春は遠く
北の小国オルフェンには、過ぎたるものが2つある。
“生きる伝説オーローン”と“象牙の塔”。
各国の特色を述べるなら、小国オルフェンと言われてまず思い浮かぶのがこの2つだった。
雪と氷に閉ざされた小国がどこからも侵攻を受けないでいるのは、偏にこの2つの要素が各国の利害に密接に絡んでくるからだ。
生きる伝説とまで謳われ、吟遊詩人の詩にも登場するオーローン。彼の逸話は幾つもあるが、最も有名なのが魔窟単独踏破である。世界で数少ない神代級の武器火炎王の瞳を持ち、小さな魔窟をたった一人で踏破してみせた偉業。
彼がいる限り、近隣に並ぶもの無き大国シュシュヌ教国といえども、オルフェンを侮ることは出来なかった。
そしてもう一つが知恵と探求の使徒達の住まう場所にして、知識の宝庫である象牙の塔。乳白色の巨大な塔は、如何なる摂理か完全な空調機能を備えており、各国から集まる優秀な若者を官僚として育てる教育機関でもあった。
これが、各国がこの小国に手を出せない所以である。
戦乱とは無縁の小国には、要人の留学生や学徒達を目当てに商業が発達していた。
そして象牙の塔も小国の安定は学術の探求の為に必要であると考え、知恵を貸し与えることが多々ある。象牙の塔内部では、白の塔、赤の塔、青の塔という3本の塔に準えた学府が開かれており、その協議によって貸し与えられる知恵の結晶の程度を決定している。
そして、その象牙の塔の最高意思決定機関が三塔会議である。
その会議に参加出来るのは各塔の長老と呼ばれる学府の長と、その下に連なる派閥の領袖達である。普段はそれこそ、各派閥の利害調整をする場である筈のその会議が、レシアの提案により荒れていた。一般の官僚となる者達にも公開されているその会議で、レシアは“人たる者の権利”の拡大を提言したのだ。
「馬鹿な事を言うな! 人たる者の権利を、亜人や妖精族に拡大するだと!?」
「馬鹿なことだとは考えません。人の力だけで繁栄を考える時代は、とうに過ぎ去ったと申し上げています。他種族と手を取り合い、共存と共栄を図るべきです」
額に青筋を浮かべてレシアの提案を否定するのは、赤の塔の学府の一人。
「共存共栄だと!? はっ、今でも彼らとは共存共栄しているだろう!」
「奴隷と主人としてではなく、友人として付き合っていくべきだと申し上げています」
烈火の如く激しい口調の赤の塔の学徒に対して、レシアの言葉は非常に静かだった。
「奴らのような野蛮な人種に、我らと同等の地位を与えるだと?」
「何を持って野蛮と仰るのでしょう? 歴史を振り返れば、騙し討ちを重ね、棲み家を奪い、彼らを辺境へと追いやった“野蛮な種族”は、私達人間ではないでしょうか?」
「神の祝福を持ってこの地を治め、戦の常道として奇襲を仕掛けたに過ぎん! 彼らの敗北は、彼ら自身の無能さが故だ!」
赤の塔の他の者達からも、レシアへの非難が集まる。その援護を受けて強気になったのか、赤の塔の学徒は致命的な言葉を吐いてしまう。
「ふん、ゴブリンに攫われ魔物に愛着でも湧いたのか? 聖女の名も堕ちたものだな!」
無表情を僅かに歪め、怒りに目を細めて口を開こうとしたレシアの耳に涼やかな鈴の音が聞こえる。白の塔の長老であるターニャ・フェドーランが発言するときの合図だった。
齢70を数える老女ながら、争い難い気品を備えた淑女。一見すればその通りだが、各国の官僚候補生達にすればこの女性の機嫌を損ねること程恐ろしいものはない。何せ彼女の言葉一つで、自らの将来の道が閉ざされる可能性すらあるのだ。
