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狼浪奇譚  作者: ただ
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一夜明けて/ サクラ・ヒメ

風のざわめきが聞こえる。

辺り一帯を包み込む風の音は、否が応にも独りである事を意識させる。周囲は薄闇が広がり、形あるものが何一つとして存在してない完全なる伽藍堂。無性に、自分の中身が空っぽだと言われている様で心苦しかった。それでも、独りである事が、何も感じなくてすむ事が、今は心地よく感じる。


兄貴に憧れた、親友を見捨てた、ヒーローには成れない事が解った。

息苦しさから逃れる為に力を求めた。本当、これまで俺は何をして来たんだろう。けど、どうでもいいか。俺の全てを薄闇は包んでくれる。痛さも、辛さも、怖さも。全て無くしてくれる。あるのは只安寧だけだ。


だから、もう眼を瞑ろう。

そうすれば全部終わる。楽になれる。もう、疲れた。ゆっくり、やすもう。


「ワン」

けど、何でだろう、

「グルル」

そこまで解っているのに、

「バウ」


俺は立とうとしている。

誰の為に、何の為に。それは、憧れの為か、親友の為か、自分の為か、判らない。けど、天上には薄闇を照らす白銀の光。白いそれは、手を伸ばせば届く様な気がした。


「ウォン!!!」


だったら、手を伸ばさなきゃ、あいつが呼んでいるから。

薄闇を切り裂く様に一筋の光が走る。まるで導かれる様に光に向かって飛び込む。後には微笑む親友が居たような気がした。



ゆっくりと引き上げられる様に意識が浮上する。

微睡みで寝ぼける頭は全く機能していない。何時寝たのか、どこで寝たのかすら覚えが無い現状は、ぽんこつと言っても過言ではないだろう。


仕方なしと、何時も通り循気を行った。

気が一瞬にして全身を巡り脳が瞬時に覚醒する。強制的に叩き起こした脳は今俺がすべき事を正確に弾き出していた。ぶわっと冷や汗が流れ、がばりと跳ね起きる。身体に鈍痛が響くが気にしてる場合では無い。


「ヒメ!!」


立ち上がり周囲を睨む。

夕焼けが照らす丘は平和そのもの。戦闘痕さえ無ければ昨夜あった事など嘘の様だ。だが、そこにヒメの姿は無い。また、俺だけが助かったのか。また、俺は裏切ったのか。


「ヒメ!」


叫び、丘を見渡す。

当然だがヒメの姿は見当たらない。けど、それでも叫ぶ事を止めれなかった。


「ヒメ」

「ヒメ」

「ヒメ」


呆然と、うわごとの様にヒメの名を繰り返す。

身体が痛むがそんなのは全く気にならない。ただ、後悔だけが胸を埋め尽くしていた。俺が強かったら失う事は無かった。あいつを守る事が出来たんだ。


地平線には沈もうとする太陽が見える。

今日も綺麗な夕焼け空だ。なのに、何でヒメが居ないんだよ。


どこを歩いたかは判らない。

気付いたら洞穴の前に立っていた。何時だって俺とヒメは此処に居た。喧嘩して離れた時も結局ここで仲直りをした。


そう、ここは俺達の家だった。

だけど、眼前の空間はどうしようもなく空っぽだ。食事する時に使う焚火セットも、貯蔵してある岩塩も、鞣した毛皮も全部ある。けど、その空間に確かにあった温もりは消えていた。勝手に眼から涙が零れる。拭っても拭っても、涙は止まらなかった。本当、何て無様だろう。


「あぁぁあああ」


嗚咽が喉から零れ、後から後からヒメとの記憶が脳裏をよぎる。

ヒメは親友だった。大切な相棒だった。だけど、俺はもうあいつとは会えない。俺は守れなかったんだ。


瞬間、背筋に寒気が奔る。

身体に染みついた危機回避能力は,無粋なまでに意志さえ介さず回避運動を行使していた。眼前を銀の弾丸が走り抜け対象を視界に収める。その瞬間、意識が真っ白になった。


目の前には銀髪の少女。

あいつとは似ても似つかないのに何故俺はあいつの事を思い出したのか。空になった思考は腰に差してある鎧通しを抜くのすら忘れ、間抜けにもぽつりと一言零すことしか出来なかった。


「ヒメ」


それは、何時かの焼き直し。

あいつと出会った時と同じだった。夕焼けのオレンジが世界を照らし、眼前の少女は銀の髪を翻すと金色の瞳で相対する。少女は睨み、口を開いた。


「この、バカ者が!!」


………うん?

