状無理に戦う必要はありません。再起の為の兵を募りながら、態勢を整える時期かと思われます」

 プエルの状況判断に、ゴブリンの王は頷くだけで良かった。

 ここまでは大まかな戦略の確認である。

 次は具体的な戦術。つまりはどうやって兵を募り、態勢を整えるのかの段取りである。因みにここまでの話で、大半の者は疲労により船を漕いでいた。

「……一旦、休憩するか」

「御意のままに」

 ゴブリンの王の意向により、一旦の休憩を挟んだ後、会議は参加する人員を絞った上で再開される。参加するのはザウローシュ、ギ・ザー、ギ・ドー、ギ・ヂー、プエル、フェルビーである。

「ゴブリンの王。確認しますが、クシャイン教徒達は見捨てないのですね?」

「無論だ。信義なくして同盟は結べぬ」

「甘いな」

 ギ・ザーのいつもの諫言も、ゴブリンの王は苦笑をもって受け止める。

「分かりました。では、今の戦い方で最も足りないものは何だと思いますか?」

「数だな」

「はい。ですが、現状ゴブリンの数を引き上げるのは難しいと言わざるを得ません。それは貴方が最も良く知る所」

 雌の数は順調に増え続けてはいるが、それでも産む数には限りがある。そして一人前の兵士になるには更に年月が掛かるのだ。もたついていれば赤の王が南の地盤を固めてゲルミオン王国を飲み込み、更に力を増すだろう。

 そうなれば、如何にゴブリンの数を増やしたとしても勝利は難しい。

「では、どうするか? 三ヶ月です。三ヶ月で彼らに勝てるようになって頂きます」

 プエルが定めた三ヶ月という期間は、ゴブリン側から打って出てクシャイン教徒側を救うことの出来るギリギリの刻限である。

「兵数と経験が足りず、兵器は比べるべくもない。ですが、何よりこの軍に決定的に足りないものは、速度です」

「恐れながら、プエル殿にお尋ねします」

 声を上げたのはギ・ヂー・ユーブ。

「我らは人間達と比べて身体能力に優れていると、自負していますが」

「それは勿論。ですが、人間は馬を操ります。ギ・ヂー殿。貴方の軍で、砂馬の機動力に太刀打ち出来ますか?」

「……難しいかと思われます」

「ゴブリンの王。私は大規模な騎馬隊の創設を進言いたします」

「ハールー殿の騎獣兵達では駄目なのか?」

 ギ・ザーの発言に、プエルは厳しい視線を向ける。

「全くもって足りません。それに本来あの黒虎は森林地帯を根城とする魔獣の筈。平原で人間の操る騎馬を相手にするには些か苦しいかと」

 反論がそれ以上出ないのを確認して、プエルは王に向き直る。

「そして、それを直接率いて頂くのは王。貴方です」

 その発言に、ゴブリンの王は唸らざるを得なかった。確かにハールー率いる騎獣兵だけでは力不足なのは否めない。だが、果たしてゴブリンに騎乗が可能なのだろうか?

「……騎乗の訓練に三ヶ月ということか?」

「いいえ。騎乗の訓練は一ヶ月程の予定です」

 思わずゴブリンの王も瞠目する。無茶なと口に出しかけて、自身の置かれている立場の苦しさを思い出す。クシャイン教徒を救わねばならないと言ったのはゴブリンの王だが、それは決して信義だけの問題ではないのだ。

 人間全てと戦って勝利出来るとはゴブリンの王も考えていない。ならば敵を分断し、各個撃破せねばならないだろう。小さな敵を潰していくのと大きく一塊になった敵を倒すのとでは、その労力は自ずと違ってくる。

 その小さな敵ですら、現状ゴブリン達では精一杯なのだ。

「では、残りの二ヶ月は?」

「魔物は階級を上げることが出来ると聞きましたが」

「事実だ」

「……各部隊より、王直属の兵士を募ります。その上で、ある場所へ向かってもらいます」

 階級の上昇と、ある場所。プエルの意図を推し量るゴブリンの王は眉を上げる。

「まさか……」

魔窟(ダンジョン)を攻略して頂きます」

 確かに、ギ・ゴー・アマツキが通り抜けた魔窟がゴブリン達の支配地域に存在している。プエルはそれを事前に聞き出し、ある程度の目算をつけていたのだ。冒険者をしていたプエルならではの発想である。大規模な攻略部隊を魔窟に派遣し、効率良く経験を積む。人ではなく、ゴブリンでそれを成そうというのが彼女の考えだった。

 それは冒険者として人間の世界を経験した彼女が、完全にゴブリン側に付いたことを意味していた。

「だが、防衛の兵力はどうする?」

「西域はギ・ガー・ラークス殿が居れば問題ありません。南は私が抑えます。馬の調達はギ・ギー・オルド殿に」

「そして……ゴブリンの王。貴方は深淵の砦の深部へと向かって下さい」

 妙なことを言い出すプエルに、ゴブリンの王は首を傾げかけ、一つ思い当たって目を細める。

「あの女か」

「女神からの啓示です」

 双頭の蛇が守っていた城門の更に奥。冥府に繋がるとされる深淵に向かえと、冥府の女神(アルテーシア)がゴブリンの王を導いていた。

「待て。一時的とはいえ、王が不在になるのだろう? 戦の指揮はどうするのだ!?」

 ギ・ザーの発言に、プエルはゴブリンの王を見る。

「当然の疑問です。軍政改革を推し進めてください」

 サラリとそれだけ言って、プエルは次の話題に切り替える。

「騎乗出来る魔獣が生息している地域は、ギ・グー・ベルベナ殿の領土内にある筈。その位置が特定され次第、ギ・ギー殿には出発して頂きます」

 数が足りないのなら、兵士の精鋭化と機動力の差でそれを補うのがプエルの考えだった。

 実際問題として、ゴブリン達がこれからの戦いで人間を撃ち破るには何か一つ人間側を圧倒出来るものがなくてはならない。嘗てゴブリンの王が人間として暮らしていた世界でも、機動力で世界最大の帝国を築いた者達の実例がある。

 一人は小国から身を起こし、巨大な敵を撃ち破って、ただ只管に東へ向かった大王と呼ばれた青年。

 もう一人は小さな草原の部族から身を起こし、世界の半ばを手に入れた青い狼。

 敵よりも速く動き、遠くへと素早く移動し、攻撃力を集中することが出来る。これが実現出来れば、戦の主導権は自ずと此方が握ることになるだろう。

 ゴブリンの王が何度考えても、プエルの意見は正しいように思う。

 プエルの意見を是として、ゴブリンの王は会議を終了する。

 王の頭を悩ますのは、軍政改革の具体的な草案だった。こればかりは他の者に任せる訳にはいかない。斯くして、ゴブリンの王は三日三晩考え込むことになるのだった。



次回更新は、3月9日あたり。

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