「言葉を慎みなさい。その発言は癒やしの女神の刻印と、三塔への挑戦と受け取りますよ?」
ざわり、と会議の全体が揺れる。
象牙の塔の最高権力者の一人である白の長老ターニャ・フェドーランの発言に、先程まで勢い良く捲し立てていた赤の塔の学徒は顔面を蒼白にして、陸揚げされた魚のように口を開閉させた。
「聖女を貶める発言は、象牙の塔の意思を貶めるものだな」
白の塔の長老に賛成の意を表明しているのは、美貌の青年だった。齢120を数えると噂される不老の魔術師。青の長老フロイド・ベルチェン。
「……だが、人たる者の権利拡大は如何なものか。性急に過ぎよう」
眉間に深い皺を寄せる老人が、自身の塔に所属する学徒を庇う。
国生みの祖神こそ神々の中で最も偉大であると主張する教会の総大主教にして、赤の長老セリオン・ハーロン。
今までの発言者が吠える犬だとすれば、それは巨象同士の会話だった。
各派閥の誰もが口を閉ざして静観を決め込む中、レシアは口を開く。
「性急ということはないでしょう。寧ろ遅すぎる程です。早く動かなければ、手遅れになります」
口を開いたレシアに呆然とした視線を浴びせるのは、先程まで彼女を非難していた学徒。赤の塔の学徒のみならず、会議の場にいたほぼ全員が固唾を呑んで彼女を見つめた。
「手遅れとは?」
赤の長老の鋭い眼力に、レシア以外の学徒が冷や汗をかく。
「追い詰められた者が結束すれば人は手痛い反撃を受けます。それからでは関係の修復は不可能でしょう。勢いを得た彼らは国々を飲み込み、人の繁栄は砂上の楼閣の如く消え失せます」
レシア自身はあくまでも涼やかに、赤の長老を見つめる。
訪れる静寂は、見守る誰にとっても胃の痛くなる時間だった。
「ふ、くく……くっはっはっは! いや、流石聖女と言われるだけはある! この並外れた度胸は、確かにターニャ殿の教え子だ!」
……三塔の長老達以外は。
青の長老が耐え切れずに吹き出すと、白の長老もくすりと笑う。赤の長老はその厳しい顔を歪めて苦笑した。
「おい、若造! 権力者の顔色を伺って国を想う提言が出来るのか!? これから官僚となり国を支える柱となるお前達には、先ずそこを見習ってもらわねばな!」
美貌の青年の言葉に、赤の塔の学徒は魂を抜かれたように力なく頷く。
見学していた官僚候補生達全てに向けられたその言葉は、この場にいる者なら理解出来ない筈のないものだった。
「聖女レシア・フェル・ジール。中々斬新な提案だが、やはり人たる者の権利の拡大は難しかろうよ」
青の長老の言葉にもレシアは平然と返す。
「何故でしょう? 交渉とは力のある内に行うべきだと思います」
「無論、その通り。だがな、血潮に変えし我らが権利を、彼らに拡大せよと言うのは大多数の者が納得すまい。権利獲得の歴史は知っていよう?」
赤の長老が青の長老に代わって口にする。
人間の領土拡大は、相応の犠牲の上に成り立っているのだ。長く生きる者程、他種族との戦で知人を失っている。そして、そういった者達が国の舵取りをしているのだ。
そして“人たる権利”を獲得する為に流した血の量は、相手が同じ人間だったことで更に多くの血を要求していた。
時に国王と対立し、時に貴族達と対立しながら、象牙の塔が中心となってその権利を認めさせたのだ。
その苦難を思えばこそ、人は権利を大切にしようとする。
それをいきなり亜人達に拡大せよなどというのは、納得出来る者の方が少ないのだ。
「それは……そうですが」
「一考の余地はあります。ですが今すぐにというのは無理でしょう」