え、と。俺、罵倒された。少女の言葉が何故判るのかは今はいい。ただ、見ず知らずの少女にいきなり馬鹿呼ばわりされるのは全く以て理解出来ない。だが、こちらが言葉を発する前に少女はマシンガンの如く言葉を連射してきた。


「何を勝手に居なくなっておるのじゃ!よりによって人が用を足しておる時に眼を覚ましよって、儂に喧嘩を売っておるのか!」


「いや、あのさ」


「五月蠅い!だいたいお主は人の気を知らんと、何をふらふらしとるのじゃ。戻った時にお主が消えておった時の儂の気持ちが判るか!このバカ者が!!」


「あ、ごめん」


「謝ってすむなら官憲はいらんわ!そもそも何じゃその気の入っていない謝罪は、このバカ者が!!」


「はい」


いや、どうしようこの状態。

少女は尚も言いつのり、この短時間で馬鹿という言葉は既に二桁に届こうとしている。しかし、それでも少女は言葉を止めない。随分と鬱憤が溜まっていたようだった。


というか。

正直まさかという言葉がずっと頭を回っている。姿形は全く違うし、俺はあいつと言葉を交わした事は無い。けど、似ている気がする。はっきりと喜怒哀楽の感情を出す所とか、その雰囲気とか。はっきりとした確証は無い。


だが、不思議と俺は少女があいつという事を確信していた。

未だ文句を言っている少女に近付き、そのまま抱きしめる。その小さな体は確かな温もりを伝えてくれる。ここに居るという確かな存在感が堪らなく胸を満たした。


馬鹿、馬鹿、言いやがって、こっちだって言いたい事が一杯あるんだ。

でも、俺の口からはたった一言しか出なかった。


「ヒメ、良かった」



で、とりあえず座って話す事になった。

焚火を囲み、対面には少女姿のヒメが座っている。ヒメの外見は十歳前後の姿で少女というよりはもはや幼女に近い。ここでうっかり何かしてしまうと、ロリコンの汚名に加え犯罪者の烙印が押されてしまうのは間違いないだろう。あな、おそろしや。因みにさっきのはノーカン。ノーカンである。


ともかく、ヒメの頭には犬耳が生え、どうやら尻尾まである様子。

その姿を見ると、本当に遠くまで来たもんだとしみじみしてしまう。しかも、何故か銀色のワンピースっぽいの着てるしな。もはや、どこから突っ込めばいいのか判らない位突っ込み所満載だが、今の俺はそれ処では無い。気にする余裕も無い。


何故って、そりゃあ俺が羞恥に悶えているからですよ。

ホント、ちょっと待って、さっきまで俺何してた。起きたと思ったらヒメヒメ叫んで、ふらついて泣き喚いて、しまいには抱きしめるって、俺、どんだけ恥ずかしい事してんの!


ちょ、まじで、恥ずい。

仮にこれが記録されてたら、俺恥ずかしさで死ぬ。ていうか、その瞬間飛ぶ。リセットボタン、リセットボタンはどこにあんの。畜生、俺があのタイミングで起きなかったら、絶対こんな恥ずかしい事はしなかった。むしろ、ヒメが恥ずかしい感じになってた筈。もう、ヒメが人型になれるとかどうでもいい。ただ、恥ずかしい。


「しかし、お主もよく儂だと判ったの。儂が人の姿になれるとは言ってなかったじゃろう」

「ん、ああ」


不意にヒメが口を開く。

正直、今は何を話せば良いのか判らなかったので助かった。


「やはり儂の美貌オーラで判ったのか?儂もお主が従者としての心構えを持っておって嬉しいぞ」


「いや、美貌云々はともかくとして、単純に俺の知り合いはヒメとシルフィーアさんの二人しか居ないからな。そりゃあ、判るだろ」


言って、俺の交友関係の少なさに凹む。

というか、二人ってなんだよ。二人って。まじで少ないってレベルじゃねえぞ。しかも、ヒメの言葉によく判らん単語も入ってるし。従者て何やねん。


「……ほう。お主が儂と判断したのがそれだけとはのう。これは主人として躾ねばなるまい。なによりも、あの性悪女をさん付けとは、どういう了見じゃ」


「ん、殺されそうになったとはいえ、年上っぽい人にはある程度敬語使うだろう。それより、主人て何さ」


「バカ者。それは儂に決まっておろう。儂が主人でお主が従者じゃ。あの性悪女に敬語を使う前に先ず儂に使え。このバカ者」


「ごめん、ヒメ。どっかで頭打ったか。俺はヒメの付き人になった覚えは全く無いぞ」


「これだからお主はバカ者なのじゃ。そもそも、何でお主は儂の言葉が判る。いっとくが、儂はお主の言葉を喋っては居ないぞ」


確かにそうだ。

余りにもヒメが当然の様に喋るし、何だかんだ言って、シルフィーアさんとも喋れていたから気にもしなかった。というか、今更だがヒメが居るっていう衝撃がデカすぎて些細な事と認識していた。


