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少年は魔族の少女と旅をする  作者: ヨシ
第六章

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192.浮上するもの

 凍り付いた地面を魔剣で砕き、砂地にマティアスの亡骸を埋葬した。


 そしてアルゴは、改めて周囲を見回す。


 青い空のもとに、白い神殿のような建物が乱立している。

 ここは結界の中。

 この世界の果てまで歩き続けたとて、この世界から出られる確証はない。


「やっぱりこれ、閉じ込められてるよな? もしかしてこのまま一生でられない……のか?」


 そう独り言を呟いて空を見上げる。


 当然、独り言に返事する者はいない。


「それはねえ。安心しろ」


「―――なッ!?」


 驚いた。

 独り言に返事があった。

 しかもその声は耳から聞こえたというより、頭の中で響いてるようだった。


「ま、まさか! 神ベリアル!?」


「おうともよ! 偉大なる神、ベリアル様よ!」


「お、驚きました。なんでいまさら……俺に話しかけてくるんですか?」


「おう。その件に関して、言いたいことがある」


「な、なんですか?」


「アルゴ、オレっち以外の奴と既に契約してやがったな。その契約に邪魔をされて時間が掛かっちまった。おいおい、困るぜ。そういうことは事前に言っといてくれよ!」


「そ、そういうことでしたか。メガラとの契約に邪魔をされて、今まで意識が出てこれなかったんですね……」


「メガラ? 誰だそりゃあ? カワイ子ちゃんか?」


「カワイ子ちゃんって……。あー、まあ……はい。そうですね」


「なら許す」


「軽いですね」


「まあな。で、話を戻していいか?」


「あ、はい」


「この結界は随分高度なものだが、永遠に在るものじゃねえ。時間が経てば結界は自壊し、外に出られるはずだ。だから安心しろ」


「……良かった。安心しました。でも、よく考えればそうですね。俺を永遠に閉じ込める結界なら、大将軍二人とマティアスさんが俺と戦う理由がないですもんね……」


「あん? この結界内で戦ったのか? オレっち、いま表に出られたところだから、これまでのことは分からねえ」


「はい。戦いました。二人は逃げ、一人は……俺が殺しました」


「……そうかい」


「それで……この結界が自壊するのは、あとどれぐらい掛かるんですか?」


「さあな。けど、それほど待たなくていいと思うぜ。まあ、焦っても仕方がねえ。少しのんびりしようや」


「のんびりしてて、いいんでしょうか?」


「焦れば早く出られるってわけでもねえ。だから、心を落ち着けろ」


「……はい」


「それにしても、こりゃあ懐かしい光景だなあ」


「懐かしい?」


「ああ。この都市は、神が地上に居た時代……つまり、神代にもっとも栄えていた都市を模倣して創られたものだな」


「え、そうなんですか? なんでその都市を模倣したんですか?」


「そりゃあオレっちに訊かれても分からねえよ。創った本人に訊いてみねえとな。あー、それからな、一ついいか? アルゴ」


「はい」


「オレっちの声は、オマエにしか聞こえない。今やオレっちとオマエは相棒と言っていい。だから、もっと気安い口調で話せ。敬称も不要だ」


「いいんですか? 仮にも神なので気を使っているんですが……一応」


「その発言で、オマエがオレっちのことをどう思っているか理解したよ。オレっちは偉大で、器の大きい神だ。オマエの無礼を全て許そう。だからよう、ヘイ、カモン」


「分かりまし……分かったよ、ベリアル」

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