白の長老の言葉に、レシアは頷く。彼女の最大の庇護者にして恩人の言葉となれば、彼女も引き下がるしかない。
「ふむ……。聖女よ、何をそんなに恐れる? 貴女は西で何を見たのかね?」
青の長老の言葉にレシアは一度瞼を伏せて考える。この胸の内を占めるのは恐怖ではないと彼女は思う。
ここで、かのゴブリンの王のことを言ってしまって良いのだろうか? 聖女ではなくレシアとして考え、彼女は答えを出した。
「……混沌の子鬼を始めとする魔物達は、本当に卑下すべき者達なのでしょうか? 私には分からなくなりました」
水を打ったように静まり返る会議の場。
亜人への権利拡大どころではない。今の今まで敵としてしか見ていなかった者達に対するその発言は、3人の長老をしてそれぞれに沈黙を落とさざるをえない程の問いかけだった。
それが王族や騎士や冒険者なら、一笑に付していただろう。
馬鹿なことを。奴らは敵だ。そう割り切ってしまえる。
経験と深い知識に裏打ちされた3人の長老の沈黙は重く、会議の場を支配する。
学徒達も、何を馬鹿なと思っていても彼らの尊敬をすべき長老達が重々しく沈黙を守っている中で発言する勇気はなかった。また発言しようとするような馬鹿な者もいなかった。
青の長老の溜息と共に、沈黙は破られる。
「長く生きてみるものだね……。まさか二十歳にもならぬ娘からそんな言葉を聞くとは。だが、否……だからこそ聖女なのか」
遠くを見つめる青の長老の瞳は、深い悲しみに満ちていた。
「老体に、長い会議は堪えますね。本日はここまでとしましょう」
白の長老の言葉により、その日の会議は閉会を告げた。
◆◇◆
ゴブリンの王の建国宣言から10日程が経っていたが、それは早くも近隣に伝わっていた。西都から脱出してきた者達の口伝えで、その話はどこまでも広がっていった。
西都を占領したゴブリンの軍勢は、流出する人間達を意図して王都方面へ逃していた。
「逃げたい者は逃がしてやれ。それも、なるべく丁寧にな」
ゴブリンの王の宣言通り、逃亡を図る者に出会った哨戒のゴブリンはその者に食料を与え、そのまま見逃すということまでやっていたのだ。
ただし、西都に侵入しようとする者に対しては徹底的にこれを排除し、捕縛した。
夜はギ・ジー・アルシルの暗殺部隊が、昼は翼ある者とパラドゥアの騎獣兵がそれぞれに哨戒を行い、その領域を徹底して守る。
別働隊として活躍したギ・ギー・オルドの魔獣軍を呼び寄せると、西都の東側に魔獣の解放区を設ける。その範囲は広く、王都へ続く道を除けばその殆どが解放区に入る。
元々森に住んでいたギ・ギーの使役する魔獣達は、平原に生きる魔獣と比べてその強さは段違いであった。人間に害の多い魔獣は優先して狩られる為、脅威度の低い魔獣しか生き残れなかったからだ。
そこに森の魔獣が一気に流れ込んだのだから、平原で生きる魔獣達はその区画を追われるか、強い魔獣の餌になるしかない。平原の生態系を破壊しながら解放区は設置され、ギ・ギーの魔獣軍は野生に帰るものも合わせて増加していった。
西都よりも更に西の辺境の村落については、その殆どがゴブリンの支配下にそのまま入っていた。それは妖精族の統治とシュメアの説得により、今までと変わらぬ暮らしを約束されていたからだ。
ゴブリン側の要求は年に収穫の3割を税として納めるだけだったので、寧ろゴーウェンの支配下にあるときよりも生活は楽になったと言っていい。
大小様々な村落はあったが、西方最大の都市である西都が陥落したことにより、一致団結して反乱を企てるような者達は存在しなかった。
西都に残った人間は凡そ700程。