「えっと、シルフィーアさんが使ってた魔法を使ってるんじゃないの」


「違う。そもそも “意志疎通”( チャット ) は高等魔術じゃ、今の儂では使えん。ならば、後は【主従契約】しかないじゃろう」


「いや、ないじゃろうと言われても」


判らないと続けようとして、突然知りもしない情報が脳裏に走った。


【主従契約】

二人以上の当事者同士で行われる儀式魔術。従者となった者に、主人の知識を限定的に分け与える事が出来る他、主従の魔力を共有することも可能になる魔術。簡単に知識、魔力を共有出来る利点はあるが、解呪が難しい事と、契約中、主人が死亡すれば従者も死亡するというデメリット、また主従契約を結ぶ為には双方の相性が必要な為に、現在使われる事は極めて少ない。


「ふむ、見事に知識を得たようじゃの。これからも判らん事は自問自答せよ。答えれるモノは勝手にお主の脳が教えてくれるからの」


ヒメはこうなる事が判っていたのだろう、ムカつく程に得意顔だ。

どや、と言わんばかりである。しかし、流石ファンタジー。おそろしい技術だ。けど、地球にも核爆弾とかインターネットとか宇宙船とかあるから、どっこいかなあ。


まあ、これで俺の懸念は一気に無くなったぜ。やったね。って、んな訳ねえーー!!


え、何。何時から俺とヒメは一心同体(一方的)になったの。

さらっと流れたけど、主人が死亡すれば従者も死亡するって、かなりやばくない。俺、不死身の肉体貰ってないんですけど!!鏡無い、鏡。額に無って書いてないかな。


「ん、どうした。何か問題でもあるか?」


問題しか無いんですけどーー!!


「いや、滅茶苦茶あるからね。何時契約しちゃったの」

「そりゃ、お主が寝てる時じゃ」

「え、片方寝てても、というか同意無くて出来るの」


また、脳裏にざわめき。

主従契約は魔力の波長(相性)が合い、相手に拒絶する意思が無ければ執行する事は可能である。


「うわ、マジか。ていうか、この魔法は禁じるべきだろ。悪用ばりばり出来んじゃん。ていうか、完了形でされてる!!」


「安心せい。魔力の波長はそう簡単には合わん。例え肉親であろうと波長が合う事は先ず無いわ。仮に何の訓練も無しに合うとしたら、それこそ砂漠で砂金を探すような確率じゃ」


「いや、だったら尚更おかしいだろ。俺とヒメってそれこそ運命の相手っていうのか。馬鹿らしい」


「運命を馬鹿にするなバカ者。だいだい、儂とお主は訓練しておったろうに。ほら、あれじゃ。あの跳躍鳥を捕える為に色々した時じゃ。特にお主は魔力の扱い方はともかく流し方は上手いからの。それを踏まえてあれだけ一緒に寝食を共にすれば多少は合うわ」


ああ。確かにロケッ鳥捕獲作戦の時に人狼一体の境地とか言ってヒメにメッチャ合わせようとしたし、ヒメに「観応」使いまくってたわ。けど、納得出来ねえーー!


「まあ、儂と【主従契約】出来る事は名誉と思ってよいぞ」


えへんと、無い胸を張り満面の笑みで語るヒメを見て、脱力した。

もう、怒る気にもならない。この傍若無人さ、本当ヒメらしいと心底思う。実際今まで狼の姿で、突然人になり言葉を話している事に、正直違和感はあった。けど、やはりヒメはヒメなのだと納得した。


この感じ、正しく俺が命を懸けた親友である。

思ったら、もはや笑いしか出てこない。何はともあれ俺は失わなかったのだと、此処に来て、漸く安心できた。


「む、何故笑うのじゃ。ここは、泣いて感激すべきであろう」

「はは、そうだな」


親友の為に命を懸けるのは当たり前。

それがただ主従の形になっただけだ。英語が苦手な俺が異世界語を理解した利点や、異世界の常識が判るだけで十分にお釣りがくるだろう。だったら、別に問題は無い。無い筈だ。


まあ、半年近く一緒にいたしなあ。

むしろ、今更か?ともかく、折角だしそれらしい事をしてみるのも良いかもしれない。


立ち上がりヒメの前に移動すると正座する。

訝しむヒメの顔を見ながら、腰に差してある鎧通しを鞘ごと抜くと両手で持ち直した。ヒメと俺の間に刀を持っていき、右手は柄に左手は鎬辺りを持ち少しだけ刀を抜く。


そのまま、ヒメの眼を真っ直ぐと見て言った。


「私、五澄草麻の剣と拳に懸け、貴女を護る事を此処に誓います」


金打。

キンと鞘に戻した鎧通しが音を立てる。それは誓い。絶対に違えぬという約束だった。


「許す」


ヒメは微笑むと一言だけ、言葉を口にした。

やべ、恥ずかしい。慌てて若干赤面した顔を隠す様に元の位置に座り直す。焚火の明りでばれないとは思うが、それでもなあ。やっぱ、慣れない事はするべきじゃねいね。伺う様にヒメを見ると、ヒメは腕を組み明後日の方角を向いていた。


