表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年は魔族の少女と旅をする  作者: ヨシ
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

213/250

206.光線

 黒い触手がアルゴに迫る。

 それをアルゴは魔剣で斬り裂く。


 斬られた触手は地面に落下し、ピチピチと跳ねるように動いている。

 地面に散らばる触手。その触手と接地する地面から細い煙が上がる。


 その様子からアルゴは理解する。

 もし触手に触れたら、皮膚が溶かされてしまうだろう。

 だから触手に触られるわけにはいかない。


 それを頭に入れて、迫りくる触手を斬り裂いていく。

 触手は八本。その全てを斬り裂いた。


 黒い球体は無防備を晒した。


 そう考え、アルゴは黒い球体へと接近。

 魔剣を振るう。


 その時、黒い球体は触手を再生させた。

 一瞬で全ての触手が再生され、アルゴに迫る。


「まあ、そうくるよね」


 触手が再生されると予想していたアルゴは、焦ることなく後ろに下がった。

 距離と取って考える。


 触手が再生した。

 おそらく黒い球体も同じ機能を持っているだろう。


 人間であれば、首を刎ねられれば死ぬ。

 心臓を貫かれれば死ぬ。


 だがこの化け物は違う。

 そもそも急所というものが存在しない。

 どこを斬っても再生してしまうだろう。


 ならば、この化け物は死なないのか。

 この化け物を殺す手段はないのか。


 アルゴは感覚的に理解している。


 殺せる。


 多分この化け物は、生命力を削りながら戦っている。

 その生命力が底をつけばこの化け物は死滅する。


 当然、生命力を早く削る方法は攻撃を与え続けること。

 つまり、このまま戦っていればいずれ勝てる。


「その通りだぜ、アルゴ。生命力つーか、存在力って言う神々が持つ力でだけどな」


 ベリアルの話を聞きながらアルゴは魔剣を振る。

 魔剣が触手を裂き、続けて球体を傷つけた。

 触手と球体は再生するが、化け物の存在力が目減りしていく。


 魔剣を振り続ける。

 球体はダメージを負い続ける。


 このまま押し切る。


 そう気合を入れ、アルゴは魔剣を振り続けた。

 だがその時、アルゴは咄嗟に後ろに下がった。


 化け物の表面には無数の赤い瞳が浮かび上がっている。

 その瞳の一つから、赤い光線が放たれた。


 光線は到底目で追える速度ではなかったが、アルゴは余裕で避けた。

 アルゴには、光線が放たれるタイミングが分かった。

 ゆえに避けるのは容易い。


 光線が放たれ続けた。

 化け物は無数の赤い瞳を持つが、光線が放たれるのはその内のどれか一つからだ。


 光線に当たればどうなるかは考えるまでもない。

 赤い光線は全てを貫く。

 もし光線に頭を射抜かれれば即死してしまうだろう。


 だがアルゴには当たらない。

 余裕だった。速いだけではアルゴには通じない。


「ベリアル、神ロノヴェの他の攻撃手段は?」


「ない。触手攻撃と赤い光線しかないはずだ。けど油断するな。新たな攻撃手段を手に入れてる可能性はある。それに、このまま奴が終わるとも思えねえ』


「大丈夫。油断なんてしない」


 その言葉通り、アルゴに油断も慢心もない。

 ここで確実に殺す。

 そう決意する。


 盟主の騎士を前にしては、ロノヴェには為す術がなかった。

 確実に死へと近付いている。

 ロノヴェはそれを自覚していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