018 不死王討伐、そして額の紋章
規格外の強さでデスナイトたちを蹂躙して死体の山を築き、高笑いするセーラ。聖女とはほど遠い彼女にため息をつく。
そのとき、教会から派遣された大神官が、不死王ドラキュラを一方的に殴りつけているセーラへと近づいていた。
彼女は泣きながら許しを請うドラキュラに「謝るくらいなら攻め込むな」と平手打ちをしながら笑みを浮かべている。
その姿を眺め、「どっちが魔王か分からんな……」と素直な感想を漏らし、背後から近づく気配があることを知らせようとした。
だが直前、大神官は鞄から古びた本のような魔道具を取り出し、セーラにかざした。
眩い光がセーラへ放たれる。しかし、彼女は瞬時に高濃度の魔力を身にまとい、それを弾き返した。
セーラの規格外の魔力の前では、無意味だった。
それでも任務を果たそうとする大神官は、残るすべての魔力を注ぎ込み、再び魔道具を発動しようとした。
瞬間、ドラキュラが蝙蝠に変身して逃走を図ると、彼女の意識がドラキュラへ向く。その隙を見逃さず、大神官は魔道具を発動させ光を放った。
油断していた彼女は、その光をまともに浴びてしまう。だが異常は見えず、平然としていた。
一方、魔力を使い果たした大神官は意識を失い倒れる。
セーラは彼に一瞥をくれると、蝙蝠を掴んだ右手を天に突き上げた。
漆黒の稲妻が彼女の手に落ちる。それはセーラ本人にはダメージを与えず、蝙蝠だけを焼き尽くした。
――魔王の一柱であるドラキュラは討伐された。
セーラは魔王の魔核をマジックバッグに放り込むと、魔力枯渇で倒れている大神官を足で払うように退かし、こちらへ歩み寄る。
「これで約束は果たしました。次は私のお願いを聞いてください」
顔を近づけ、要求する。ただ、その額には見覚えのない紋章が、浮かび上がっていた。
「おい、セーラ。お前、本当に大丈夫なのか?」
「……何を言ってるんですか、アイオス殿下? 見ての通り元気ですよ、魔力はあまり残っていませんが」
彼女の様子を見る限り、今のところ異常はない。安心しつつ剣を抜き、鏡代わりに彼女の額を映す。
「……なんですか、この変な模様は」
「さっき、魔道具の光を浴びたときに現れたみたいだ。何も感じなかったのか?」
「……はい。とくに異常は感じませんでした。てっきり、彼の魔力が足りなくて、不完全に発動したと思っていました。でも、ちゃんと発動してたんですね」
額の紋章を見つめながらセーラは、魔道具によるものだと推測し、清浄魔法を発動した。
彼女が額に手を当てると指の隙間から淡い青い光が漏れ、消えていく。
清浄が完了し、セーラは再び俺の剣を覗き込んだ。だが、紋章は消えることなく、くっきりと浮かび上がっていた。
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