「だいたい、名乗りが遅いのじゃ。先にあの性悪女の方がお主の名前を呼んでおった時は、本気で殺意が湧いたわ」


「あ、そういえばそうだな。わるい。何かヒメが当たり前に話してくるから、忘れてたわ」


「ふん、まあよい。ところで、お主の故郷ではどっちが家名なのじゃ」


「五澄が家名で草麻が名前だな。というか、本当に申し訳ないんだけど、ヒメの名前改めて教えてくれないか?やっぱ、わるいしさ」


今更だが、ヒメにも本名は有る筈だ。

それならば、俺が決めた名前よりも、本名で呼んだほうがいいに決まっている。


「成る程。草麻の故郷では反対なのじゃな。ふむ。これを知ったらあの性悪女も悔しがるじゃろう」


くくと、ヒメはよく判らない笑いを零す。

が、俺の質問をさらっと流したな。


「あのさ、ヒメの本名教えてくれない。流石に名前も知らないのは、なあ」

「う、む」


どうにも、ヒメは歯切れが悪い。

名前の一つでここまで答えに窮するのは、訳ありと見て間違いないだろう。だったら、別にいいか。


「まあ、ヒメがヒメの呼び名のままで良いんだったら、俺は別にいいけどね」

「いいのか?」

「それは多分俺のセリフだよ。何にせよこれからもよろしく、ヒメ」

「ま、仕方ないのう。よろしくじゃ、草麻」


視線だけで握手を交わす。

アイコンタクトってマジ便利だ。というか、言葉が通じなくて半年近く一緒に過ごせば、誰でも出来るか。


「ところで、草麻」

「ん、どうした?」

「儂の家名も決めてみんか」

「なんで?」

「やはりこれから人の世で生活する以上、家名が無いのは都合が悪いからの。じゃったら、儂の名づけ親であるお主が決めるのが筋じゃろう?」

「いや、別に気にする必要はないと思うけど。ヒメの好きに決めればいいんじゃね」


本当になあ。

わざわざ好き好んで俺に頼む必要はないだろうに。律儀というか何というか。だいたい俺にネーミングセンスは無いっつうの。ヒメも「姫」から取った位だしなあ。うん、俺センスねえ。


「バカ者。儂が決めて良いと言っておるんじゃから、お主が決めい」

「マジでか?いや、別にいいけどさ。変でも怒るんじゃねえぞ」

「ふん、儂を納得させてみよ」

「何で上から目線やねん」


しかし、名字ねえ。

ヒメと言う単語に合わせ、尚且つ語感が良くないと駄目だろう。簡単に言ってくれるが普通に難問だ。うーむ、佐藤、鈴木、田中、後藤、日本に多い名字が一杯出て来るが、どれもヒメには合わない気がする。というか、ヒメって二文字だけだと、姫を連想するからどうにも難しい。


「草麻。そこまで悩むんなら、別に今度でよいぞ」

「ああ、ちょっと待って。もう少しで出来そう」


嘘です。

全く良案は出てきません!くっ、こっちに来てはや半年。日本語の連想力が落ちた気がする。普段から使ってないとマジで落ちるんだよ!!ひめ、姫、ヒメ。駄目だ、世界一有名な配管工の姫しか出て来ない。桃ヒメは流石に不味いだろ。桃、ピンク。………あ。


そういえばと、こっちに飛ばされた切っ掛けが思い浮かんだ。

それはマイポジに植えてあった木の名前。というか、あれがあったからこそあそこは俺のマイポジになったのだ。ふむ、語感も良いし、意味を聞かれても悪い気はせんだろう。よし、これに決定。


「サクラ・ヒメ。でどうだ」


漢字にすると、桜姫。

単純だけどそうわるくは無い名前だと思う。ヒメは何回かサクラ、サクラと口ずさむと、にっこりと笑った。


「サクラ・ヒメじゃ。改めてよろしくのう、五澄草麻」


正しく、花咲く様な笑みだった。




そのヒメの表情を見て、俺は密かに一心地付いた。

ホントよかった。何も起きなくて。以前名前を決めた時は死にかけたからな、流石にあれはもう二度と御免である。あの時は本気で焦ったからなあ。マジで殺される五秒前、もう二度と性別確認しねえと思ったね。と、不意に思う。あの時、俺、ヒメに何した。


「どうしたんじゃ?草麻」

「いや、ヒメって名前を決めた時を思い出して」


あ、やべ。

俺、迂闊すぎ。


「ヒメ、どうかし……」

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