閑話「オタクアルバム」
ガンガンオンライン「ギャルに優しいオタク君」の次回の更新日は12月31日です
内容については勝手に言及できないので、出来れば見てくれ!!
12月24日
「ジングルベールジングルベール、鈴がござるぅ~」
クラッカーの鳴り響く第2文芸部の部室で、無駄に盛り上がるチョバム。
この日はコミフェの予定の確認と、脱稿お疲れ様会を兼ねた、ちょっとしたクリスマスパーティが開かれていた。
出席メンバーはオタク君、チョバム、エンジンの3人だけ。優愛たちはいない。
別にどちらかがハブにしたわけではない。
オタク君がヘタレて優愛たちを中々誘えず、優愛たちもオタク君たちはまだ忙しいと遠慮し、クラスの女子たちとクリスマス会をする予定を立てたために、それぞれ別でクリスマス会をする事になっただけである。
とはいえ、オタク君たちはオタク君たちで十分楽しんでいたりする。
そもそも、コミフェでどのサークルを周るか相談すれば確実に出てくる問題があるので……
「ところで、このサークルの本、誰が買いに行くか決めようでござる」
メガネをクイッと上げ、チョバムが真顔でパソコンの画面を指さす。
パソコンの画面に映し出されたのは、そう、えっちな同人誌である。
オタク君たちは未成年。当然成人向けの本を買う事は出来ない。
買う事は出来ないが、それでも欲しいと思うのが男の性。
どうすれば買えるか?
どうやれば買えるか?
悩みに悩みぬいた末の結論。それは……
「というわけで、今からえっちな同人誌購入シミュレーションを行うですぞ」
長机を移動させ、敷物の上に本を置いて作り出された疑似サークルスペース。
丸椅子の上にエンジンが堂々と腰かけると、オタク君とチョバムを険しい目で見る。
多分、未成年かどうか判断するためのポーズのつもりなのだろう。
「まずは小田倉殿からどうぞでござる」
「えぇ、僕から!?」
驚きと抗議の声を上げるオタク君。
それもそのはず。2番手以降は最初の人のマネをすればある程度誤魔化せるが、一番手は誰かのマネというものが存在しない。
ぶっちゃけ、自分はこうやってえっちな本を買いに行っていますとカミングアウトするようなもの。
チョバムはそれを察し、あらかじめ順番を指定したのだ。言ったもん勝ちと言わんばかりに。
もちろんそれはエンジンも察している。だからこそサークル主のポジションを選んだのだ。売る側になれば必然的に一番手になることはないので。
これではただただオタク君が恥ずかしい思いをするだけ。
ごねにごねれば、この企画を流す事は難しくないだろう。下校時間までやらなければ良いのだから。
しかし、だがしかし、ここでやめるわけにはいかない。
なぜなら、えっちな同人誌はオタク君も欲しいから!
「先に言っとくけど、チョバムもエンジンも、僕のマネして終わらすのは無しだからね」
「ぐぬぬ。わ、分かったでござる」
「むぅ……仕方ないですな」
オタク君の言葉に、苦悶の表情を浮かべるチョバムとエンジン。
その要求を呑むという事は、せっかくの安全圏を放棄する事に他ならない。
だが、それでも、そうしてでもえっちな同人誌は欲しいのだ。
だから、オタク君の要求に素直に応じるしかなかった。
「それじゃあ、気を取り直して、小田倉殿からよーいスタート」
わざわざ一旦部室の外に出てから、部室に入りなおすオタク君。
まるで周りを物色してるように、キョロキョロしながらゆっくりとエンジンの前まで歩いていく。
そしてエンジンの前で立ち止まり、本に手を伸ばそうとして、吹き出した。
「ちょっと、これはズルイでしょ!!」
オタク君の反応に、チョバムとエンジンが腹を抱えてゲラゲラと笑いだす。
エンジンの前に置いてあったのは、スケベな本である。しかも金髪ギャル物の。
明らかに優愛を意識したような表紙に、オタク君が思わず声を上げてしまったのは仕方ないと言えよう。
「小田倉氏、動揺してはダメですぞ」
「小田倉殿、早く買うでござるよ」
ゲラゲラ笑いながら催促をする2人に、オタク君の制裁パンチが飛び交う。
殴られながらも笑うのを止められないチョバムとエンジン。
確かにえっちな同人誌は欲しい、だが、それ以上にギャルたちと良い関係になっているオタク君をおちょくりたいという気持ちが大きいのもまた事実。
最終的に後者の気持ちの方が大きくなり、オタク君が部室を出る一瞬の隙を狙い本を差し替えたのだ。
えっちな同人誌については、チョバムかエンジンが買いに行くからということで、完全に納得するわけではないが、ひとまず怒りを納めるオタク君。
コミフェでそれぞれが担当する本を決め、男だらけの楽しいクリスマスパーティは続く。
それぞれお持ち寄ったお菓子やジュースで乾杯をして、結局いつものオタク会話に花を咲かせる。
プレゼント交換で、やっぱりチョバムとエンジンがオタク君にギャル物の本を渡し、第2ラウンドが始まったのは言うまでもない。
色々ケンカをしつつも、最後にはゲラゲラ笑い合った、オタク君たちのなんでもない特別な日である。




