第3話 鏡もちさんからのご相談〜ひっつき虫症候群 後半その1
「ファスティングとは、一定期間、固形物を摂取しないことで胃腸を休ませ、体のリセットやデトックスに繋げ、腸内環境の改善を図る健康法じゃ。
完全な断食とは異なり、水分はしっかり取ることが重要だな。美容やダイエットの目的で、最近試している人が増えておるようだぞ。」
「そうね!最近、私の周りでもよく聞くようになってきたわ。」
「さらに、それに関連してオートファジーという細胞再生の考え方も話題だな。
老化防止などの効果があると言われている。」
「何を隠そう、このファスティングの考え方を、ひっつき虫症候群の改善に使えば良いのだ。」
「びっくり、華ちゃんファスティングとかに興味あるとは思わなかったわ。」
「興味などないぞ。やりたいとも思わん。」
「ええっ、興味無いんすかあ、、、。」
「ああ、そんなことしたら腹が減ってしまうわ。
なんかめんどくさそうだしな。
それに、飯は食える時には食っておかねば、いつ食べられなくなるかわからんからな。」
「いつの時代の話ですかぁ、、、。」
「いつの時代でも変わらん。
特に日本のような自然災害が頻発する国では尚更じゃ。」
「だがな、考え方は理解出来る。
わしはファスティングに反対している訳では無い。
過ぎたるは及ばざるが如しというように、何事も過剰はいかん。
当然、体が必要とする以上に食べ過ぎてはいかん。
何事も、足るを知ることが肝要じゃ。
わしは、鏡もちさんの話を聞いていてピンと来たんじゃ。
ファスティング、うむ、これはひっつき虫症候群の改善に使えるとな。」
「男女交際において、ときには適切な距離感が必要なことは明白。しかし同棲していてはそれも難しい。
若くイケイケの行ったっきりの二人なら尚更じゃ。
そこで、このファスティングだ。
あえて、ひっつくことを一定期間停止する。
つまりは、ボディタッチ、、愛のファスティング。
ひっつき過ぎて疲れた2人の心と体を、一休みさせるのだ。」
「ええっ、一緒に住んでいてそんなの寂しすぎるわ。」
「永遠に停止する訳では無いぞ。
まあ、最低でも1週間位は必要だろう。」
「では、何故そんなことをする必要があるのか。
それは、ひっつき虫症候群には大きな危険が潜んでいるからだ。
あまりに毎日ひっつき過ぎたカップルは、もはや一心同体と化している。
まあ、そんなのは幻想に過ぎないがな。
さらには、自分と相手との境界線すら、もはやあやふやになっている場合もある。
そうなるとどうなるか、相手の体や感情を自分でコントロール出来ると錯覚してしまうのだ。
恋人といえ所詮は他人、そんなことができるはずはない。
しかし、別の人格の個人として、相手の気持ちを尊重する意識も薄れ、自由を制限し、奪い、ついには支配し始めるのだ。
これでは、もはや愛の暴走機関車。
脱線するまで、どうにも止まらないのだ。
そうなってからでは遅いのじゃ。
鏡もちさんとたまちゃんには、幸せな未来を築いて欲しいのだ。
そこで、お姉さんからの提案じゃ。
それが、この愛のファスティング療法!
ファスティングで、自らと相手の存在価値を再定義する。
つまりは愛のリセット。
そして、ひっつき過ぎておかしくなったお互いの感情もデトックスするのだ。」