以前の人口が一万人近かったことを考えれば、9割以上が逃げ出したのだから、ゴブリンに対する恐怖とゴーウェンの徹底した統治の様子が知れる。
残ったのは行く宛のない子供や動けぬ老人、そして奴隷だった。
「子供らが望むなら、戦士としての教育を受けさせよ。でなければ、土地を与えて食料を作らせろ」
王の方針に従って、先ずは彼らに食料を与え、シュメアとヨーシュの姉弟に子供達の世話を任せる。成人を15と定め、その時までに子供達に己の往く道を決めさせるように指示する。
「この歳で、こんなに沢山の子供ができるとは思わなかったよ」
苦笑交じりにぼやいたシュメアは、それでも子供達の世話を引き受けた。一方、ヨーシュには奴隷を任せる。戦力として活用出来ないかというゴブリンの王の発案に首を捻りながら、ヨーシュは試行錯誤を重ねていた。
引き続いて配下の者達に褒賞を与えることにした。森に近い平原の地域は亜人達に与えることにして、“八旗”の会議で結論を出させる。人間側に近い西都付近はゴブリン側が有することとなった。
ただし、ゴブリンの王の支配下に入った人間に手を出すことは禁じた。彼らは貴重な食料の生産を手伝ってくれる者達だ。農業の経験のある人間は、ゴブリンの王が喉から手が出る程欲しがっていた人材である。
それらの土地に、そのまま人間達が住むことを認め、逃げ出した者達の土地を接収する形で、亜人と妖精族に明け渡す。
一見するとゴブリン側のみが敵の脅威に接する土地を占領し褒賞に偏りがあると思われそうだが、王はその権威を持ってその不満を抑えた。
ゴブリンの王は、覇権を握る為には誰よりも血を流さねばならぬことを肌で感じていたし、数がそれ程多くない亜人達よりもゴブリン達を頼りにしていた為だ。
また、ギ・ゴーと共にゴブリンの王の戦線に加わったユースティア率いる雪鬼達にも、僅かだが土地が与えられた。
それはギ・ゴーが王に願い出た為だった。元々平原に住んでいたが蛮族と罵られ北部に追いやられた雪鬼達にとって、南の温暖な地域は憧れの対象だったのだ。
ギ・ゴー・アマツキの口添えがあったとはいえ、それを与えてくれたゴブリンの王に感謝せずにはいられなかった。
「感謝ヲ、ゴブリンの王」
ユースティアは、膝をついて剣を捧げるという雪鬼の最高の礼を以ってゴブリンの王に臣従を誓った。
森と平原の境にある温暖な地を与えられた彼らは、早速雪神の山脈へ向かい帰路につく。
◆◇◆
「ギ・バーよ!」
王は、この戦いで階級を上げた者に家名を与えることも忘れなかった。
「はっ!」
黒き1つ目蛇の加護を受けたギ・バーは自身の使う剣を地面に突き立て、膝をついて王の前に首を垂れる。人間に対する憎しみは決して癒えることはない。彼に恩賞として与えられた土地は、最も東部の人間の領域と接する境界線地域。
「ギ・バー・ハガルとする。憎しみは、解き放つその時が来るまで心にしまえ。出来るな? 我が臣よ」
「王の仰せとあらばっ!」
震える程に強く握り締めたギ・バーの拳がゴブリンの王の視界に入るが、王は何も言わなかった。次に招き入れられてきたのは、レア級に進化した者達だった。
命名の儀式は、手の空いているノーブル級以上のゴブリン総出で行われる。
ギ・ズー・ルオに率いられ、初めてゴブリンの王の率いる軍勢の中枢を覗き見たズー・ヴェトなどは、内心震え上がっていた。
彼の常識では、ギ・ズーが特別に強いのだと思っていた。だが、このゴブリンの軍勢は寧ろギ・ズーが霞んでしまう程の強者に満ちている。
改めて自分が井の中の蛙だったのだと思わざるをえない。以前、オヤジと慕うギ・ズーが王に会えばその偉大さが分かると言ったが、まさにその通りだった。
