閑話「拙者物語 1」
大学編!(ただしチョバム主人公)
大学は
チョバム、エンジン、詩音が同じ大学。
優愛と歌音が同じ大学です。
リコと委員長はルートによって進学先が変わります。
オタク君もルートによって進学先が変わっています。
優愛ルート→国公立に通っている。
リコルート→リコと一緒の専門学校に通ったあと、大学へ編入学。
委員長ルート→委員長が美容院を開けるように、経営学などを大学で勉強しています。
桜が舞い始める4月。
大学のキャンパスでは、様々なサークルが新入生を勧誘するためにパフォーマンスを見せたりしている。
賑わう校内を尻目に、のそのそと歩くのは、ちょいデブ体型がトレードマークのチョバムである。
チョバムが大学に入学してから、今年で2年目。
1年前は垢抜けようと、髪を金色に染め、陽キャサークルに挑戦してみたが上手く行かず、サークルに対しなんなら気まずい状態にしてしまったくらいである。
見知った陽キャサークルのメンバーとは顔を会わせたくない一心で、俯きながら人混みに紛れる。
「あれ、チョバム君じゃん。久しぶりぃ!」
だが、そんなチョバムの気持ちとは裏腹に、声をかけてくる男性。
金髪にピアス、色黒に焼いた肌がチャラさを際立たせる。
「最近全然顔出してないけど何かあった?」
人懐っこい笑みを浮かべる男性に対し、チョバムは気まずそうに愛想笑いを浮かべて返事をする。
「あっ、ほら授業とかで色々忙しくてさ」
「そうなんだ。またいつでも顔出してくれよ」
「あぁうん。気が向いたらまた顔出すよ」
それじゃと軽く手を上げその場を去るチョバムに「絶対にまた来いよ」と声をかける男性。
わざわざ自分に声をかけてくれたのだから、その言葉が、裏表のない本心で言ってる事をチョバムは理解している。
だが、どうしても行く気にはなれない。
少しだけ後ろ髪を引かれる思いをしながら、チョバムはとぼとぼと校舎へ足を向ける。
数多くのサークル室が並ぶサークル棟。その中でA4用紙に「マイナー研究所」と手書きで書かれたサークル室へ入っていく。
オタクっぽいサークルの名前だが、微妙にこじらせた感のあるサークル名。
「おはようでござる」
チョバムがサークル室のドアを開ける。
「おはようですぞ。チョバム氏以外は全員揃ってるですぞ」
「そうみたいでござるな」
サークル室には、並列で置かれた長机が2つ。それを囲むように6人が座っていた。
高校時代と比べると、格好が大分垢抜けたエンジン。その隣に座る詩音は、魔法少女ミラクルくるりんのシャツを着て、逆にオタクっぽさが出ている。
エンジンと反対側の席に座るのは、黒髪ツインテールにゴスロリ服の少女。とその少女の取り巻きのように囲む男性4人。
「おっ、チョバムじゃん。髪の毛プリンになってたの染め直した?」
エンジンが声をかけた後に、それぞれがチョバムに挨拶をする。
先ほどのキャンパスを歩いていた時とは打って変わって、明るい表情で返事を返すチョバム。
かつての第2文芸部に居た時のような心地よさを感じる……のも束の間である。
「じゃあ私、チョバム君の隣に座ろう」
ゴスロリ少女の周りは男性が囲っている。
なのでチョバムはエンジンの隣に座った。わざわざオタサーの姫の近くに座って、囲いから反感を買いたくないので。
だというのに、ゴスロリ少女は顔をほころばせながら、言葉の最後に「♪」が付きそうなルンルン声でそう宣言すると、チョバムの隣に座る。
「先輩たちと話してたのに、良かったでござるか?」
「うん」
物凄く遠回しに、先輩たちと話してきてというチョバムだが、ゴスロリ少女にその真意は全く伝わらず、満面の笑みで返される。
心の中で「勘弁してくれ」と思いつつ、露骨に邪険にするわけにもいかず愛想笑いの笑みを浮かべるチョバム。
そんなチョバムに笑顔を向ける男性4人。
全員が揃ったところで、「新入生勧誘に向けて」の議題が行われる。
が、隣で構って来るゴスロリ少女のせいで、当然議題の内容が頭に入ってこないチョバム。
(夢の陽キャデビューが、どうしてこうなった)
彼が頭を抱える原因は、丁度1年前に遡る。




