第1話 たこ美さんからのご相談〜クリぼっち 後半
「たこ美さんの話を聞いて、わしはピンと来たんじゃ。
たこ美さんがクリスマスイブに、何故お父さんから貰った黒光りする程使い込んだたこ焼き器で、わざわざタコ焼きを作りたいのかがな。」
「無性にタコ焼き食べたかっただけじゃないっすか。
たこ美さん、たこ焼きマジ好きっすね。」
「はい、そこのリスナーさんお静かに。
たこ美さん、こういう夢も希望も無い男に引っ掛ってはいけませんよ。」
「たこ美さんの家では、きっとクリスマスイブには家族でたこ焼パーティーをしていたんだろう。
ただ、たこ美さん、今年は離ればなれで参加出来ない。
そこで、健気にも、お父さんからのプレゼントのたこ焼き器でお手製のたこ焼を作ろうと。
そして、お父さんにたこ焼の写メを送るのだろう。
たこ美、今年もお父さんのたこ焼器でたこ焼作ったよ。
メリークリスマス!大好き、お父さん、とな。」
「クリスマスの本来の姿、それは家族で静かに過ごすこと。
しかし日本では、まるで恋人達がいちゃいちゃ仲良くしたり、高級なディナーを食べたり、高価なプレゼントを交わす日かのように洗脳されてきた。
そうしてくれないのは、愛が無いと。
長年に渡るコマーシャリズムの成果としてな。
つまり、たこ美さんのクリスマス、あの思い出の日のたこ焼を、、という気持ちは、そうした商業主義や営利主義に毒されていない、純粋な彼女の想いなのじゃ。
勝ち組という言葉は好きではないが、たこ美さん、あなたは勝ったのだ。
コマーシャリズムで人々を惑わす、あの強大な組織からな。」
「びっくり、お父さんのたこ焼器にそんな深い意味が隠されていたなんて。」
「それに、夏ちゃんもよく聞くじゃろう。クリスマス近くになるとあちこちで流れる外国の歌姫の歌を。」
「クリスマスに欲しいのはあなただけよ、って曲ね。
私大好き!」
「あれが、この時期、ショッピングモールやデパートとかで流れるじゃろう。
何か変だと思わんか?」
「確かに、あなたがいれば何もいらないって歌ってる前で、バカ高いプレゼントをおねだりして買って貰ったりしてる。」
「そう、海外のクリスマスでは、過度なプレゼントはあまり見られない。あくまでも分相応じゃ。
しかし、ここ日本では、金と欲が渦巻く一大消費イベントになってしまったのだ。
あの曲の大事なメッセージは届かず、恋人達のゴージャスなクリスマスを盛り上げるのに使われている。
まあ、英語だし、よく意味が分からない人もいるじゃろうけどな。」
「そう言われてみれば変な感じ。」
「たこ美さんの年代、普通の大学生はそう金など無い。
しかし、彼女がいる男子大学生は、時給1000円ちょいのアルバイトで100時間以上働き、クリスマスの金を作らねばならない。学業を疎かにしてな。
これが、日本のクリスマスの真実。
コマーシャリズムによって、国民を間違った方向に導いているのだ。
そして、この問題を指摘する者は誰もいない。
大スポンサーが喜ばないことを言うバカはいないからな。」
「だから、たこ美さん、あなたは間違っていない。
スーパーに胸を張って行き、美味しいタコを買ってくるのだ。
クリスマスソングは、真実の愛を伝えている。
何も恐れることはない、真実の愛を知るたこ美さんへの応援歌なのだ。
たこ美さん、あの歌姫の歌のように、クリスマスに欲しいのはあなただけ、他には何もいらないと信じていれば、いつか素敵な人が現れる。
ただ、それが今ではないだけじゃ。」
「私も、たこ美さん、真実の愛がきっと待っている気がしてきたわ。」
「じゃろう、だから今日は悩むことなく、タコを買ってくるのだ。
そして、お父さんのたこ焼器で、美味しいたこ焼をいっぱい作り食べまくるのだ。
その先に、幸せがきっと待っているのじゃ。」
「はい!たこ美さん、お悩みは解決しましたか?
私も華ちゃんもたこ美さんを応援してますよ。
それじゃあ、お便りありがとう。
華子と夏子のお悩み相談室でした。
ハッピーたこ焼、ハッピーメリークリスマス!」
「お疲れさまです。」
「いやあ、初回とはいえ、なかなか難しい相談じゃったな。」
「たこ美さん、参考になっていたらいいけど。」
「まあ、たこ焼好きならきっと大丈夫じゃ。
よし、駅前のたこ焼屋で一杯やって帰るか。」
「やったぁ、たこ焼クリスマスパーティーっすね。」
「お前、イカ焼きが好きなんじゃなかったか?」
「いや、マジ、たこ焼、、大好きっす。」
「華ちゃん、その後ちょっとだけカラオケ行かない。
あの歌姫のクリスマスソング、一緒に歌おうよ!
話してたら歌いたくなっちゃって。」
「夏ちゃん、あんたも好きね!
じゃあ、あれも、〜ダンシング、、ってやつ。」
「いいわよ!そんな気分ね。」