その巨躯から滲み出る威は、まさに王者の風格がある。歴戦の勇士を思わせる装備品の数々。大剣を手にしている様子などは、ゴブリンという枠を超えた神々しい何かにすら思えてしまう。
オーガすら叩き殺すと言われても不思議と納得してしまう貫禄が、王から滲み出ていた。更に、王の横に侍るゴブリン達も尋常ではない。
「オヤジ、あれは誰です?」
「ギ・ガー・ラークス殿。俺の最も尊敬する戦士だ」
得意気に胸を張るギ・ズー。その気持ちが分かるとばかりに、ヴェトは頷く。
体に受けた傷は数知れず。だがそれが弱々しい印象を与えるのではなく、歴戦の勲章としか思えない程に誇りに満ちている。片足と片腕を失っているにも関わらず、微塵も弱者という印象を抱かせないのはヴェトの勘違いではあるまい。
もし戦ったとしても、恐らく10戦して10敗するだろうとヴェトは感じた。
「あの、でかいのは……?」
「氏族のラーシュカ殿だ」
言葉少なく口を閉じたギ・ズーに頓着せず、ズー・ヴェトはラーシュカを観察する。王を上回る巨躯を誇り、長く強靭な尻尾と黒に近い灰色を帯びた肌の色。天に反逆するような一本角と、恐ろし気に口元から覗く犬歯。
盛り上がった筋肉は、まるでこの世の全てを握り潰してしまいそうな力強さがある。手にした棍棒で肩を叩く様子は、まるで獄卒。隙を見せれば叩き殺されそうだ。隻眼で睨みつけられ、頭から棍棒を叩きつけられる自分を想像して、ヴェトは身を震わせる。
あれは、笑いながら死者を無限地獄に叩き落す冥府の悪鬼に違いない。何の間違いでこんなところに居やがるんだとヴェトは思った。
「オヤジ、あの方は?」
「ギ・ゴー・アマツキ殿、恐らくゴブリンで最も剣の腕が確かな方だ」
元々目付きの鋭いゴブリンの中でも、そのゴブリンの眼力は一層凶悪だった。鋭い剣という表現が相応しい鋭利な目付き。灰色に近い肌の色に、ゴブリンにすれば一見すると細い体。しかし、よくよく見てみれば引き締まった筋肉なのだと分かる、その体つき。
無駄を徹底して削ぎ落した、まさしく一本の剣を連想させる身体だった。触れたら切れてしまいそうな雰囲気を持つゴブリンに、ヴェトは怖気を震う。
ヴェトが見ているのを察知したのか、一度だけ目が合うが、その時背筋に走った悪寒をヴェトは生涯忘れないだろう。一瞬、斬られると思ってしまい反射的に一歩下がる。
明らかに間合いでないにも関わらず、そう思わせるだけの実力差がギ・ゴーとヴェトの間にはあった。
思わず目を伏せる。
一瞬のことだったが、全身の冷や汗が止まらなかった。
ラーシュカも化物だと感じたが、ギ・ゴーもまた別種の化物だとヴェトは思う。ヴェトに興味をなくしたのか、心を落ち着けてギ・ゴーを見た時には既に彼は名前を与えられたゴブリンを見ていた。
「オヤジ……田舎に帰らせてもらってもいいですか?」
青くなるヴェトに、ギ・ズーは笑ってその分厚い胸を拳の裏で叩く。
「勘違いするな。誰も彼も、最初から強かったわけじゃあない。死線を潜り、強敵を倒して、あの方々はあの強さにまでなったのだ」
ヴェトはどこか誇らしげに語るギ・ズーと、王を除いた3匹のゴブリンを見比べる。
「俺達は強くなってあの方々に追いつく。いつか必ずな。そうだろう、ヴェト?」
「……やっぱり、オヤジに会えて良かった。俺ァ、オヤジに生涯付いていきますぜ」
笑ったギ・ズーと共に、ヴェトは再び命名の儀式に視線を向けた。
次回更新は10月6日予定です。
土日に仕事が入るというふぁっきゅんな状態。