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小話01)adagio

2・3話あたりの話。

短めです。

久しぶりのエブァンの登場です笑”


「ねぇ、エブァンって王子様の姿を見たことある?」


麗らかな午後。

仕事が一区切りついて、いつもの場所で可愛い猫達に癒されていた。

エブァンとも会えて、2人と+aで目的もないおしゃべりに花を咲かす。


その中で、ふと頭に浮かんだ話題をそのまま口に出した。

そうしたら案の定、突然問いかけられたエブァンは驚いている。


「なんでいきなり?」


ぽかぽか陽気に少しとろんとしていた顔が、目を見開いて表情をつくる。

まるで猫みたいだなと思ったら、くすりと笑みが漏れた。

もう、可愛いなぁ。


「もうすぐ王子様の19歳の誕生日じゃない??自分の国の王子様なのに姿見たことないなんておかしな話だと思うの。私の周りで見たことある人って大抵、王子様が小さい時なのよ。噂では、王子様なんていないんじゃないかっていわれているし。私はその小さな頃の姿さえ知らないから何か知ってたら教えてもらおうと思って」


王子様の姿を見たことないという話は、最近友達と話した内容だった。

いくら雲の上の存在で、私達平民と関わりのない存在。

容姿や人柄など想像の域を出ないにしても千鶴達は城下町に住んでいるのだ。

誰も姿を見たことないというのは可笑しいのではないだろうか。

現に王や王妃、王女様の姿を見たという人は少ないながらも多少はいる。


「ああ、そういうこと。確かに王子様と会ったっていう人はここら辺ではいないよね。でも、王宮にはいるだろうね。国をあげて誕生日を祝うくらいなんだからそれは間違いないだろう。王子様の18歳の誕生日なんて盛大に祝ったしね」

「ああ、18歳の時は凄かったよね。王も王子様のこと、大切にされているらしいし。まぁ一人息子だもんね〜」


エブァンの口ぶりから「やっぱり姿見たことないんだ?」と尋ねると困ったように微笑まれる。

エブァンならもしかしたら見たことあるんじゃないかと思ってたのでちょっとがっかりする。


本当のところエブァンって良いとこの家で育っていると思う。

何気ない仕草も洗礼されていて目を奪われることもしばしば。

今の距離が心地好くって壊したくないから追求しないけれど、絶対貴族やそれに近い身分だと確信している。

だから余計期待しちゃった部分もあったのだ。


「ん〜……ここまで民衆に姿をあらわさないなんて徹底されてるよね。実は王子様はいないんだっていう噂も本当なのかなって思っちゃうよ」


「ねぇ?」とヨモギに同意を求めてみる。

エブァンの膝の上で寛いでいるヨモギを撫でると「ナァ〜」と返事があった。

自然と笑い声が出て2人で笑いあう。

ほっこりとした温かい気持ちで胸がいっぱいになった。


「王子様がいないなんてただの噂だよ。もう18歳も過ぎてるんだし、そろそろ結婚すんじゃないかな。その時に姿を見れると思うよ」

「そうかな?」

「多分ね」


言われてみればそうなのかも、と思っちゃう私は単純なのかも知れない。

けれど自分の中で、王子が結婚したら姿を見れるということが決定事項になってしまい、今からあれやこれや想像して楽しみになる。


23にもなって、ついつい乙女心全開でエブァン相手に理想の結婚式を話してしまった。


途中から、何に対してっていうのはよくわからないけれど、なんっかエブァンに上手くのせられてる気がしたのは気のせい……よね?


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