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少年は魔族の少女と旅をする  作者: ヨシ
第一章

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14.護衛たちと

 ホアキンは護衛を二人連れていた。

 どちらも眼光鋭い若い男だ。

 茶髪の男がダッジ。金髪の男がジョナソン。


「ダッジ、ジョナソン、この少年はな、やべえんだ!」


 ベインがアルゴの肩に腕を回しながらそう言った。

 ダッジが尋ねる。


「やべえって、なにがだ?」


「驚くなよ? この少年はな、とんでもなく強え。俺はこの少年に負けたんだ」


「はあ? おいベイン、酔ってんのか? つまんねえぞ」


「酔ってねえし、嘘でもねえ。本当のことだ。だろ? リューディア」


 ベインに視線を向けられ、リューディアは答えた。


「ええ、本当よ」


 リューディアの答えを聞いて、ダッジとジョナソンは顔を見合わせた。

 ダッジが口を開いた。


「驚いたぜ……」


「だろうよ。……というかお前ら、リューディアの言う事ならすんなり受け入れるんだな」


「たりめえだろ。美人の言う事は全部真実だ」


「ハハッ、馬鹿どもが」


 ジョナソンは、腕を組みながらアルゴをジッと見つめた。


「とても強そうには……見えない」


 ジョナソンがそう呟くと、リューディアが反応した。


「それには同感だわ。見た目は無害そうな少年だもの。とても強者には見えない」


「あ、あの……」


 今まで黙っていたアルゴがようやく口を開いた。

 アルゴは控えめに続きを言う。


「俺は大した者じゃないです。ベインさんに勝ったのは、たまたまです」 


 それを聞いてベインは言う。


「おい、アルゴ。下手な謙遜は相手の名誉を傷つけるぞ。自分で言うのも何だが、俺はそこそこ強え。その俺に勝ったんだ、堂々としていろ」


「そうですか……」


 アルゴは謙遜で言ったつもりではなかった。

 本心で思っていた。

 確かに自分には才能があるのかもしれない。

 しかし、この時点では、現実と自分の認識を擦り合わせ切れていなかった。


 自分は只の奴隷だと思っていた。

 それなのに何故か、戦いになると自分の体は精密かつ鋭敏に動く。

 それはまるで、自動人形の如く。自分で体を動かしている感覚は、あまりなかった。


 自分の意思で体を動かしていないのならば、次も上手くいくと確信が持てない。

 そういった感覚から、アルゴは「たまたま」と言ったのだ。


 ベインはアルゴの背中を叩いて言った。


「もっと自信を持て。ああ、それからここに居るダッジ、ジョナソンだがな、こいつらもそこそこ強えが、俺ほどじゃねえ。俺よりも一段劣る。だからお前は、この場の誰よりも強え」


 それを聞いてダッジは、眉間に皺を寄せた。


「ベインてめえ、誰が一段劣るだあ? 客観的に言って、同じぐらいだろコラ」


「はあ? 冗談も大概にしとけや。俺の方が強えのは事実だろ」


「おもしれえ。そこまで言うんなら、ハッキリさせようじゃねえか」


「ハッ、上等だ!」


 ベインとダッジは、素手で構えを取った。

 闘志を燃やし始める二人。


 その様子を見てアルゴは、リューディアに尋ねた。


「あの二人、放っておいていいんですか?」


「大丈夫よ、いつものことだから。素手でじゃれ合うだけだし、心配ないわ」


「そうですか……」


「ああ、ちなみに……」


「ん?」


「ちなみに、君を除けば一番強いのは私よ」


 強気な笑みを浮かべ、リューディアはそう言った。


「……そうですか」


 アルゴはそれだけ言うと、ベインとダッジのじゃれ合いに注視した。

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